50話 久しぶりの我が家
異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!
「リフォン起きて!帰るよ!」
俺はリベルの大きな声で目を覚ました。今日から長期休暇に入るため朝早くから家に帰るのだ。
「フニャ〜。」
俺はあくびをして体を伸ばした。
「ほら行くよ!」
リベルは大きなカバンを持っており早くして欲しそうに足踏みをしている。俺はそれに応えるように歩き出した。
(リベル、忘れ物は無いか?)
(無いよ。あったとしても困る物じゃないから良いよ。)
(それよりリーンは一緒に帰らないのか?)
(兄さんはもう馬車の所にいるはずだよ。リフォンが全然起きてくれないから遅くなってるんだ。)
(じゃあ浮遊して行くか?)
(こんな大荷物持ってるからやめとくよ。)
(そうか。他の人にも迷惑になるかもしれないからな。)
(そうだよ。水魔法でサーフィンみたいにしたいけどしてないのは周りの人に迷惑だからだよ。)
(そうだな。あれリーンじゃないか?)
(やっぱり待たせちゃってる早く行こ。)
俺たちは小走りでリーンの元に向かった。
「遅かったな。」
「ごめん。リフォンが全然起きてくれなくて…」
(すまん。)
(別にいいけど今度からはしっかり起きてくれよ。)
俺たちは馬車に乗り込んだ。王都を離れるのは少し寂しいけどグロウたちに会えるのはそれ以上に嬉しい。
「2人はこの半年間どうだった?」
「どうって…結構頑張ったよ。競技会も普段の授業も地下迷宮も。」
「地下迷宮?」
リーンはリベルに聞き返した。それもそのはずだ。これは学園長から依頼されてやった事だから俺たちと国王の他に知る者はいないのだ。
「えっと地下迷宮って言うのはね…」
リベルは俺の方を見て話して良いのか尋ねているようだ。俺は話しても良いぞと頷いた。
「地下迷宮はね、僕とリフォンが学園長に依頼?されてやった事なんだ。事の始まりは競技会の報酬からなんだ。2つの内1つ選ぶ方式だったんだけど、リフォンが悩みに悩んでどっちも貰える方法を聞いたら、地下迷宮を調査してくれたら良いってなって調査する事になったんだ。もしかしたらお父様とお母様には話がいってるかもしれない。」
「うーん?どういう反応が正解なんだ?」
「僕も分かんないや、あはは…」
「とりあえず俺が思ってるより数倍凄いことをしてたのは理解した。お父様とお母様にも伝えろよ。」
「もちろん伝えるよ。リフォンも一緒によろしくね。」
「え?まぁ良いけど。」
「休暇の間何したい?」
「そんな急に言われても…」
俺は少しの間考えても何も思いつかなかった。
「思いつかないなら良いよ。急に言ってごめんね。」
「いや謝るような事じゃない。毎日のんびり過ごせる事が俺にとって1番の幸福だから思いつかなかったんだ。」
「ピクニックでも行くか?屋敷の周りは魔物もいないし草原が広がってるだろ?ピクニックにはピッタリだ。」
「良いね僕もしたい。」
「のんびりピクニックか、良いな。」
リーンの提案に俺とリベルは絶賛した。日常を少し彩るピクニックは俺の理想の休暇にピッタリだ。地下迷宮なんていう命の危険が少なからずある所より日常を健康に過ごす事が1番の幸せであり理想だ。
「2人とも魔法の腕は上がったんだろ?どのぐらいなんだ?抽象的で分かりづらいかもしれないが知りたいんだ。」
「僕の魔法はビリオンをワンパン出来てミノタウロスにはあんまり効かないぐらいだよ。」
「俺はあんまり魔法使ってないけど光魔法の浄化がゴーストキングにも有効で恩恵も使える。火と水はぼちぼちだな。」
「お前ら本当に凄いな…この半年でしかも1年生でこんなに成長するなんて。正直兄弟じゃなかったら嫉妬で狂ってたよ。」
「「あはは…」」
俺たちは乾いた笑いしか出なかった。
「そ、それよりリーン兄さんはどうだった?この半年間。」
「そうだなぁ...特に何もなかったな。リフォンはどうなんだ?この半年間学園にももう慣れてかなりの時間たってるだろ?」
「俺はこの半年間かなり充実した半年間だったぞ。地下迷宮とか言う危険な場所に放り込まれることになったがな。」
「でもそのおかげで光魔法の腕前がかなり上がったでしょ?」
「上がったけど...その過程がかなり過酷なものになってしまったからそれだけが唯一の欠点だな。」
「魔法なんてそんなものだぞ。俺だって学園に通い始めて4年経つけど全然だ。そもそもかなりの時間魔法を使わないと魔法の腕は上がらないんだ。だからリフォンの魔法の才能はかなりのものなんだって自信を持ったほうが良いぞ。」
「そうなのかならもっと自信を持つけど、命が大事だから地下迷宮とかにはもう行かないようにする。」
「うんそれが良いな。」
「僕は行っても良いけどな。」
「俺が嫌なんだよ。なんで意味もないのに命を懸けなくちゃいけないんだ。」
「そうだぞリベルむやみに迷宮なんかに行ってお前が返って来なかったらお父様とお母様、俺はどう思う?メイドたちに執事たち、クラスメイトはどうだ?少し考えたら分かる事だろ?」
「二人の言うとおりだね僕が子供過ぎた。これからはきちんと考えてから行動するようにするよ。」
「「うんうん。」」
そんな会話をしているとスイール村に着いた。
(ここに来るのも久しぶりだね。)
(そうだな。)
「おや?リーン様にリベル様にリフォン様じゃないか!もう長期休暇かい?」
「マリネおばさん!お久しぶりです!」
「久しぶりだな。もう長期休暇に入ったんだ。」
「そうかいそうかい。ごはん食べていくだろう?」
「はい!」
「もちろんだ。」
「ニャー!」
俺たちはマリネおばちゃんの飯屋で鹿肉煮込みを平らげた。前に食べた時よりも更に美味しくなっているように感じた。
「ありがとうマリネおばちゃんまた長期休暇明けにね。」
「グロウ様によろしく言っといてね。」
「はーい!」
俺たちは馬車に乗り屋敷に向かった。馬車に揺られていると眠くなったのでリベルの膝の上で寝ることにした。
「お父様!お母様!」
リベルの大声で目を覚ました。リベルは馬車から急いで降りてグロウとマイヤーのもとに向かった。リーンはそんなリベルを見ながら微笑んだ。
次回もリフォンの猫生をお楽しみに。