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83話 再出発

俺たちは最後のアールノン夫妻の朝食を食べた。門出の日だからといって何か特別な朝食ではなく俺たちが討伐したビリヤーのステーキが出てきた。今までの俺ならステーキはご馳走のように感じていたが、討伐した次の日から毎日ステーキが出てきていて飽きてしまったのだ。だがビリヤーのステーキはかなり美味しくさらに、アールノン夫妻が毎回味付けを変えてくれているので美味しく食べられた。俺たちが朝食を食べ終えるのと同時ぐらいにジュナが2階から降りてきた。


「準備出来ました!」


楽しそうなジュナを見つめるアールノン夫妻の顔はどこか寂しげだった。今まで愛情を込めて育ててきた我が子が旅立つというのは、子どもの成長を感じると同時に別れや喪失感そして不安を感じているだろう。


「挨拶してきな。」


リベルが優しく言うとジュナは何かを感じ取ったのか楽しそうな表情から真剣な表情に変わった。俺たちがいると話せないこともあるだろうと思い、俺たちは村の外で待つことにした。


「お待たせしました!」


ジュナの目は少し赤くなっており別れを惜しむ子どもらしい一面が見えた。リベルもそれに気づいており何も言わず俺たちは村を後にした。


俺が人間の姿になり右手にリベル、左手にジュナというように手を繋ぎ空を飛んだ。ここ毎日空を飛んでいたからすっかり慣れたのかジュナもリベルも何の反応も示さず、心の中ではしゃいでいる俺がおかしいのかと思ってしまった。毎日飛んでいるけどまだ空を飛ぶ心地良さや興奮を感じれる俺の心はまだ子どもなのだろうか。そんなことを考えているとリベルが問いかけてきた。


「次はどこに行く?」


「え?俺に聞くか?」


「倒したい魔物とかいるかなーって思って。ジュナはどう?」


「俺も特に要望はないです。お二人にお任せします!」


「どうする?」


「どうしようか…」


こんなことになるのなら学園の図書館で魔物についての本を読んでから来るんだったと後悔した。リベルのことだから旅の順路とか目的はきちんと明確にしているだろうと思っていたが、案外行き当たりばったりで俺たちはどこに行くのか何をするのかも決まっていない状況になってしまった。


「俺魔物のことなんて全然知らないからな。どんな奴がいるのかとかどこに生息してるのかとか、何も知らないから二人が頼りだぞ。」


「俺だってそんなに知らないですよ。メジャーな魔物ぐらいですよ。」


「一回学園に戻る?」


「ジュナはどうするんだ?」


「あー…」


「とりあえずそこら辺飛び回ってそれなりに大きな街で情報収集すれば良いんじゃないか?それか冒険者に

でもなるか?」


「それ良いじゃん!」


「良いですね!俺冒険者になってみたかったんですよ!」


適当に言った言葉が俺たちの特認実習の本筋になってしまったような気がするが気にしないことにした。


「それじゃあシュルラーに行こうか。」


「何処だそれ?」


俺は初めて聞く街の名前にリベルに問いかけた。


「王都にある中枢機関だけを集めたって感じの街だよ。冒険者ギルドとか王国魔法師団の拠点があったり、鍛冶屋があったり冒険者とか旅人に必要な施設があるんだ。」


「そうですよ。だから国中の情報が集まるって言われてるんです!王都には専門的な情報では及びませんが、魔物の情報や冒険者同士の情報交換などが活発に行われているそうです。」


「そこに行く価値は十分にあるな。」


「それじゃあシュルラーに行こう!」


「行きましょう!」


二人のテンションは最高潮に達しておりもう他の意見は受け付けないと感じるほどだった。俺もかなりテンションが上がっていたが、二人のテンションの高さには負けてしまった。

次回もお楽しみに


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