タイトル未定2025/05/17 16:29
「真海らしくないじゃん。いつもやるべき事解ってる感じなのに。」
「何だそりゃぁ...、解る訳ねえだろ。」
「そー?」
息を吐くように罵声を浴びせる真海は、行動も言動も見透かしたような態度が多い。それは彼女が普段見てる、一般人には見えない景色や摂理みたいな物のせいかもしれない。
「でも、なんか…学校通ってるとそう言う話多くって。…だりぃって、なる。」
あー、と感嘆とも相槌とも言えない声が漏れる。
珍しい事に、真海は今年通い始めた看護学校での学校生活の悩みを語り出した。
真海は色々あって、中学も高校も半分不登校で卒業してる。社会人になって余裕が出てきたから、もともと目指してた看護専門学校の社会人枠を受験して合格した。
そんな真海にとって、学校生活で当たり前に感じる他人との摩擦やズレは、彼女の人生経験として新たな壁なのかもしれない。
「うわぁ、真海、絶対顔に出そー。そんでトモダチできなそー。」
「うるっせえなぁ…」
私はケラケラして、真海は眉間の皺を深める。
店員が異様な雰囲気のテーブルに注文した料理を運んできた。
香辛料と大蒜と韮の香りが立ち込める。
チャッチャと割り箸を取り、真海に渡した。
「おいしそーー!いただきまぁす!」
「…いただきます。」
ふーっ、ふーっ、ズゾゾゾ…
私は熱々の辛い麺を頬張る。念願の辛味とツルツルした噛み応え。思わず笑みが溢れる。
ズッ…ズッ…
真海は小さな一口で麺を啜ってる。その顔は美味しいとも不味いとも語らない。
何がそんなに気に入らないのか、性格も態度も不機嫌に全振りしてるような人柄は、他人に感情を読ませない。
(同じ年だけど、人並みに悩む真海…微笑ましい…)
そんな真海からの話題に、
咀嚼しつつ、じんわりと感動を覚えた。