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80話 スパルタ特訓一日目

「今日からスパルタ特訓を始める。今までの生ぬるい特訓とは比べ物にならないほどハードな特訓になる。それでもやるか?」


「はい!やります!」


「まず今日は魔法を使いまくる。ジュナの魔力が切れても俺とリベルが魔力を与えて再び魔法を使えるようにしてやる。休みは基本的に昼の三十分のみだと思え。水分は自分の水魔法で補え。自分の限界を見つけてその限界をぶち破れ。今のジュナに必要なのは魔法に対する慣れと理解度だ。分かったな?」


「はい!」


「よし行くぞ!」


俺はジュナをビリヤーの巣穴付近に連れて行った。


「ここの山肌を変形させるぐらいの威力でやるんだ。」


「はい!」


ジュナは早速火魔法を山に向かって打った。その一撃は山肌を変形とまではいかないが、山肌の一部を削り取れるほどだった。だがジュナはまだ全力を出していないと確信した。何発も打ってようやく山肌を大きく削り取ったところで一度止めさせた。


「まだ全力じゃないだろ?」


「えっ…?」


ジュナは図星だったのか聞いた瞬間肩をビクッとさせた。やっぱりかと心の中で思ったが、それ以上にさらに威力を上昇させれることに驚いた。


「魔力切れになっても良いから全力でやってみろ。一撃に全部を込めるでも良いし、複数発に分けても良い。自分が得意な方でやってみろ。」


「はい!」


ジュナは息を整え目を閉じイメージを巡らせた。その集中力を維持させるために俺は一歩下がり傍観することにした。


「ハア!」


ジュナが意気込むと同時に轟音が山中に響いた。その後に驚き鳥たちが一斉に飛び立った。その威力は申し分なかった。俺やリベルには劣るがそれは経験の差で埋まるほどジュナの魔法は素晴らしかった。俺はジュナを褒めるために歩み寄るとジュナが倒れた。


「おいジュナ!大丈夫か?」


俺はジュナの手を握りそこから魔法を使う時の感覚で魔力を流し込んだ。その時ある事に気がついた。それはいつまで流し込めば良いのか分からない事だ。誰かに魔力を流し込んだ経験がなくそれに、人によって魔力の総量は異なる。魔力の数値が見えるわけでもないから感覚でやるしかないのだ。


「おいジュナ!起きてくれ!」


ペタペタとジュナの頬を叩いてもジュナは一向に起きる気配はなかった。俺は魔力の流し込み過ぎに気をつけて俺の魔力総量の五分の一程で止めておいた。もし自分の魔力総量以上の魔力が体内にあれば不具合が起こるなど分からないからそれだけが心配だった。


「あ、あれ?俺…」


「おぉ起きたか…良かった。」


「リフォンさん俺どうなってました?」


「魔力切れになったから俺の魔力を流し込んだ。それで少しの間眠っていたんだ。何か不調とかはないか?」


「大丈夫です。むしろなんか気分良くなってきました。次は複数に分けてやりますね!」


「ちょ…」


俺が言い終える前にジュナはイメージをし始めてしまい止めるに止めれない状況になり俺はそのまま傍観した。


「ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!」


左右の手のひらから魔法を打ち山肌を抉り取った。


「どうですか?」


「あれ?今回は魔力切れになってないの?」


「はい!リフォンさんの魔力が上質なのか俺の魔力総量より流し込んでくれた魔力量が多かったのか何ともないです!」


「へ、へぇー…」


困った。実に困った。俺の魔力が特別なのか魔力総量より多く魔力を保持できるのか様々な疑問点が出てきた。学園に通っていたらいつか習ったのかも知れない。でも、受動的に知識を得るより能動的に知識を得る方が自分のためになると言い聞かせて仮説を立てることにした。まず女神の加護か猫の神様の加護によって俺の魔力が特別なものだという説だ。これは十分に可能性がある。次は俺の魔力がジュナに適合していた説だ。俺はグロウ程魔力感知に長けているわけではないから分からないが、人によって魔力の違いがあり似ている魔力同士なら波長が合って良い効果があるのかも知れない。次は魔力総量は自分で作ることができる魔力の量で、許容量はまた別の値だという説だ。ジュナの言い分では魔力総量よりも俺が流し込んだ魔力の方が多かったと思っている。それが事実なら俺の仮説は合っているだろう。でも魔力を誰かから分けてもらう状況なんて滅多にないだろうから気にしなくても良いだろう。


「リ、リフォンさん?どうしたんですかそんなに考え込んで…?」


「あぁごめん。ちょっと考え事してて…」


「何について考えてたんですか?」


「さっきジュナが言ってた事だよ。」


「リフォンさんの考えはどうなったんですか?」


「魔力総量と許容量は違うってのと、魔力は人によって微妙に違ってて俺とジュナの魔力の相性が良かったってところかな。」


「俺も何となくそんな感じがします!」


「適当に言ってるだろ。」


俺は微笑みながら言った。


「いやいやそんな事ないですよ。実際に俺は調子良くなってるんですから魔力の相性はあると思いますよ。それにさっきは魔力切れになったのに今はなってないじゃないですか。確実とは言えませんが可能性は十分にあると思いますよ!」


「そうかなら調子良いまま特訓続けるぞ!」


「はい!」


それから俺はジュナに魔力を流し込んでは自分の魔力が回復するのを待ってまた魔力を流し込んでの繰り返しをし続けた。俺は最低八分の一になるまでジュナに魔力を流し込んだが、それでも俺は魔力切れにならなかった。もしかしたら魔力総量は勝手に自覚しているだけで本当はもっと多いのかも知れない。ジュナが魔力総量以上の魔力を流し込まれても大丈夫だったのはそれが原因かも知れない。今回のスパルタ特訓は俺にも発見の多いものとなった。

次回もお楽しみに


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