49話 パーティー
異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!
「どこでパーティーするの?」
「私の別荘でやりますの。それほど大きい所ではありませんが、この人数でパーティーをするなら丁度良いぐらいですわ。」
「ありがとうナサリー。何か用意する物とかある?」
「それは大丈夫だぜ。今からみんなで買いに行くんだ。」
「それじゃあ早く行かないとだね!寮の前で待っててすぐ準備するから。」
リベルは出掛けるために少し身支度をしてみんなの元に行った。
「お待たせ、行こうか!」
みんなで街に駆り出すのはこれが初めてなので俺とリベルは凄くテンションが上がっていた。
(なんだかテンション上がっちゃうね!)
(確かにみんなとこうして行動するのは初めてだからな。)
「ねぇねぇリベル、今リフォンと何話してたの?」
「あぁえーと…みんなと一緒にいるの楽しいねって…」
一瞬の静寂の後みんなが笑った。
「「「あはは!」」」
「2人ともかわいい会話してるな!」
「今までこんな事無かったからテンション上がるのは理解出来るわ。」
「俺も同じ気持ちだから安心しろ。」
「私もハリスも同じだよ。だから恥ずかしがらなくても良いよ。」
リベルは恥ずかしさのあまり耳まで真っ赤になっている。それを見てみんなまた笑った。
「時間は限られているのですから行きますわよ!」
一頻り笑った後ナサリーがみんなに指示を出した。
「「「はーい!」」」
みんなさっきまでの楽しそうな顔のまま買い物をした。ターガーとワーナーは大きな肉塊を買いどう調理するのが良いか話し合っている。カナタ、ヤハス、ハンスは海鮮系を買った。ロブスターやカニの様な美味しそうな甲殻類が魅力的だ。一方女性陣は副菜になる物を買ったりデザートを買ったりしている。
「もう買いたい物は買えましたの?」
「「「買えたー!」」」
「それでは私の別荘に向かいますわよ。」
「「「はーい!」」」
日本で言えばまだ中学生ぐらいの年齢とは言えあまりにも子供過ぎる反応にある種の萌えを覚えた。
「ここが私の別荘ですの。 」
ナサリーがそう言うと俺たちはその独特な形に目を奪われた。玄関が突き出ており左右に徐々に広くなっている。俺たちの目線から家の俯瞰図を想像すると三角形の様な形をしている家になってしまう。そんな外観をしている。それに疑問を持ったのは俺だけでは無いのは火を見るより明らかだった。ナサリー以外のみんなが口を開けて呆然としていたからだ。
「みなさん口を開けてどうしたんですの?」
「い、いや独特な形の家だなって…」
「正面から見ると良く見えませんが上空から見るとそのデザインに納得しますわよ。実際に見せて差し上げますわ。」
そう言うとナサリーは風魔法で俺たちを浮遊させて家を俯瞰して見える所まで上げてくれた。その家のデザインには驚かされた。
「「「ハートだ…」」」
そうナサリーの別荘はハートの形をしていたのだ。魔法がある世界だからこそのデザインだ。日本では空を飛ぶなんて事はありえなかったからこの様なデザインは発想はあっただろうが実現でにはいかなかった。でもこの世界なら風魔法で浮遊するのが当たり前だからこの様なデザインにするのには十分に意味があるのだ。
「ステキでしょう?」
「うん、目から鱗だよ。」
「こんな発想私には出来ないよ。」
しばらくそのデザインに見惚れているとナサリーが俺たちを地面に降ろした。
「さパーティーを始めますわよ!」
俺たちはナサリーの別荘に入った。外装にも驚かされたが内装にも驚かされた。ペタフォーン家の屋敷とは打って変わり凄く可愛らしい内装になっている。シャンデリアの光が灯る電球の形がハートになっていたり、机や椅子の背もたれまでもがハートになっている。
「「「かわいい!」」」
女性陣は賞賛の嵐だ。一方男性陣は好ましく無い反応をしている。この反応の違いは正直言って仕方ないと思った。
「みなさんパーティーを始めますわよ!」
「「「イェーイ!」」」
「「「イ、イェーイ…」」」
女性陣はテンションが上がって最高と言った状態だが、男性陣はイマイチ盛り上がっていない。でも流石にパーティーの場所を貸してくれたナサリーに文句を言うわけにもいかず一応盛り上がっている風を装っている。そんな男性陣を見てナサリーが男性陣にだけ耳打ちをした。
「隣の部屋は普通の部屋ですからそちらでパーティーをなさいますか?」
ナサリーからの願っても無い提案に男性陣は勢い良く頷いた。その様子にナサリーは微笑み隣の部屋を案内してくれた。男性陣は自分の分の食事を取りハートを視界に入れる回数を減らした。
「私たちは自由にしますので、そちらも自由にしてくださいね。」
そう微笑みながらナサリーは元の部屋に戻って行った。
「「「はぁー…」」」
男性陣はハートから解放されたからか、ハートの過剰摂取で疲れたのか分からないが大きなため息をついた。
「僕たちは僕たちのパーティーを始めようか!」
「そうだな。」
「楽しまないと損だもんな!」
男性は火が付くまでは長いが一度火が付いたら長い間燃える炭の様な性格なので、そこからが果てしなく長かった。本人たちは一瞬のように感じるが周りからしたらこれ以上ない程の長い時間だ。かく言う俺もパーティーは一瞬のように感じた。会話はリベルのテレパシーを通じてしか出来ないがみんなとコミュニケーションが取れるのが楽しかった。料理もかなり美味しく満足のいく一品だらけだった。
「いつまで騒いでるんですの?もう日が暮れてしまいますわよ!」
「「「え?」」」
俺を含め男性陣はもうそんな時間になっている事に気づく者は誰1人いなかった。
「女性陣はもう帰りましたわ。みなさんも帰って帰省の準備をしなくてはいけないのではないですか?」
「やっべ!俺まだ何もしてねぇ!ごめん先帰るわ。今日はありがとうナサリー!」
ワーナーは目にも止まらない速さで身支度を終わらせ寮に帰った。
「僕たちもお暇しようか。」
「そうだな。」
「片付け手伝おうか?」
「ご心配なさらずメイドたちに任せますわ。」
「流石侯爵家だな。」
「今日はありがとうねナサリー。」
「ありがとう。バイバイ!」
「ありがとうございました。」
「また長期休暇明けに会おう!」
「ありがとう、またな。」
「はい。みなさんまた長期休暇明けに会いましょうね。」
それぞれ挨拶を済ませナサリーの別荘を後にした。
(楽しかったね。)
(楽しかったな。長期休暇でみんなとしばらく会えないのが寂しいな。)
(その代わりと言ったら何だけどお父様とお母様に会えるじゃん!)
(俺たちの成長ぶりとやって来た事の凄さを存分に語ってあげるか。)
(ふふ、リフォン今凄い楽しそうな顔してたよ。)
(そう言うリベルこそ。)
((あはは!))
俺たちはそんな会話をしながら眠りについた。
次回もリフォンの猫生をお楽しみに。