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Side蜜子

好きなモノがあって、それが本当に欲しいか判断する基準がある。


人であったり、物であったり。自分以外の人間がそれを身に付けてたり一緒にいたりしてムカつくかどうか。


アクセサリーだったり、服だったり。気に入ったヤツを誰かが身に付けてて『やっぱり買っておけば良かった』と悔しくならないか。

好きな人が、自分以外と並んで歩いてたり、自分以外の女を抱いてるのを想像して腹が立たないかとか。

だから今日のお昼は、蒟蒻麺の辛いラーメンになった。

今日の私は、それを食べている誰かを見て自分が食べてなかったら、食べなかった自分に腹が立つと思ったから。


「蜜子って迷わねえよな。」


向かいの席で煙草を燻らせる黒いロングヘアの不機嫌そうな顔をした友人、竜骨リュウコ 真海サナミが独り言のように言う。


「えー、藪から棒ー」


何で何で?と問い返せば、ため息混じりに紫煙を吐く。


「選んだ後、迷わねえじゃん。やっぱりあっちのがーとか言わねえだろ。」


その話題で、なぜそんなに暗澹とした息が吐けるのかと思うほど、気の滅入るような息を吐く。

眉間によった皺。不機嫌な顔。冷たい視線。総じて機嫌が悪そうな顔の友人だが、彼女にはそれが標準装備デフォルトだ。


「えー、迷うよー?今日も中華かラーメンで迷ったしー。今日はラーメンに軍配が上がったけど。」


中華は安定して美味しいけど、今日は俄然、中華を選んだら辛いラーメンを食べてない自分に物申したくなる自信があった。


「…じゃなくてさ、選んだ後、選ばなかった方を振り返らないよな。って話。」


「えー、だってそんなに食べられないしー」


私の食欲は平均並みで、私の胃袋は1つしかない。

気分に従うのは当然だと思うけど?


「だから…、食べ物以外もだよ。こっちだったらーとか、あっちも良かったーとか、言わねえだろ。」


「あー…、まぁね。だって無駄じゃない?過去には戻れないし。」


真海にしては歯切れの悪い物言いにこちらも、曖昧な返事になる。


「そーだけど。…どうにもならない事をくよくよ迷うのが人間じゃね?」


真海の言葉に、思わず吹き出す。


「深刻ー。どしたん?」


ケラケラ笑っていると、真海は余計顰めっ面になる。


「悩み?悩み?聞くよ?聞くよ?」


「うるっせえなぁ…、単語被せんな鬱陶しい。」

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