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46話 地下迷宮5階

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

 俺が目を覚ますとルネスの寝顔が見えた。地下迷宮に入ってからルネスはずっと俺たちの世話をしてくれていたから、ぐっすり眠れていないだろうから俺はルネスを起こさないようにそっとしておいた。


「リフォン様起きてください。」

 俺はルネスの起こす声で目が覚めた。どうやら二度寝をしていたようだ。

「おはよう。」

「おはよ。」

「おはようございます。」


 ルネスが作ってくれたパンとポーチドエッグを食べた。こんな地下迷宮という非現実的な場所でポーチドエッグなどと言う御飯を食べるのは些かどうかと思ってしまう。


「ところでさリフォンが僕にやってくれた魔法って何なの?」

「うーんと…光魔法で…えーと、リベルに力を与えてくださいってヴィシュヌに祈ったら出来たとしか言えないな。」

「それは光魔法の恩恵ですね。」

「詳しく聞いても良いか?」

「もちろんです。恩恵と言うのは光魔法の中でも中位から上位の魔法です。1人から5人ほどまで恩恵を与えられますが、術者本人の才能によるところが大きいのでリフォン様ならより多くの人数に恩恵を与えられると思います。」


 ルネスの褒め言葉に照れているとリベルが抱きしめて来た。

「流石リフォンだねー。本当に自慢の使い魔だよ。」

「俺なんだから当たり前だろ!」


 俺はハリスを真似て応えた。


「あはは!ハリスそっくり!」


 俺とリベルのやり取りを側から見るルネスは孫を見るおじいちゃんそのものだった。


「お二人ともそろそろご5階に参りましょう。」

「「はーい。」」


 俺たちは5階に着いた。そこは今までとは少し違い、壁に松明がある。その松明の土台は鉄で出来ており文明を感じる階層だ。


「何がいるのか分かりません。お二人とも十分警戒してくださいね。」

「うん。」

「分かった。」


 俺たちは慎重に進んで行った。しばらく進むと広い空間に出た。そこには街があった。地下迷宮と言う場所には似ても似つかなかった。


「何で地下迷宮にこんな街が?」

「魔物では無いのかもしれません。」

「と言う事は魔族?」

「そうかもしれません。私たちの素性が知られた場合どうなるか分かりません。顔を隠しましょう。」


 リベルとルネスは鞄から大きな布を取り出し顔に巻きつけた。そして俺はその鞄の中で身を潜める事になった。


 先ほどまでは大きな街に見えていたが近づくとその街は予想以上に小さかった。2人は明らかにここに住んでいる奴とは違う。顔を隠したところで体躯が違うからバレる。2人は仕方ないと割り切り街に入る事にした。


「お前らそこで止まれ!」


 2人はその言葉に足を止めた。俺は鞄の中から顔を出せないのでそこにいる奴がどんな(なり)をしているのか分からないのでリベルにテレパシーをする事にした。


(リベルそこにはどんな奴がいるんだ?)

(えーとね…身長が1メートルぐらいなのに筋肉質で髭が生えている感じだね…人間の男の人を小さくしたって感じ。)


 テレパシーで会話をしているとルネスの話し声が聞こえた。


「私共はあなたたちに危害を加えるつもりはありません。この地下迷宮の調査に来ただけです。」

「調査だぁ?信用ならんな…おい!族長を呼んでこい!族長に判断を委ねる。それまで待っておけ!」


 ルネスがこちらに戻って来た。

「必ず信用を勝ち取りますのでご安心ください。」

「分かった。でも無茶はしないようにね。最悪の場合学園長のテレポートで帰るから。用意はしておくね。」

「分かりました。」


 俺は奴らの事をもっと知りたいと思いルネスに猫耳を生やしテレパシーをした。

(ルネス、奴らは何て魔族なんだ?)

(リフォン様!?どうして私にもテレパシーが聞こえるのですか?)

(落ち着いたら説明するから奴らの事を教えてくれ。)

(わ、分かりました。彼らはドワーフです。鍛治を得意とする魔族です。魔物とは違い魔族は人間と友好的ですので()()とは呼ばず()()お呼びください。)

(魔物と魔族は何か違うのか?)

