で、目覚めたわけだが、これって、アレ?
「おはよう。起きた?ご飯できてるぞ」
優斗、お前、嫁力高くない?料理できるし、洗濯は下手クソだけどできるし、掃除もやればできると思う。
「お、おう。おはよう。俺の顔何かついてる?」
何が起きてこんなに見てくるのだろう。別に、のどの調子がいいだけだと思うし、見つめる理由がわからない。まさか、急に男が好きになったとか?それなら、やぶさかじゃないぞ。お前がそれなら付き合ってやるぞ、親友だしな。悩みなら聞くぞ、親友だからな。で、何が起きた?俺が起きたのか。そうじゃねぇんだよ。
本当にわからなくて優斗に聞くと「本当にわからない?全然違うけど。声も、体も」と返された。俺は、とりあえず、歌うことにした。これ、多分女になったんだろ。なら、歌うしかない。よし、歌枠配信できるか、ガイドライン見るか。では、ないな。
スマホを持って配信を撮ろうとする俺に「アニキ何してんの?」と聞いて来るハリウッド童貞、優斗。ほんとに優斗はハリウッドスターからスターを除いて、童貞を足したような男らしさはあるけれど、イケメンでもハンサムでもない感じのやつで、不器用で、優しい。
「女、と言うか美少女になったんだろ?なら、歌うしかないよね?男だった頃に言っただろ?美少女になったら歌うって。あとせっかく美少女になったんだから神の思し召し通り幸せになってやるんだってばよ」
自分でもなんでこんな早さで受け入れているのかわからない。でもどうせ変わってるんだろ?なら、楽しまないとな。あ、でも、声量とか怖いかも。昔から声量お化けと言われている俺だ。よし、こいつをカラオケに連れ込もう。
とりあえず、キスか?それとも、谷間かな?俺が男だったら、胸かな。なんて考えたけど、美少女になったんだとしたら、男だったから「胸の魅力もわかるよ」になるな。
「歌う前に顔洗ったら?アニキが朝顔洗わないのは知ってるけどな。寝癖酷いし」
「え?嘘。そんなわけなくない?俺の髪いつもそんなにひどい?」
「おう。酷いな。今日は特に」
「ああ、そうか。なら、見て来てやるよ」
そう言って布団を蹴飛ばそうとしたけど、そもそも、布団がなかった。てか、ちょっと待て、なんで?
「え?布団は?食った?」
「横に枕あるんじゃないかな?昨日敷いた布団の上に」
見てみると本当に枕が左腕の下にあったし、物凄く痛かった。どういうこと?布団が横にあって、俺と垂直に見える。どういうこと?何が起きた?
「いっ……たい。はぁ?どんな寝相?」
「それは俺のセリフだな、アニキ」
「そんなわけあるかぁ。てめぇだって…。普通だったな」
洗面台に立って俺は恋をした。鏡の中の美少女に。この子誰?俺?これ、「俺」とか言ったら1万パーセント世界に怒られるぞ。芸能人が全員、裸足どころか裸で逃げ出して、裸一貫からやり直すレベルの美少女だった。
童顔、黒髪黒目の普通の日本人顔なんだけど、パーツ配置が神過ぎるし、これは誰?俺だと頭の中で理解はしている。それは横に流して、「ディープキスさせてください。お願いします」って感じなんだけど。
彼女いたけど、童貞な俺は鏡に「キスしていいですか?」と問いかけていた。そんな俺をみて優斗が「する?美少女さん」とからかってくる。別に今すぐしてやってもいい気持ちではいる。だって、こいつの前って安心するし、飾らなくていいし、いいとこも駄目なところも知っているし。
「したかったらする?でも、まずは、初めまして優斗さん。私は……だぁれ?」
「そこから踏むの、段階?とりあえず、アニキは俺の親友の久遠だろ」
「それはそう。で、名前、どうしよう。とりあえず、講義あるよな、今日。インフィニティで名乗るのどう?」
「良いんじゃない?中二っぽいけど」
「俺の身長が男子の中2の平均だからってなめてんの?」
「アニキ、そういえば、身長とか重心とか違和感ないの?」
「ないな、あー。上重いかも。てか、やっぱ下ないと思う?触る?」
「いや、いいわ。もと男だろ」
やっぱコイツはドギマギするのが正解だ。俺が攻めで、コイツが受け。リバースは認めない。俺が攻めな。なんて考えながら、わかりきった答えを掘り当てる。……なかった。てか、初めて触った異性の部分が自分なの複雑ーーー。
嬉しいんだよ、触れる機会なかったから。見たことなら、小さいころに妹と風呂入ってたから少し知っているし、ネットで見たこともある。でも、自分だとわかっていると興奮しきれない。とりあえず、一発イってこようかな。その前に全身を見たいな。
「なぁ優斗、風呂場借りていい?風呂入ってなくて気持ち悪い。あと、コーヒー」
「了解。人遣い荒いな、アニキ」
