53話 魔法特訓1日目
異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!
ピクニックを終えた午後、俺たちは魔法の特訓に励んだ。リベルはあまり使ってこなかった雷魔法を重点的に使っていた。ごく僅かな魔力を使って静電気程度の魔法を使ったと思えば、落雷を落としたりと強弱をハッキリとさせている。リーンは左手に水、右手に氷魔法を使い水の玉を撃ち、左手の氷魔法でその撃った水の玉を凍らせていた。2人とも魔力のコントロールや工夫に重きを置いているように思える。俺はそんな2人に恩恵を与えてみた。
「「うわ!」」
2人は恩恵によって急に魔力が強化されたから思いもしない挙動をして驚いていた。
「あはははは!ごめんごめんそんなになるとは思わなかった。」
「もー!」
「せめて一声かけてくれ。」
「じゃあ恩恵の強弱を調整できるかやってみるから心構えしておいて。」
「「分かった。」」
俺は2人にかけた恩恵を弱くしてみた。
「あっ弱くなった。」
「このままにしてくれないか?」
「良いよ。でもこの感覚には慣れない方が良いと思うよ。普段の魔法の感覚とは違うだろうから。」
「分かってるよ。」
「リベルも学園ではあんまり使えないから慣れないようにな。」
「オッケー!」
2人はいつもと違う魔法の感覚に楽しそうな顔をしながら魔法を使っていた。俺は光魔法を使いながら火魔法も使えないかとやってみた。その結果、火魔法はいつもより弱くなってしまった。光魔法を維持しようと意識すると火魔法のイメージや乗せる感情が少なくなり弱まったのだ。ここで俺のやるべき課題が見つかった。光魔法はどんな場面で腐らない魔法と言っても過言では無い程の魔法だ。そんな魔法と普通の魔法を一緒に使えるのはかなりのアドバンテージにもなるだろうから長期休暇の間で、どれだけものに出来るかで今後の猫生がどうなるのか変わりそうだ。
それから俺は恩恵と火、水魔法の配分を変えたり、配分はそのままにして火、水魔法に感情を乗せたり様々な試行錯誤を繰り返した。配分を変えてしまうと恩恵が切れてしまったり、感情を乗せると恩恵がさらに弱くなったりしてしまう。光魔法の操作は火、水魔法とは比べ物にならない程の難易度で一緒に使えるようになるのか疑問に思う程だった。時間も忘れ魔法に打ち込んでいると視界の端にマイヤーが映った。
「3人ともそろそろ晩御飯の時間ですよ。」
「「「はーい!」」」
俺たちは無邪気な子供のように返事をしマイヤーと共に屋敷の中に戻った。俺たちは魔力をかなり消費したからゆっくり歩くマイヤーと同じぐらいの速度でしか歩けなかった。魔力を消費すると言うのはそのぐらい体力も消費する事なのだと理解した。
「3人ともお疲れ様。今日得た学びはあったか?」
「俺は特には無かったな。でも恩恵を得た時の感覚は分かったよ。」
「僕も特には無かったよ。」
「俺は光魔法と普通の火、水魔法を同時に使おうとするとどっちつかずになるって事ぐらいかな。」
みんなが驚いた顔をして止まっている。俺にはその光景がとても面白く見えて今にも吹き出しそうだった。俺は笑いをグッと堪えてみんなに聞いた。
「ど、どうしたのみんな。そ、そんな顔して。」
「光魔法と他の魔法は同時に使えるのは先代聖女様か光魔法が得意な妖精レベルだけだぞ。」
「え? ほ、本当に?」
「「「うん。」」」
みんなが一斉に頷き俺は吃驚した。火と水や火と雷は同時に使えるのに、何故光と他の魔法は同時に使えないのか疑問に思った。
「そもそも光魔法を使える者自体少ない、さらに光魔法はかなりの魔法適性と才能が必要となってくる。他の魔法も同時に使うとなるとさらに魔法適性と才能が必要になってくる。先代聖女様でも完璧に光魔法と他の魔法は使えなかった。リフォンお前はそう言うレベルにいるんだ。今後の活動には十分に注意しなさい。」
「分かった。」
その場には何とも言えない空気が漂い口を開けなかった。そのまま食事を終えリベルの部屋に行った。俺が無言で座っているとリベルが俺を抱きしめた。
「お父様はああ言ってたけど内心すっごく優しくて家族想いだから嫌わないでね。」
「嫌いにはならないよ。でも実際いつどこに誰がいるのか分からないから細心の注意を払わないといけないな。」
「リフォンなら大丈夫だよ。」
俺はリベルに抱かれたまま眠りについた。
「久しぶりですね。」
「女神様!?お、お久しぶりです。今回はどうしたんですか?」
久しぶりの女神に動揺した。
「何もないですよ。今回は魔法に関する助言をしに来たんです。いりますか?」
「欲しいです!」
俺はこの世界で安全に生きる為に即答した。
「良い意気込みです。魔法の操作というのは魔力をどのぐらい使うのか、魔力をどう使うのかによって変わります。さらに、魔力を1つの方向から出すのか、2つ又は3つの方向から出すのかでも変わります。魔力を感じ取って操作するそれが魔法の極意です。ですのでこれから先毎日寝ている間も起きている間も魔力を感じてください。何か質問はありますか?」
「俺結構魔力感知下手なんですけど出来ない場合どうしたら良いですか?」
「私と猫の神様の加護があるので心配ありません。他にはありますか?」
「ま、魔神教団ってどんなやつらですか?」
俺は関係ないが一番知りたい事を聞いた。
「魔神教団は、魔神を信仰し闇魔法を得意とする教団です。本来闇魔法は人間から迫害された魔人たちに与えられた魔法でした。ですが、一部の人間は魔人たちと同様に迫害され闇魔法が使えるようになりました。その迫害された人間が魔神教団です。他に聞きたい事はありますか?」
「もう無いです。ありがとうございました。」
こんなにあっさりと魔神教団の情報が得られて少し吃驚した。流石に表面上の事しか分からなかったが、それでもかなり有益な情報を得られた。
次回もリフォンの猫生をお楽しみに。