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56話 ダンジョンボス

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

俺たちは階層ボスの部屋に入った。中は真っ暗で何も見えなかっただろうが、俺は猫なのでかなり鮮明に見えていた。3人は何も見えないので火魔法で辺りを照らした。


「何がいるんだ?」

「分からない。」

「見当もつきません。」


3人は周りを見ながらいつでも反撃できるように魔法を構えていた。そんな中俺の目には暗闇に1つの塊のような物が写っていた。俺は何故だか脅威を感じなかったのでその塊に近づいた。


「リフォン?どうしたの?」

「なんか気になる物があるから確かめる。」

「大丈夫なの?」

「多分。」


俺はリベルたちの事は気にせずその塊に近づいた。近づきその塊をよく見ると微かに震えている事が分かった。その震え方が俺には子供が三角座りをして泣いているように見えた。


「大丈夫か?」


心配になった俺は塊に話しかけた。


「僕の事が見えるの?」


涙声で返事をした。


「うん。お前このダンジョンの階層ボスだよな?そんな性格でやっていけるのか?」

「無理だよ…そもそもやりたくてやってる訳じゃないんだ。」

「どういう事だ?」

「気がついたらここにいたんだよ。僕が何者なのか、どこから来たのか、何も分からないんだ。」

「そうか…お前ここから出られないのか?」

「僕の力じゃ扉を開ける事すら出来なかった。それに僕は影がある所でしか存在出来ないんだ。」

「珍しいな。名前はあるか?」

「チャヤ。」

「チャヤか、かわいい名前だな。」

「かわいくなんてないよ。」

「そう卑下するな。自分に誇りを持て!」

「でも…」

「でもじゃない。少なくとも俺はチャヤの事が気に入ったぞ。影がある所でしか存在出来ないなんてお前だけだろうからな。」

「僕だけ…?」

「そうだ唯一無二の存在だ。だから自分に誇りを持て。胸を張って生きろ。分かったな?」

「うん!ありがとう!」


そう言うとチャヤは俺に覆い被さった。俺が動揺していると頭の中にチャヤの声が響いた。


(勇気を貰った分お返ししたいからついて行くね!名前なんて言うの?)

(俺はリフォンだよろしくなって言いたいところだけど、どういう事なんだ?)

(僕が君の影になったんだ。)

(ん?何を言ってるんだ?)


俺は一切理解出来なかった。


(僕にも分かんない!でもなんか出来そうって思ったら本当に出来たから僕も驚いてるよ。)

(何でそんな他人事なんだよ…)

(これからよろしくねリフォン!)

(よく分からんけどよろしく。)


そうこうしていると部屋の闇が晴れた。俺は自分の影を見てみた。そこにはいつもと同じ影があるだけだった。


「リフォンがやってくれたの?ありがとう!」

「一体どんな階層ボスだったんだ?」

「流石リフォン様です。」


持て囃されてチャヤの事を説明出来なかった。そのダンジョンは1階だけだったようで俺たちはそのまま屋敷に帰った。


「お父様ダンジョンはリフォンが1人で攻略しました!」

「俺たちは何もしていません。」

「お恥ずかしながらお坊ちゃまたちの言う通りです。」


3人は端的に事の顛末を報告した。


「なら3人は外してくれ。リフォンと話をしたい。」


3人は部屋を後にした。


「影にいる奴は何者だ?」

「やっぱり気づいたか…きちんと説明するよ。コイツはダンジョンの階層ボスで、チャヤって言うんだ。俺がチャヤの事が気になって色々話していたら、俺の影になったんだ。」

「危険性は?」

「無いと思うよ。臆病な性格だし自己肯定感も低かった。俺と話していくうちに自分を好きになれた感じだった。そのお礼で俺の影になったらしい。」

「そうか…話したと言う事は意思疎通が出来るんだな?」

「あぁ。」

「ならリフォンの命令に従うように言ってくれ。万が一被害が出たら洒落にならん。」

「分かった。 言っておく。」


俺はグロウの部屋を後にした。リベルの部屋に戻る途中チャヤに心の中で話しかけた。


(チャヤいるか?)

(いるよ!さっきの話だろ?僕はリフォンの言う事なら何でも聞くよ!)

(話が早くて助かるよ。でも自分の身を犠牲にする事はしないでね。)

(分かった!)


「お父様は何か褒美はくれた?」

「いや何も無かったよ。」

「えー!?なんで?」

「今回魔法特訓の成果何も発揮出来てないじゃんだからでしょ。」

「あぁ…」


リベルはそのまま何も言えなくなってしまった。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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