「そんなことないだろ?」
そう言いながら、風呂場に向かう。
全身を映してまじまじと見ると、全く毛が生えていなかった。しかも、骨格も女の子だった。いかに自分の肉体に興味がないかが浮き彫りになった。今だったら、イっても大丈夫かな?そんな感じでただ立ち尽くしていたら、優斗が「シャンプーとかリンスとかわかる?使いすぎるなよ」と入って来た。
多分、まだ服着てるだろうと思って来たのだろうが、恐ろしくタイミングが悪い。不器用か。
「変態、飢えてるの?」
俺が思い切り小悪魔ボイスで言うと「違う、すまん。見てない。何も見ていない。ゆっくり入れよ、体冷えるから、シャワーの温度勝手に変えてくれていいからな」とドギマギしながら早口でまくし立てて、出て行った。動揺しすぎだろ。童貞か。
ああ、童貞だったわ。てか、俺もそうじゃん。私も処女なんだけど。多分。だってやったことないし。とりあえず、髪を洗うか。髪質全然違うんだが?あと、長い、重い、頭取れそう。とりあえず、有名なアニメの美少女がしてるように腰から頭をそらせて、シャワーの水を額から背中というかケツに向かって当てる。お尻なんて可愛い言い方はしない。俺の物だから、とりあえず、ケツでいいだろう。
1発抜こうとか思ったのマジでごめん。でも、自分の姿だけで数発イケそうなほどめちゃくちゃ可愛い。まず、胸。主張しすぎない、でもどちらかと言うと巨乳よりの平均ぐらいのサイズ。俺の好みドストライク。そして、適当にケツとか脳内で言ったことを100万回詫びたくなる綺麗で引き締まったお尻と太もも、足先、腰も腹も細い。ナニコレ。しかも、個人的に1番好きなのは、この肩からスラリと伸びた指先までの完璧な曲線美。多分前の俺を死ぬほど嫌っていた恋愛の神アフロディーテと最高神ゼウスと曲線美の化身が作ったのではないかと言うほどの完璧美少女。このまま、この彫刻売ってたら、俺、買うぞ。全財産叩けるぞ。ギリシャ神話になりそう。
それくらいの美少女。メデューサとか美女4姉妹みたいなのがギリシャ神話にあったけど、それを凌駕しそうなほどの可愛さ。漢字で可愛いと書くと違うな。『かわいい』という平仮名感。声も全てが平仮名に聞こえるほどのふわふわ。
可愛すぎない?これは、優斗に格の違う美少女見せ付けてやろう。好都合にもここにはタオルが1枚しかない。しかもサイズ小さくて縦に隠しても胸から股になるし、胸を包むようにすると、胸意外隠せない。
舞い上がって忘れてたけど、下着も優斗の部屋に置きっぱなしだし、どうしよう。いい感じに恥ずかしがりたい。心の中で恥ずかしがる演技をしながら体を洗う。アレルギーのあったあの頃とはすべてが違う。全部すべすべ。コーティングでもされてるのかって程に。
で、まぁ、男の頃にも胸に着いていたところも触れるわけだが、男の頃しなかったのもあるのだろうが、なんか感覚違う気がする。というより、自分のしていることに興奮している自分がいた。で、股を洗う前に物凄く手を洗った。男のやつってある程度適当にしても雑菌の心配なさそうだけど、女の子のは丁寧に扱いたくなった。
思考が童貞臭いのは仕方ないだろう。事実として童貞だし。で、触れただけでパチパチするなんてことはなかった。でも、物凄くムラムラするこの心どうしよう。シャワーのせいにして1発しようかな。とりあえず、タオルで体と髪を拭こう。湯冷めする前に。
ある程度拭き終わった頃、優斗に「すまん。そこに下着ぶん投げてるから取って。可愛い女の子が湯冷めする前に持って来て」と挑発する。優斗は「了解。いつもの人使いの粗さ。てか、カバンのなかか?見ていい?」とちゃんと確認して探してくれるんだよな。こういうとこが好き。不器用だけど、優しくて俺のことを思ってくれている。ツッコミのワードセンスも少し大きい手も、強い握力も。もちろん、全身を覆うほどの毛も。
「さっむ。このままだと、全裸の女の子が風呂から出ることになるけどいいの?見ていいから早くしてほしい。せっかちなの知ってるでしょ?優斗が探すの下手で俺が物の入れ方雑なのは知ってるけどさ」
この挑発に優斗はどんな対応をしてくるのだろう。
多くの普通の大学生だと、このまま後ろから抱き寄せてやるってのもあるのだろう。もしくは全裸で恥ずかしがるのを観察する変態もいるだろう。で、うちの優斗はと言うと「すまん。見つかった。前に置いとくから、早く服を着てくれ、心臓が持たん」という実に童貞感の強い不器用で可愛い反応をしてくれるのだ。
とりあえず、着るか。パンツがトランクスの女の子か……、しかもノーブラの肌着のみ。大丈夫かこれ?履いてたのブリーフだったからましだけど、これ、行けるかな?
