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63話 王都では

「リフォンただいま!今ごはん…あれ!?リフォン!リフォン!?どこにいるんだ!?」


(リフォン?聞こえてる?)


「ヤバいヤバいヤバい!そもそも学園の首輪で待っててって命令してたのに…」


寮の部屋をぐるぐると歩きながら思考を巡らせる。そこで何かを踏んだ。靴越しで何を踏んだのかわからなかったが手に取ってみた。


「首輪?え、なんで…リフォンの頭が良いのはわかってたけど流石に学園の首輪を外せるとは思わないじゃん。そんなことより早く探しに行かなくちゃ!」


夜も更けてきて辺りが暗くなってきた。王都の中を走りながらずっとリフォンの名前を呼んでいたがリフォンから返事は返ってこなかった。聞こえていないのかと思いテレパシーに切り替えたがそれでも全くダメだった。


「そんなにリフォンの名前を呼んでどうしたの?」


そこにはハーリーとハリスが不思議そうな顔をして立ち尽くしていた。


「ハーリー聞いてくれ!リフォンがいなくなったんだ!」


「え!?何があったの?」


「僕が魔神教団の奴らのアジトを探しに行って帰ったらリフォンがいなくなってたんだ…」


「その手に持ってるのって首輪?」


「うん…リフォンが自分で外したんだ…」


「自分で!?そんなことできるわけない!学園の首輪は召喚者にしか外せないようになっているのは知ってるでしょ!?」


「でも現実リフォンは自分で外したんだ…」


「こんな話してる場合じゃないわリフォンを探しましょう!」


「わかった…」


「ハリスは屋根の上を見てくれない?」


「分かった。」


手分けして3人でリフォンを探したが見つからない。太陽が1日の始まりを告げる中、僕たちの体力と気力は底をつき諦めるしかなかった。ハーリーとハリスは肩を落としながら寮の部屋に戻った。僕はそんな2人を見送り自室に戻った。


「リフォン…リフォン…リフォン…」


喪失感、虚無感、疲労それらの感情が津波のように押し寄せてきてベッドの上で涙を流しながらリフォンの名前を呼ぶことしかできなかった。


「リベル!リベル!」


ドンドンと扉を叩きながら聞こえるハーリーの声に目を覚ました。


「ご、ごめん。何かあった?」


僕は扉を開けてハーリーを見つめた。ハーリーは1枚の紙を持っていた。僕がその紙について聞く前にハーリーが言った。


「これ、使い魔捜索願届。書いてマリー先生にでも出してきて。私たちはリフォンを見た人がいないか聞き込みしてみる。」


「ありがとう…本当にありがとう…」


「涙…」


ハーリーは僕の涙を拭いて王都にリフォンを探しに行った。僕は机に向かいその紙に必要事項を書き込みマリー先生の所に向かった。


しばらく歩きマリー先生の部屋に着いた。涙で目が腫れていないか心配だったが、確認する前にマリー先生が出てきてしまった。


「どうしたの何があったの!?」


マリー先生はすごく慌てていた。きっと僕が誰かにいじめられてここに来たのだと勘違いしたのだ。


「先生これを出しに来ました。」


「え、これって…」


「昨日からリフォンが行方不明になったんです…」


「中で聞くよ。」


僕はマリー先生の部屋に入った。マリー先生はコーヒーを淹れてくれた。心を落ち着かせるために普段はあまり飲まないコーヒーを口に含んだ。本来苦いはずのコーヒーが甘く感じるほどリフォンを失った感情は辛いものだった。僕は起こったこと全てを話した。


「そんなことが…魔法を研究している身からすると不思議かつあり得ないことだからワクワクしちゃうけど、今は状況が状況だから他の教員にも協力してくれないか聞いてみるよ。」


「はい…ありがとうございます…」


「ねぇリベル君、自分のせいだって思ってない?」


「実際僕のせいですよ…リフォンと一緒だったらこんなことにはならなかったんですから!」


僕は自分に怒りをぶつけるように怒鳴った。


「君のせいじゃない、どちらかと言うと学園のせいだ。使い魔用のアイテムを使い魔に解除されたんだ。対策できてなかった私たちのせいだ。本当に申し訳ない!」


マリー先生の大きな声を聞くのは初めてだったから少し驚いた。マリー先生は普段は優しくも怒る時はきちんと怒る先生なのだと理解した。


「先生が悪いわけじゃないんですから謝らないでください…」


「謝らないわけにはいかないよ…とりあえず私は他の教員に話してくるよ。リフォンを探す際怪我には気をつけて。」


「はい、ありがとうございます。」


マリー先生は部屋から飛び出した。今まで見たことないスピードで走り出したから少し吃驚した。驚いている場合じゃないとコーヒーを全部飲み部屋を後にした。

次回もお楽しみに


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