52話 ピクニック
異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!
朝起きて御飯を食べてリベルたちと同じ時間を過ごして御飯を食べて寝るという至福の毎日を過ごしていた。そんなある日リベルが思い出したと言い放ちグロウに何かを伝えに行った。俺はそんな事は気にせず昼寝をした。俺は誰かに抱き抱えられる感覚で目を覚ました。
「おはよ。今からピクニックに行くよ!」
「思い出した事はこの事だったか。」
俺はそのままリベルに抱き抱えられながら玄関に向かった。みんな俺を待っていたようで俺はその事を謝るといつもの事だからと許してくれた。
「行こうか。」
ルネスたちに荷物を持たせ草原が広がっている屋敷の庭に出た。
「風が気持ち良いな!」
「楽しそうだねリフォン。」
「基本的に屋内にいる事が多いからな。こうやって外に出るのは気持ちが良い。」
「芝生で寝転がるのは気持ちが良いぞ。」
「グロウは好きなのか?」
「若い時はよくしていたが、最近は仕事が忙しくて全くだな。」
「昔一緒に寝ていたのを思い出しますわね。」
そんな会話をしていたら小高い丘の上に高木が一本だけ植えられた所に着いた。そこは高木のおかげで木陰が出来ておりとても居心地の良い場所だった。
「こうやってのんびりしてるだけでも良いな。平和を噛み締めてるって感じがする。」
「確かに良いね。のんびりできる。」
そんな話をしていると誰かの腹の虫が鳴った。
「お昼にしましょうか。」
そう言うとマイヤーはルネスからバスケットを受け取り座り込んだ。地面には事前にルネスがシートを敷いており汚れる心配は無かった。
「はい。」
マイヤーはリベルにサンドイッチを手渡した。おそらく先ほどの腹の虫の正体はリベルのようだ。
「ありがとう。」
「3人もどうぞ。」
「「「ありがとう。」」」
俺たちはマイヤーから手渡されたサンドイッチをゆっくり味わって食べた。その様子は今の時間をも噛み締めているようだった。
「突然なんだがグロウとマイヤーの学生時代の話が聞きたかなったんだが話してくれないか?」
「良いぞ。大きな出来事をピックアップするからその中から聞きたいのを選んでくれ。一つ目は、部活対抗祭だな。二つ目は、3年生の時にマイヤーと2人で行った旅行だな。最後が6年生の時のダンジョン攻略だな。どれが聞きたい?」
俺は少し考えた。今後の実りに繋がるのは一つ目と三つ目だが、一番聞きたいのは二つ目の旅行の話なのだ。俺が最適解を出せずにいるとリベルが二つ目と言った。一番聞きたかった話だが今後の事を考えると少し残念な気もしたが、それは今度聞くことにした。
「私とマイヤーが旅行に行ったのは隣国のフマー国だ。その国はブラフマーを信仰しているから国も名前もブラフマーから取ってフマー国にしたほどのブラフマー信仰国だ。そんな国で私たちがした事と言えば本当にただの旅行なんだ。出店で食べ歩きをして雑貨屋でアクセサリーなどを買ったり、あと少しだけ魔法を学んだ程度だ。だが国の雰囲気は全然違ったんだ。フマー国は森林の中にある国だから木造建築が主流なんだ。と言っても国王が住んでいる城はこっちと同じコンクリート製だったがな。とまぁそんな感じだ。さっきの部活対抗祭とダンジョン攻略の事は聞かなくて大丈夫か?」
「ダンジョン攻略の事を聞きたい。」
俺はリベルに先に言われる前にグロウの質問に答えた。
「ダンジョン攻略は学園の生徒の為に一度ダンジョンがどう言う所なのかを体験する行事だ。そのダンジョンは普通のダンジョンと比べてあまり難易度は高くないらしいが、それでも私たちの代はかなり苦戦したのを覚えている。ダンジョンは形を変えるものもあるのだが、そのダンジョンはそんな心配はないから安心して攻略に踏み込めたが、シンプルに魔物が強かったんだ。3人が攻略した地下迷宮はそれほど数は多くなかったようだが、ダンジョンはその何倍下手したら何十倍にもなる魔物の数が現れるから、今のうちから広範囲魔法を覚えたり魔力を必要最低限で済む効率の良い魔法を覚えておきなさい。必ず役に立つのは私が保証しよう。リーンもだぞ。」
「「「はい!」」」
俺たちはその言葉を聞き今日から魔法の練習をする事を決めた。長期休暇の間に課題が出されていると言うわけでもなくただの休みだからこの時間を利用するのが最も効率が良く自分の成長に繋がるからだ。
「3人とも魔力切れは起こさないようにするだぞ。それも練習のうちだ。」
「「「はい!」」」
俺たちの楽しくも大変な魔法特訓が始まった。
次回もリフォンの猫生をお楽しみに。