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94話 ファンタジーリュック

宿に戻った俺はファンタジーリュックの解析に取り掛かった。どういう風にしてこのリュックに高度な風魔法をかけたのか、リュックの素材は何なのかを調べた。でもどうやって調べたら良いか分からずリベルに助けを求めた。


「リベル、このリュックの素材って何か分かるか?」


リュックをリベルに手渡すとリベルは何かを思い出しかのように話し始めた。


「あーこれって僕たちの制服と同じ素材だよ。魔力が通りやすい魔繊維って言う素材なんだけど、コレはその魔繊維がふんだんに使われてるね。買って正解だったね。」


リベルは何とも言えない笑みを浮かべながら言った。俺はリベルのその笑みを見たのは初めてで違和感を覚えた。


「魔繊維って言うのか…それってどうやって判断してるんだ?」


俺はリベルがリュックを触っただけで判断したことから何か見分け方があると思い聞いた。


「それはねリュックのどこでも良いから布の所をつまんで擦るんだ。その時に何か変なゴリゴリって感触がするんだよ。それが魔繊維の見分け方だね。ちなみに見た目は普通だから感触で判断するしかないんだよ。」


「ちなみにどうやってできるんだ?」


俺は魔繊維の生産過程を知りたいと思いリベルに聞いた。


「魔力を膨大に吸収したただの繊維だから意図的に作るのは困難だと思うよ。今ある魔繊維は過去の魔法使いが使っていた衣服や身につけていた物から採取した物だよ。もしかしたらこのリュックは過去の魔法使いが使ってた物かも知れないね。」


「そんなわけないだろ。」


「まっそんなことないか。」


「「あはは!」」


俺とリベルは笑っていたがこのファンタジーリュックに驚かされるのはまだ先の話だ。


「何笑ってるんですか?」


先に寝ていたジュナが不機嫌そうに言うと俺とリベルは騒いでいたことを謝罪し静かに解析することにした。


「コレに魔力流したらどうなるんだろうな?」


俺がリベルに問いかけるとリベルは少し考えてから応えた。


「そもそも魔繊維が膨大な魔力を吸収してできた物なんだから変わらないんじゃない?」


「確かにそうかも知れないな。あんまり面白くなさそうだし変に弄るのは良くないか。」


早速手詰まりになってしまった。俺たちは知識もないし経験もないから何もできないのだ。素人だから何をやって良いのかやったらダメなのかそれすらも分からないのが悔しくて仕方なかった。


「もう寝ようか。」


リベルが諦めてベッドに寝転がった。


「寝ようか。」


俺も諦めて一緒に寝転がりそのまま眠りについた。


「お二人ともー、朝ですよ!」


俺たちは初めてジュナに起こされた。今までは俺かリベルのどちらかは起きていたからジュナに起こされるのは新鮮だった。俺たちはジュナに起こされ顔を洗い身支度を済ませた。


「今日はどうします?」


俺たちは朝御飯を食べながら今日の予定を決めようとした時俺が今日の予定を提案した。


「今日はこのリュックの性能を試そう!」


俺の提案に二人は顔を見合わせ力強く頷いた。俺たちは手早く朝御飯を済ませギルドに向かった。


ギルドに着いた俺は依頼を確認した。その中で俺は採集系の依頼がないか確認した。そこで一つの依頼に目が止まった。そこには何らかの植物が描かれており、その植物を取れるだけ取ってくるという依頼だった。そこには量に応じて報酬が多くなると書かれていてファンタジーリュックの性能確認にはもってこいの依頼だった。俺は誰かに取られる前に依頼書を取り二人の元に戻った。


「今日の依頼は?」


「今日はダバガスって言う植物の採集だ。採集量に応じて報酬が出るからこのリュックの性能を試すにはもってこいだろ?」


「確かに。」


「早速行きましょう!」


俺は依頼書に書いてあることを詳しく見てダバガスの自生地が森林であることを把握し二人を連れて早速向かった。飛んでいる最中に二人にダバガスの絵を見せて効率化を図った。


「ヨシ!取るぞー!」


「「おー!」」


俺たちは目につく限り全てを取ろうとしたが、取りすぎは良くないと思い三分の一ほど取ったら別の場所に移動してを何度も繰り返した。途中で魔物に出会うこともなく採集し続けた。


「お腹空きました〜!」


ジュナの不満に俺とリベルは手を止め辺りを見回すと日が暮れそうになっていた。集中し過ぎて時間を忘れてしまうほど採集していたことに気がついた。その瞬間俺もお腹がなった。


「確かにお腹空いたね、帰ろうか。」


「その前に一度採集量を確認してみようよ。」


俺がファンタジーリュックをひっくり返すと数分間ダバガスが止めどなく出続けた。風魔法でダバガスが散らばらないようにしていたがあまりの多さに途中でひっくり返すのをやめた。俺は無言でリュックの中にダバガスを戻した。


「帰ろうか…」


「うん。」


俺は何とも言えない感情になりながら帰路についた。ファンタジーリュックは背負ってもその重量はリュック自体の重さしか感じず、ますますリュックの疑問は深まるばかりだ。


シュルラーに戻りギルドでダバガスの採集をして来たことをおじさんに伝えると、依頼人が取りに来るまでギルドで保管しておくとのことだった。保管庫に移動してファンタジーリュックからダバガスを出すとおじさんが慌てていた。


「ちょ、ちょっと待て!一体どれだけ取って来たんだ!?」


俺は具体的な量は分からないので時間で伝えた。


「朝からさっきまでです。」


「は?」


おじさんはその一言だけ言って固まってしまった。俺はその間もダバガスを出し続けていてギルドの保管庫をダバガスで埋め尽くしてしまった。


「こ、これで全部です…」


「そ、そうか…ご苦労だったな…」


俺は取り過ぎたと猛省した。流石にギルドの保管庫をいっぱいにしてしまうまで取るのはやり過ぎだった。俺は二人と晩御飯を食べに飯屋ジャンタに行った。


「いやーすごい性能だったね。」


俺が二人に問いかけると二人はファンタジーリュックの感想を述べた。


「本当に凄かったね。まさかあんなに入るなんて思いもしなかったよ。」


「ですよね。なのに重量は感じない。本当に凄いリュックですよね!」


二人の反応は大好評で買って本当に良かったと安堵した。きっとこれから先の旅でも役立つこと間違いなしだろう。

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