51話 平穏な日常
大学が始まったのでこれからは投稿できる時に投稿します。気長に待っていてください!
「お父様!お母様!」
「「リベル!」」
3人は抱き合いグロウとマイヤーは少し涙目になっていた。しばらくの抱擁の後俺に視線が集まった。
「ただいま。」
「「おかえり!」」
先ほどのリベルと同様に抱擁されグロウとマイヤーに懐かしさを覚えた。リベルに比べ俺に対しての抱擁は長かった。半年間俺のモフモフを触らなかった反動が来ているようだった。
「リフォンだけ長い!」
そんな様子を見てリベルが怒った。
「「はっ…!」」
2人は夢中になっていたのかリベルが呼びかける声でようやく気づいたようだ。
「す、すまない…つい夢中になってしまった。3人とも疲れているだろう。早く屋敷に入ろうか。」
俺たちはようやく我が家に帰って来ることが出来たのだ。部屋に入りベッドの上でくつろいだ。昼過ぎの気温は心地良くいつの間にか眠ってしまった。
「リフォン!晩御飯だよ!」
俺はリベルの声で目が覚め、今まで寝ていた事を自覚した。
「ご、ごめん今行く。」
俺は足早にダイニングルームに向かった。前までの日常が帰って来た事を自覚した。
「遅いぞ。」
「リフォンが遅いなんて何だか懐かしい気分だわ。」
「今日は3人が帰って来たんだから御馳走にしたのだ。冷める前に来てくれて助かった。」
「ベッドの上でくつろいでいたらいつの間にか寝てたんだ…」
俺はテーブルの上に乗り今晩の料理の高級さと凄さを実感した。1人づつステーキがあり、テーブルの真ん中にはロブスター、スープはフカヒレスープの様でどれも美味しそうで涎が出て来た。
「食べようか。」
グロウの言葉を皮切りにみんな手を合わせてから食べた。俺は心の中でいただきますと言いステーキを頬張った。小さく切られており食べやすいサイズだった。ステーキはとても柔らかく肉汁が噛めば噛む程溢れて来た。そんなステーキに舌鼓を打っているとリベルがロブスターを取ってくれた。俺は遠慮する事なくロブスターを頬張った。久しぶりに甲殻類を食べたからか懐かしさに日本の事を思い出しそうになったが、日本でロブスターなんて食べた事無いから都合の良いように解釈してしまっている。
「リベル、リフォンこの半年間どうだった?」
「リフォンのおかげでとっても楽しかった!」
リベルは精神が成熟しているから年齢を勘違いする事があるが、まだ12歳の少年なのだ。今日はいつも以上に子供のような気がする。久しぶりにグロウとマイヤーと会えたからだろう。
「具体的にはどのような事をしたのだ?」
「使い魔競技会で優勝したよ!リフォンが火魔法で炎龍を作って、僕がエクサフォン城を火魔法で作ったんだ!みんな大絶賛だったよ。」
「そうか流石私の子だ!これからも自重する事なく自分の才能を磨き続けてくれ!」
「後ね、地下迷宮にも行ったよ。ルネスが同行してくれたんだ。最初の方は簡単だったけどミノタウロスやゴーストは苦戦したねリフォン。」
「あ、あぁそうだな…」
俺はグロウの表情が険しくなったのに気づき自分から何か言う事はしなかった。
「そうか…2人に大事が無くて良かった。その事は国王から聞いていたのだが、詳細までは知らなかったから心配していたのだ。」
「リフォンがいなかったら危なかったかもね。お父様、リフォンったら凄いんだよ!地下迷宮で初めて光魔法を使ったのに浄化も恩恵も使えたんだよ!」
その言葉にグロウ、マイヤー、リーンが手を止め俺のことを見つめた。俺はどんな反応をすれば良いのか分からず苦笑するしか無かった。
「リフォンそれは本当か?」
「うん。本当だよルネスに聞いてみたら分かるよ。」
「ルネスを呼んでくれ。」
グロウがルネスを呼んだ。
「お呼びでしょうか?」
「あぁ、リフォンが恩恵を使えるのは本当か?」
「左様でございます。私から伝えるのはお2人に失礼だと思い旦那様には伝えなかったのです。」
「そうか下がってくれ。」
「はい。」
「私からも良い?」
マイヤーも何か聞きたいようだった。
「良いよ。」
「光魔法を使ったのは本当に初めてなの?」
「初めてだよ。でもクラスの子が光魔法の勉強をしてるのを見てたから少しだけ知識はあったよ。」
「それだけで出来たら苦労しないわ…」
マイヤーは眉間を指で抑え項垂れている。
「恩恵ってどんな感じなんだ?」
リーンが単刀直入に聞いて来た。
「うーん…俺の方は何だか不思議な感じなんだよ。リベルに力を貸してくださいってヴィシュヌに祈ったら出来たから俺は何もしてないんだよ。」
「リベルはどんな感じだったんだ?」
「えーとね体が軽くなって力が湧いて来る感じ!自分が一時的に強くなったって誤認するぐらいだったよ!」
「一度試してみたいな…」
リーンがボソッと呟いたのを聞き逃さなかった。
「試すか?」
「良いの!?」
「ず、ずるいぞ!わ、私もお願い出来ないか?」
「良いよ。」
美味しかった晩御飯は終わりリーンとグロウに恩恵をかけてあげるために庭に出た。
「1人づつかけるからね!まずはリーンね。」
俺はリーンに恩恵をかけてあげた。リベルの時に掴んだ感覚が流れて来た。俺は成功を確信した。
「すげぇ!本当に体が軽い!」
リーンはピョンピョンと飛び跳ねていると剣を持って来た。
「そぉい!」
リーンは少しだけ力を込めて剣を振ると風圧で俺の毛が靡いた。
「すげぇ!すげぇ!たんのしー!」
リーンがあまりにも楽しそうだからしばらくそのままにしておいたら、グロウが痺れを切らしたのでグロウに恩恵をかけてあげた。
「な、何だこれ!?体が20代に戻ったみたいだ!よし!」
グロウは大きな火の玉を作り出した。その大きさに少しの間見惚れ惜しそうに火の玉を消した。
「魔力まで強化されているようだな。リフォンこれは本当に信頼出来る相手にしか使ってはダメだぞ!家族は失いたく無いからな…」
「分かってるよ。俺だってみんなと離れ離れにはなりたく無い。」
俺たちは屋敷の中に戻り半年間の思い出を話し1日を終えた。何気ない日常が俺にとって一番の幸せだと改めて思った。
次回もリフォンの猫生をお楽しみに。