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8話「ぱぱはよろこんでくれるでしょうか?」

舞台は戻り母子の物語へ


コンコンコン、うずきさーん!いますかぁー!


ガチャ

「うずきさん!きました!」

「西田様、お待ちしておりました。さぁ、中へ」


真央の顔にはもう先日の涙は見えない。

澄み切った春の空気の如く曇りはない。


「覚悟はよろしいですね?それでは場所を移しましょう。」

「はい…だいじょうぶです!」

「来夏さん、今日は私が詠唱を担当します。貴方は今日が初めてですから、よく見ているように。」


ガチャ

「霞ちゃ〜ん、薫子様がお呼びだよ。」

「失礼、御二方、少々席を外します。紳さん、今行きますね。」


「あの、ぱぱは、よろこんでくれるでしょうか…」


真央は来夏にほんの少し不安げに話す。


「…えぇ!もちろん!西田様のお父様はきっと驚く凄く喜びますよ!自分の娘が自分の為に時空を超えて会いに来るだなんて、僕なら一生の思い出にしちゃうなぁ…」

「そ、そうですよね!きっと…きっとよろこんでくれる…はず…」

「すみませんお待たせしました。さぁ、神域へ向かいましょう。」



そう言って霞は来夏と真央を連れて白亜の扉を開き、奥の奥の、また奥の部屋へと歩く。


ようやく辿り着いた先には、

厚い鋼の扉に閉ざされた窓ひとつ無い密室。


神域、そう名付けられた部屋には全長何mもある機械式時計が置かれており、時計は高天原にある数多の砂時計と繋がっている。



タイムツアーズ社の時間旅行のやり方は至って簡単だ。高天原がありとあらゆる時間軸を予想した世界を1本の糸に見立てて遡る、時縫の布折と呼ばれる方法を使用する。これを使用するには案内人の血と高天原からの時空回路の使用権限がなければ作動しない。


「詠唱、開始します。」


空気が変わった。


「祈るは我、卯月霞が畏み畏み申す。

時は巡り、因果は辿りて、来たる縁を招かん…

時の砂は運命の余波を和らげる汝らの願いの方舟

帯を解けは名は揺らぎ…一刻に千夜を、千夜を一刻に、いざ…時の門よ顕現せよ…!!」


カラン、コロン、


カラン、コロン、


何処からか鈴の音が聞こえる。

段々、段々と此方に近づいてくるではないか。


来夏はその不気味さから一歩後ずさりをした。

どくんどくんと心の臓が煩い、また一歩後ずさり。


「動くな!水島来夏!」


霞はそう声を荒らげるとポつりと鼻血が垂れる。


鈴の音が止まる。すると目の前に少しづつ沢山の鳥居の姿形が見え始める


「…こ、これは…どうやったんですか?!卯月先輩!」


霞は振り返るとやつれた顔でこういった。


「「呼んだ」んですよ。これは時空回路といって、ここを進むと任意の時間に行けるんです。」

「あ、鳥居の枠から出ないでくださいね。出たら時空回路から落ちて現実に帰って来れなくなるので。」


「さ、御二方行きますよ。」

「卯月先輩!鼻血が…」

「うずきさん…すこしやすみませんか…?」

「問題ありません、時空回路が閉じる前に進みましょう。」


霞はおぼつかない足取りで先陣を切って歩く。


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