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91話 リベルのことは忘れて

「いやーにしてもリフォンの氷魔法の威力は凄かったな!あんな高威力な魔法見たことないぞ。」


ドールが俺の肩を叩きながら褒めてくれた。俺は肩を叩かれながらも応えた。


「そんなに褒めても何も出ませんよ。」


「出すも何も俺たちは返さなくちゃいけない側だからな。期待しておいてくれよ。あはは!」


ドールが声高らかに笑うとそれにつられてみんな笑い始めた。ステーキも食べ終わり日が暮れるとティスタたちはテントを張り始めた。前世のテントとは素材が違うようで硬そうな素材だった。俺は何の素材なのか気になりティスタに聞いた。


「ティスタさん、そのテントって何で言う素材で出来てるんですか?」


ティスタがド忘れしたのか必死に思い出そうとしているとアイリーが代わりに応えてくれた。


「これはパッターカパラって言う素材で石のように硬いのに薄くて扱いやすく嵩張らない最高なテントなんだ。」


「凄いですね。そんなに凄い物ならそれだけ高価なんですよね?」


「その通りだ。アタシたちが買った時はまだそれほどじゃなかったが、今となってはパッターカパラの産地に行くのが困難になっちまったから爆発的に値段が上がってるんだ。」


俺はアイリーに気になったことを聞いた。


「産地ってどこなんだ?それと何で産地に行けないんだ?」


「一つづつ説明していこうか。まずパッターカパラの産地はエクサフォン国内ではない。外界だ。そこに名前は付いてないが、パッターカパラが取れるからカパラの地って言われてる。それに外界だから常に魔物の警戒をしなくちゃいけない。さらに、最近群れるはずのないワイバーンがカパラの地付近で群れをなしてるんだ。だから腕の立つ冒険者でもごく僅かしか素材を持って帰れないんだ。」


ルイバディのみんなはうんうんと苦い顔をして頷いていたから本当のことなのだろう。本来群れないはずのワイバーンが、パッターカパラという有用な素材の取れるカパラの地で群れていることに何者かが裏にいるのではないかと思った。だがワイバーンほどの魔物を従えさせれる強者がパッターカパラなど必要とするのか疑問に思った。そんな疑問に応えるかのようにフィーアが話し始めた。


「ワイバーンが群れている理由はおそらく人為的なものです。もちろんワイバーンより強い魔物もいふけどそれらの魔物はワイバーンを従えることなんてしません。だから人為的なものだと私は思います。」


「俺もそう思うよ。だって奴らは個々でだって生きていける。なのに群れてカパラの地に留まっている。火を見るより明らかだよ。」


ティスタもフィーアの意見に同意のようだ。アイリーたちも頷いているから確定だろう。ルイバディほどの冒険者がそう言っているのなら否定する方が難しい。素人目線で何か言えば失礼になるかも知れないと感じた俺はただ頷くことしかできなかった。そんな会話をしていると次第に眠くなってきて俺はジュナと一緒に寝ることにした。俺は何か重要なことを忘れている気がしたが気にせず眠った。


「おはよう。川で顔を洗ってくると良い目が覚めるぞ。」


俺とジュナはティスタに言われた通り川で顔を洗った。まだ冬だから川の冷たさが眠気を吹き飛ばした。


「もう帰るので良いんだよな?」


俺がティスタに問いかけるとティスタは他のみんなに確認を取り返事をした。


「そうだね。でもバルンの死骸はどうする?これを持って飛ぶのは大変じゃない?」


俺はそんなこと気にしているのかと思ったが愛想良く応えた。


「大丈夫だよこの前もビリヤー五十頭運んだから。」


俺が当たり前のように言うとルイバディのみんなは手に持っていた装備やバルンの素材を地面に落とした。


「え、ど、どうしたの?」


俺が戸惑いながら声をかけると帰ってきた言葉は以外なものだった。


「ビリヤーってあのビリヤー!?あの口どけ最高なビリヤー!?」


ユナがよだれを垂らしながら聞いてきた。あまりの迫力に俺は尻餅をついた。


「そ、そうですけどそれがどうかしたんですか?」


俺が恐る恐る問いかけると今度はアイリーが口を開けた。


「あのなリフォン、お前たちはまだ知らないのかも知れないから教えておくと、ビリヤーは最高級食材にも数えられるほどの魔物だ。でもビリヤーは群れるから手を出しにくいんだ。だから時々いる逸れビリヤーが冒険者にとってのご褒美なんだ。」


口を開けたと思ったら凄まじい力説が飛んできて俺は吃驚してしまった。ビリヤーのステーキが美味しかったのは分かるが、それが最高級食材だとは思いもしなかった。


「へ、へぇそうなんですね…」


俺はアイリーの力説に力ない返事しかできなかった。


「話は戻るけどバルンの死骸も一緒に飛ぶことはできるのか?」


「はいそれは大丈夫です。」


「それなら任せても良いかな?」


ティスタは申し訳なさそうに言った。俺はそんなこと気にしないのにティスタは未だに気にしていて俺は信頼されていなのかと少し心配になった。でもそんなこと気にせず俺は元気に返事をした。


「任された!」


俺はみんなと手を繋ぎ空を飛んだ。再びアイリーやティスタが叫びフィーアは悲鳴を上げていた。


「それじゃあこれ今回の報酬。」


そう言われ俺の手のひらには金貨が乗せられていた。俺は一瞬何の?と思った。俺が悩んでいるとドールが俺の肩を持ち言った。


「これは今回バルン討伐を手伝ってくれた報酬だ。それで俺たちは今からバルンの死骸を換金しに行く。ついてきたらその場でバルンの報酬の半分を渡す。何か用事があるのなら今度渡す。俺たちはどっちでも良いがどうする?」


俺は特に何も考えずついて行くと言いたかったがジュナに止められた。俺がジュナに文句を言おうとするとジュナが先に喋った。


「マズイですよ!俺たちリベルさんのこと忘れてますよ!俺たち何も言わないでティスタさんたちとバルン討伐行って、もう一日経ってるんですよ!早く帰りましょう!」


俺はやっと重要なことを思い出した。俺はリベルがどんな反応をするのか予想できず急いで帰ることにした。


「ちょ、ちょっと友人を待たせてるので帰ります!素材のお金は今度貰いますので。それでは!」


「ちょ…ちょっと…」


俺はジュナの手を取り走り出した。後ろでティスタの声が聞こえた気がするが、俺はそんなこと無視して突っ走った。走って帰ったから息を切らした俺は宿の部屋の前で息を整えた。ジュナは俺の後ろで深呼吸をしていた。俺も深呼吸をして宿の扉を開けた。


次回もお楽しみに


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