とんこつラーメンキス!?
「なぁ、……夜……ラーメン。食べないか?」と私が言うと、優斗が「お、おう。行くか。家の近くのいつものとこだろ?」といつもの童貞感で返してくれた。
「うん。ラーメン……楽しみだな……。何、話す?」と投げかけると、優斗が「そうだな。……キス、いつする?」と相変わらず…なんか…こう…可愛い返しをしてくれた。
「それはお楽しみに……って感じかな。えっと、その……何話そうか」と私は不器用な女の子の返しになった。
「そうだな。……、婚姻届…いつ出す?」
なんでこんな実務みたいな話してるんだろう。
「それも……まだ、…ちょっと……キスとか…してからが……いい。えっと、とんこつラーメン……いいよね?」
「そうだな」
2人とも下手すぎるだろ。なんか、もっとあるだろ。この沈黙ってなんか痛い。
そんな重い沈黙を抱えながら、ラーメン屋に着いた。優斗はいつものとんこつラーメンのバリカタにしていた。私もバリカタにして優斗と同じ味を分かち合うことにした。
「アニキ、いつもカタだっただろ?無理に合わせなくていいんだぞ?」
「いいの。一緒の物食べるだけでも……ほら、……夫婦みたいな…気持ちに……なれるかな?……って」
「そうだな。ありがとう」
なんだか会話が微妙な間を含んでいて、普段のマシンガントークができない。これが咲とか東畑とかなら別に意識せずに話せる気がするのに、大好きな優斗だけ…なぜか……こう、うまく話せない。
「辛もやしとって来るけど、いる?」と私が聞くと、「おう。ありがとう」と優斗が嬉しそうだった。
なんか夫婦みたいな……ことをしてるみたいで、ちょっとだけ、お股が熱くなってる気がする。
「はい…これ。辛もやし」
「お、おう。ありがとう」
そんなこと言ってる間にラーメンが来た。普段のラーメンの硬さより硬いけど、それでもやっぱり美味しい。とんこつラーメンのスープの濃さが良くて、美味しい。
いつもより麺の食感がしっかりしててそれもいいかも。
「ラーメン……美味しいね」と微笑みかけると優斗は「お、おう。そうだな」と幸せなのか微妙に頬が赤い。
食べ終わって2人で帰る。
その帰り道、私は途中の公園で「待って、ここでしたい事があるから」と優斗の袖を引く。
優斗は「何?こんなところですることあるか?」と戸惑っていた。そらそうよね。わかる。普通はこんなところですることなんてない。
空は夜の紺色に染まっていて、公衆便所の光だけがほのかに光っている。
だから、私は、こうする。
優斗の袖引き、背伸びをして、優斗の額にキスをする。
「おま……それはOKの合図なのか?」
「それは……うん。だから、私からするね」
そう言って私は背伸びをしたまま、優斗の唇に唇を合わせて、舌を入れる。
とってもラーメンだった。
自分の小説の中でしていた憧れのシチュエーションを実現できた嬉しさと、優斗が戸惑ってる可愛さを堪能していた。
どれ程の間キスをしていただろうか。
私が唇を外すと、優斗が「これ、俺のファーストキスなんだが?……ディープキスだし、ラーメンって。もっと、こう……、ほら、あるだろ?さくらんぼとか桃とか可愛い味のときが」と戸惑っていた。
なんだかんだ言いながら、優斗もピュアなんだよなぁ。だから、私は「いいの。これが私たちの印になるでしょ?ほかの味もいいけど、2人の生活圏で、私たち2人しか、こんなことしないでしょ?」と微笑む。
「それもそうだが、また、ネタにするのか?」と相変わらずの優斗。
「もちろん」
この後、めちゃくちゃキスをした。