(魔物は野生動物の様な種族なのですが、魔族はドワーフはエルフなどの人間とは違うが、知性を持っている人間に近い種族の事を言うのです。)

(そうなのか…)


「貴方たちが異邦の人たちかな?」

「挨拶が遅れました。私はルネス・フォン・カイヘクタールと申します。後ろにおられる方は私のが支えているお方です。」

「お初にお目にかかりますリベル・ペタフォーンです。私たちはこの地下迷宮を調査に来ただけです。貴方たちには危害は加えないと約束しましょう。」


 2人が挨拶を終えるとドワーフの族長も挨拶をした。


「私はこの街の責任者兼ドワーフ族で族長のドワルドと申します。地下迷宮の調査と仰られていましたが具体的にはどのような調査かお聞きしてもよろしいですかな?」


「この地下迷宮がどのような迷宮なのか、どのような魔物がいるのか、何階まであるのかなど、この迷宮を攻略するついでに調査に来たと言う感じです。ですが、貴方たちのようなドワーフが迷宮にいるとは思いませんでした。」


「そうですか。私たちに危害を加えないのであればこの街に滞在していただいて構いませぬ。これから下の階にも他の魔族が住んでおります。どうかこの事を報告して私たちを保護してくれませぬか?」


「どう言う事ですか?」


「私たち魔族はある程度の自衛は出来ますが、人間に攻め込まれでもしたら全滅してしまいます。私たち魔族はアイテムなどで良い素材になると聞きました。そして逃げて来たのがこの地下迷宮なのです。私たちドワーフは人間に武器や防具を作る事で殺されずに済みましたが、他の魔族はそうでは無いので私たちがまだ浅い5階に住み人間からの脅威から守っているのです。」


「分かりました。この事を国王に報告して貴方たち魔族が人間から怯えなくても良い環境にしてあげる事を約束しましょう!」

「ありがとうございます。」

「1つ聞いても良いですか?」

「何でしょうか?」

「人間から逃げて来たと聞きましたが、どのような人間から逃げて来たのですか?正直に言うと私共が住んでいる国がこの地下迷宮から10キロ程の所にあるのですが、魔族を襲うような人間はいませんよ。」


「私も聞いただけなのですが、()()()()と言っていた気がします。」


 俺たち3人は顔が引き攣った。この間マリー先生を襲った魔神教団が魔族にも手を出していたとなるといち早く国王に報告して彼らを保護しなければならない。彼らが魔神教団にどう利用されるのか分からないからだ。


「もう少し何か情報は無いですか?」

 リベルは焦って聞いた。

「えーと…私が聞いたのはこれだけですので…」

「ならその話を聞いた人物と直接話したいのですが…」

「彼らはその魔神教団から襲われてから人間を恐れているので直接話すのは厳しいと思われますな。」

「そうですか…なら貴方たちが保護されるにあたって私共が住んでいる国に何かメリットはありますか?そのようなメリットがあればある程貴方たちを保護する価値がありますので…」


 リベルは言いづらそうにだが包み隠さず言った。


「私たちドワーフは貴方たちの国から依頼された武器や防具を作りましょう。ですがその依頼と同時に素材も渡してください。この地下迷宮から出たらどうなるか分かりませんので。」

「分かりました。他の魔族たちはどうですか?」

「他の者たちは貴方たちの国の戦力になりましょう。正直に言うとそれぐらいしか出来ないのです…」

「分かりました。国王に掛け合ってみます。それより貴方たちはどうやって地下迷宮で暮らしているのですか?」


 リベルはシンプルな疑問を投げつけた。


「この地下迷宮はどう言う事か5階からとても広い空間になっていて、野生動物や植物まであるのです。それらのおかげで生活出来ています。」

「ならここに信頼できる人物を駐屯させて、もし魔神教団が攻めて来たら護ってもらうという事も出来そうですね。」

「そうしてくださるととてもありがたいです。」

「他に何か伝えて欲しい事はありますか?」

「私たちを保護してくださるのはありがたいのですが、あまり干渉しないでください。まだ心の傷が癒えていない者もおりますので駐屯させる人も5階に数名にしてください。」

「分かりました。それでは私共は国王に報告して来ます。貴方たちを護ると誓います。」

「ありがとうございます。」


 俺たちは学園長のテレポートを使い地下迷宮を後にした。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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