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61話 誰かがやらなくちゃ

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

最近のリベルはずっと顔を顰めている。その原因が魔神教団なのは明白だ。だが、俺に出来ることはない。正直に言うと何もしたくない。厄介ごとには首を突っ込まず、平和で幸せな日常を過ごしていたい。そんな俺とは違い、リベルは真逆だ。正義感に溢れ、自分のことよりも他人のことを思いやる聖人君子。俺とは住む世界が違うのが分かる。俺はそんなリベルについていける自信が無かった。俺が考え耽っているとリベルが話しかけてきた。


(ねぇリフォン…)

(何だ?)

(あのね…)


リベルは言いづらそうにしている。俺はリベルが魔神教団のことについて思うところがあるのは分かっていたから話を振った。


(魔神教団のことだろ?)

(流石リフォンだね。僕の考えてることなんてお見通し?)

(毎日そんな顔してたら嫌でも分かるよ。ところでリベルはどうしたいんだ?)

(正直に言うと魔神教団は許してはおけない。王都の人たちも被害に遭ってる。いつか僕たちにも被害が及ぶかも知れない。)

(そうだな…)


俺の考えていた通り、リベルは魔神教団を自分の手でどうにかするつもりのようだ。リベルの考えを手放しに肯定出来るほど勇敢でも、リベルの考えを真正面から否定できるほど無慈悲でもない。俺が返答に悩んでいるとリベルが口を開いた。


(リフォンには危険な目にあって欲しくないからここで待ってて。)

(え…?)


そう言い終えるとリベルは俺の頭にキスをして部屋を出て行った。俺はすぐに追いかけようとしたが体が動かなかった。まるで体が石で出来ているみたいにびくともしなかった。


(リベル!リベル!)


何度呼んでも返事はなく虚しいだけだ。俺はどうにかして動こうと必死だった。魔法を使っても俺の体は動かず、今の状態を維持しているようだった。そこでようやく気がついた。俺は首輪の光魔法にかかっているのだと。リベルからこんな魔法があるとは聞いていなかったが、光魔法の使えないリベルではこれしかないだろう。俺は光魔法が使えることがバレることなんて気にせず自分の光魔法を首輪にぶつけてみた。より強い光魔法なら上書きできるのではないかと考えたのだ。だが、思うようにことは上手く進んではくれない。


(あぁ!もう!)


俺は心の中で愚痴を漏らした。いくらやってもダメだったから趣向を変えてみた。それは、首輪を外すことだ!首輪をしているから魔法が発動しているのであって、外したら機能しなくなると考えたのだ。俺は久しぶりに見えざる手を使った。最初は手が大きすぎて外しづらかったから手を小さくして首輪を外した。俺の見えざる手はかなり融通が効きスムーズに外せた。俺はそのまま部屋の扉を開けて走り出した。無我夢中で何も考えず走った。リベルを見つける一心で走りまくった。でもリベルは見つからなかった。リベルとは行ったことのない裏道やこの前リベルがボソッと口に出していた地下街にまで行ったが見つからなかった。


(リベル…どこにいるんだよ…)


俺は疲れ切ってまともに歩くことさえままならない状態になっていた。さらに、全力疾走なんてしたこと無かったから下手な走りで足腰を少し痛めていた。俺は初めて来る地下街に少し恐怖心を覚えたが、今は疲労感が勝り眠りについてしまった。


次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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