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転生するなら貴族の飼い猫でしょ  作者: 描空
1年生編

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42話 地下迷宮にいざ行かん

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

「リベル様いらっしゃいますか?」


 朝早くから誰かが訪ねて来た。


「やっと来たね。」


 そこには屋敷でよく見かける執事がいた。


「お久しぶりですリベル様、リフォン様。」


「久しぶりルネス。」


「ニャ!」


 俺は初めてこの執事の名前を知った。


「こちらを。」


「ありがとう。」


 リベルは剣を受け取り剣身を確認した。


「それでは私はこれで。」


「ルネスも一緒に行かない?」


 俺とルネスは驚いた。お茶しないみたいな感じで地下迷宮に行く事を誘ったのだから。


「わ、私もご同行してよろしいのでしょうか?」


「もちろん。でもルネスが戦うのは僕たちがピンチになった時だけどね。」


「それは執事として見過ごせません!」


「はぁ…ルネス僕たちは君からしたら守るべき主人なのかもしれないけど、その役割が僕たちの成長を抑制してしまう事になるんだよ。それにいつまでも守られてばかりじゃ守りたい者を守れない大人になってしまう。それだけは嫌なんだ。ルネスどうか分かってくれ。」


「分かりました。危険と判断した場合は即座に私に守られる事を約束してください。」


「分かったよ。」


「もちろんリフォン様もですよ。」


「ニャ。」


 俺たちはそのまま学園長室に行った。


「学園長もう地下迷宮に行きます。」


「二人なら大丈夫じゃと思うがそちらの方は?」


「お初にお目にかかります。ペタフォーン家で執事長を務めておりますルネス・フォン・カイヘクタールと申します。お二人の付き添いを務めさせていただきますがよろしいでしょうか?」


「何も問題無しじゃ。三人なら地下迷宮を調査じゃなくて攻略出来てしまうかもしれんな…」


「攻略したらダメなんですか?」


 リベルは残念そうな顔で聞く。


「いやダメでは無い。むしろありがたいぐらいじゃ。そしてどんなトラップがあっただとか、どんな魔物がいたかなどをメモしておいて欲しいんじゃ。アーティファクトは売るなり使うなり好きにしてくれて構わん。しばらくの間学園には登校出来ないじゃろうけど、その間の事は心配せんで良いぞ。」


「分かりました。」


「そしてこれがワシのテレポートのアイテムじゃ。三人が近くにいないとまとめてテレポート出来ないから気をつけるんじゃぞ。」


「はい、ありがとうございます。」


 俺たちは学園長室を後にした。


「ルネスは何か買っておきたい物とかある?」


「攻略にどのくらいの時間がかかるか分かりませんから、保存食を買いたいですね。」


「分かった今から買いに行こう。」


 俺たちは十日分の保存食と飲み物を購入した。


「準備万端だね?」


「はい。大丈夫だと思われます。」


「それじゃテレポートで地下迷宮に行こうか。」


(ちゃんとテレポート出来るのか?)


(多分大丈夫じゃない?)


(怖いよ。せめて俺の風魔法アイテムで浮遊して行こうよ。)


「リベル様どうしたのですか?」


「あぁごめんね、リフォンがちゃんとテレポート出来るのか心配なんだって。」


「でしたら私の風魔法で浮遊して行きますか?」


「そうしようか。」


 俺はリベルに抱かれリベルはルネスにお姫様抱っこされて浮遊した。


「お二人とも大丈夫ですか?」


「「大丈夫ー!」」


 俺たちはちゃんと聞こえるように大きな声で返事をした。そのまま西にしばらく飛んでいると林が見えて来た。


「ここに地下迷宮があるはずだよ。」


「それではここで降りましょう。」


 俺たちは林に降り立った。林はかなり鬱蒼としており嫌な雰囲気を放っている。


「地下迷宮の入り口を探そうか。」


「こちらから魔力を感じます。」


 ルネスが先導してくれた。


「ここからのようですね。」


 そう言うルネスの視線の先には洞窟があった。明らかに入ってはいけない雰囲気が漂っている。


「それじゃあ行こっか。」


「はい。」


 二人は何の躊躇も無く入って行った。俺もそれに続いて洞窟に入った。


「結構暗いね。」


 そう言うとリベルは小さな火の玉を歩いてる少し前に作り出した。


「足音がするよ。」


 俺は自慢の耳の良さを活かし二人に報告した。


「りょーかい。」


 リベルは前に出している火の玉を大きくして真っ直ぐ撃った。


「グキャア!」


「グァ!」


 人間とは思えない悲鳴が聞こえて来た。


「この声はゴブリンですね。」


「ゴブリンってこんな声なんだ。」


 二人は何の動揺も無く淡々と歩き続けた。しばらくすると真っ黒になったゴブリンらしき1メートルほどの大きさの遺骸があった。


「ゴブリンって等級ホワイト?」


「そうですね。」


「また足音してるよ。」


「はーい。」


 リベルはさっきと同じように火の玉を撃った。


「グキャア!」


「グゥ」


「ギャア!」


 少し歩きゴブリンの遺骸を確認するとまた歩き出した。


「なんか暇だね。」


「まだ1階ですからね。仕方ありません。」


「ここって何階まであるんだ?」


「ダンに階層の事聞くの忘れた…」


「普通の迷宮でしたら10階程で終わりますが、今回は地下迷宮ですのでイレギュラーがあるかもしれません。油断はせずに行きましょう。」


「そうだね。」


「リベル、そんなに魔力使って良いのか?」


「確かに温存しておいた方が良いかな?」


「温存せずとも私たちは三人いるのですから回復させる時間は十分にあります。1階を素早く終わらせて休息を取り、2階に行く方が効率的だと思います。」


「ならそれで行こうか!」


 リベルは急に走り出し体の周りに火の玉を展開し両手に雷魔法を作り出した。俺たちはリベルに急いでついて行った。


「そぉりゃ!」


「グギャア!」


「えーい!」


 リベルが続々とゴブリンを倒して行くと何やら部屋を見つけた。


「階層ボスですね。」


「何それ?」


「2階に行くために倒さなくてはいけない魔物です。」


 魔神城と同じ様な作りだ。魔神城も一種のダンジョンや迷宮なのだろう。


「二人とも準備は良い?」


「良いよ。」


「もちろんです。」


 リベルが扉を開け部屋に入った。それに続いて俺たちも入った。そこには2メールはあろう巨大のゴブリンがいた。


「ゴブリンキングですね。等級はグリーンです。リベル様なら勝てますよ。」


「うん!」


 俺とルネスは部屋の壁に寄りかかりリベルの戦闘を見守った。リベルは今まで使わなかった剣を取り出した。リベルが近づくとゴブリンキングは右手に持った木の棍棒を振りかざした。リベルそれを蝶が舞うようにヒラリと避け足元に潜りアキレス腱を切った。


「グアァ!」


 ゴブリンキングは片膝をつき棍棒を振り回した。それをリベルは身のこなしと中盾でいなし、もう片方のアキレス腱も切った。


「ガアァ!」


 ゴブリンキングは倒れ込み棍棒を地面に擦らせながら振り回すしかないようだった。リベルは高くジャンプしゴブリンキングの後頭部に剣を突き刺した。


 ゴゴゴゴゴ


 部屋の壁の一部が下に続く階段になった。このあたりも魔神城と似ているから魔神城もダンジョンや迷宮なのだろう。


「リベル様は魔力を回復させるために休んでください。」


「じゃあルネスの膝貸して。」


「ご自由にどうぞ。」


 リベルはそのままルネスの膝の上で眠りについた。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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