とりあえず、履いた、着た。出る。
1歩歩くごとにズレそうになるのを必死に抑える。
「アニキ女の子みたいな歩き方してどうした?自覚が芽生えたの?」とからかう優斗に仕返ししたくなって、「わかったよ。やめてみるから、その目に焼き付けろ」と股を抑えていた手をどける。
歩くごとにズレる。優斗は、小鹿みたいな歩き方の久遠にもドキドキしたが、少しずつずれていく下着から目を離せなくなっていた。「見せてくれるのだろうか」という期待が出てるからな、優斗。くらいやがれ、優斗。とうとう、その瞬間が来た。
完全にパンツがずれて、タオルだけで必死に隠している俺。
「きゃ~変態」
なんて挑発してみるものの本当の羞恥が襲う。てか、マジでハズイ。やってみたらわかる恥ずかしさ。プールの着替えで経験したことがあるものもいるだろう。銭湯の全裸は恥ずかしくないのに、普段脱がないところで全裸になるのが恥ずかしいみたいな。全裸じゃないけど、説明したとおりの恥ずかしさ。
「アニキのその表情初めてみたかも。とりあえず、それじゃ、何もできないだろ?服持ってそっち側で着替えろ。ドアあるから見えないだろ」
童貞臭い反応なのに不器用で優しくて可愛い。後でどこか触らせてあげよう。そのくらいのご褒美は上げないと。
服を着て、俺は出かけられる態勢が整った。優斗に「服がないから買いに行きたい」と言うと「その格好で出るのか?無理だろ?なんとかできんのか?」と実に不器用な答えが返ってきた。親に持って来てもらおうと思ったけど、今日いねぇ。
「ごめん。お金払うから、胸に当てるブラ買ってきてくれない?」
「アニキ、サイズわかるのか?」
「知らん。多分Dだと思う。とりあえず、Dで。これよりデカかったら俺は嬉しい」
「適当かよ」
そんなこと言いながらもコンビニまで走ってくれた。行く前に「危ないと思ったら、逃げろ。連絡しろ。守るから」となんか甘いこと言ってたなぁ。こういうとこが可愛いんだぞ。
長い。大丈夫かな。よく考えれば咲がいたじゃん。いや、言えるか―。彼氏持ちの女友達に男の俺が「ブラ持ってこい」はセクハラすぎる。と言うことで、とりあえず、優斗に「東畑の彼女さんと連絡とりたいから、東畑にだけ伝えていいよ。女になったの」と送る。
優斗からは「了解」のスタンプが送られてきた。送るスタンプも可愛いんだよな。センスが良くて。やっぱり、優斗が彼女で俺が彼氏かもしれない。いや、肉体こっちが女だしなぁ。攻めは譲らない。受けは優斗なのだ。俺じゃない。でも、アイツが俺のことを受けだと言ったのは未だに覚えている。
帰って来た優斗に「遅い。悩んでくれてありがとう」と言ってその場で着けた。優斗が「ちょ、そこで着けるの?」とトイレに駆け込んだのは童貞感強い不器用さで可愛かった。俺が書いてる小説にもよく似たやつあったけど、可愛すぎん?優斗。
アイツ、サブキャラに据えた小説書いたけど、メインより可愛いんだが?
せっかくだから触らせてあげよう。
「優斗、触っていいよ。私の肩。揉んでいいよ」
「凝ったから揉んでほしいんだろ。了解」
優斗の揉み方は恐竜が生卵を握るような恐る恐るだったから、「もっと強くて大丈夫。壊れない」と促す。優斗は「もうちょいだけ強くするわ。痛かったら言えよ」とどこまでも優しい。
「ぁん♡にゅん♡もっとぉ♡」
「エロすぎるからやめろ」
「無理かも。気持ちいい。男の子って強いね」
「お前も昨日まで男だっただろ?」
「握力20を男とは思えません。女の子としては理想でしょ?少なくとも俺のドストライク」
「趣味出すぎ。ふわふわしてるぞ」
「ゆ…と……。二度寝、する……」
俺の意識はここで完全に夢の世界へ。
どこまで触るんだろう。わくわくムラムラ。でもコイツだからなぁ。触らない気がする。少しだけ触って欲しい自分に気付いてしまったのは、コイツを信頼してるからだろうか。




