41話 地下迷宮準備
異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!
(おはようリベル。)
「おはよリフォン。珍しいね先に起きてるなんて。」
(もう昼前だぞ。)
「え!?本当じゃん!早く準備しないと!」
(そんなに焦る必要はないだろ?)
「オークションに行くんだよ!準備出来たらリフォンの風魔法のアイテムで浮遊して行くよ!」
(なら寮の前で浮遊しとくから早く来いよー。)
俺は寮の前で浮遊して空中を泳ぐようにして待っていると大急ぎで走って来たリベルが俺を抱きしめてオークション会場に向かった。
「こちらにどうぞ。」
俺たちは案内役の人に導かれオークション会場に入った。
「お集まりいただき誠にありがとうございます。それでは本日のオークションを開催いたします!」
(そういえば今日は招待状は無くて良かったのか?)
(今日は誰でも来れるオークションなんだ。だからと言ってオークションの品の質は落としたりはしないのが王都だよ。)
「それではまず無銘の剣です。これは誰がいつ作ったのか分かりませんが、この剣の魔力浸透率は63パーセントで名工ソーレイ・ワンガルドが作った剣にも負けていません!」
(魔力浸透率ってなんだ?)
(その物質がどれだけ魔力を通すかを魔力浸透率って言うんだよ。前回のオークションで出た名工ソーレイが作ったラーティスって言う剣が出たんだけど、あれは魔力浸透率が70パーセントぐらいだったと思うけど、今回の剣はそれに近い魔力浸透率を持ってるから価値がありますよって言ってるんだよ。)
(その魔力浸透率はどうやって高められるんだ?)
(剣の場合だと魔鉱石って鉱物を鋼と一緒に打つんだ。言い方は悪いけど下手な人だと魔鉱石の特性を殺してしまって魔力浸透率が10パーセントとかになっちゃうんだ。だからソーレイは名工って呼ばれてるんだ。)
(前言ってたみたいに魔鉱石は魔力の効率とか威力を上げてくれるのか?)
(そうだね。ちなみに僕たちの制服とかにも似たよう素材の魔繊維って言うのが使われてるよ。魔鉱石の繊維版って考えてくれたら良いよ。)
(流石エクサフォン学園だな。)
「3番さんが3200万で落札です!」
「次は最近迷宮から発掘されたアーティファクトです!今回のアーティファクトは少し変わった物です。これは使用者の半径10キロを晴れにしてくれるアーティファクトです!」
「1000万!」
「2000万!」
俺はそこで疑問に思う事があった。昨日リベルにこの世界のお金は大金貨、金貨、銀貨、銅貨と教わったのに今は日本のお金のように金額を言っている。俺はその事についてリベルに聞いた。
(何で大金貨、金貨何枚って言わないんだ?)
(具体的な金額は言ってなかったね。銭貨は10銅貨1000銀貨1万金貨10万大金貨100万なんだ。単位はフォンだよ。だからあの人たちは大金貨20枚支払うよって言ってるみたいな感じだね。)
(人によって大金貨は少ないけど金貨はたくさん持ってる人だったら金貨200枚とか言わなくちゃいけないから金額で言う方が楽なんだな。出店とかだったら銅貨1枚って書くだけで良いから時と場合に合わせて使い分けてる感じなんだな。)
(流石リフォンだね。)
「58番さんが7500万で落札です!」
「次は先代聖女様が作った最上級の回復のアイテムです!」
「1億!」
「1億1000万!」
この世界には聖女と言われる人がいたと知りリベルに早速聞いた。
(先代聖女って誰だ?)
(先代聖女様はリリー・シンファランスって人だよ。光魔法の全てを知っているって言われてた人だね。学園長でもその人には敬意を払っていたぐらい凄い人だよ。)
(それは凄いなでも先代って事はもう新しい聖女がいるのか?)
(天寿を全うした後はまだ誰も聖女にはなれてないよ。)
「100番さんが3億8000万で落札です!」
(今日の目当てはあるのか?)
(特に無いよ。でも何か良いのがあったら買おうかなって。)
「次は趣向を変えまして体を守る防具に参ります。最初は魔力浸透率58パーセントの中盾です!こちらは冒険者の方や騎士の方には必須の中盾となっております。重さは4キログラムと少し重いんですが、その分しっかり守れる一品となっております。」
「100万。」
「120万!」
ついにリベルが動いた。流石にリベルほどの剣術の腕前でも盾は持っていないと、命が危ないからだろう。
「120万以上はいませんか?108番さんが120万で落札です!」
(盾持ってても剣使えるのか?)
(大丈夫ちゃんとガインに習ったよ。)
(それなら良かった。)
「次は魔力浸透率とは少し違いますが同じような効果を得られる杖です。アーティファクトのようですがどういう原理で魔法の威力と効率を高めているのかは分かっておりません。なので落札者様の魔法には合わない可能性が十分にございますので慎重にご入札してください。」
「100万。」
「105万。」
「110万。」
(どうする?無いよりかはマシだと思うぞ。)
(そうだね。買うよ。)
「120万。」
「130万。」
「150万!」
どこからからヒソヒソと相談しているような声が聞こえて来た。耳を澄ますとこれ以上の値段で買うのかどうかを相談しているようだ。こちらとしては出費は少ければ少ないほど良いからここで引いて欲しい。
「150万以上はいませんか?108番さん落札です!」
(良かったな。)
(うん。でも使えるかな?)
(使えなかったら俺も使ってみるよ。確率は2倍だ。)
(リフォンの手で使えるの?)
(ものは試しだ。)
「最後は魔法適性を伸ばす事が出来るアイテムです!」
「1000万!」
「1050万!」
俺はそのアイテムを以前見た事がある。リーンたちが使っていたアイテムと同じだ。学園で使われている物は市場にもあるのかと驚いた。
(ねぇリフォン、あれって学園にもあるよね?)
(うん。リーンたちが使ってたな。学園の物は市場に出る物なのか?)
(絶対無いよ。だからかなりの才能を持ってる人が見様見真似で作った贋作かもしれない。)
「25番さんが6800万で落札です!本日は誠にありがとうございました。また次回お会いしましょう。」
中盾を受け取り俺たちはオークション会場を後にした。リベルは中盾を背負い俺の横を歩いている。その光景に俺はクスッと笑ってしまった。
(次は何を買いに行くんだ?)
(回復はリフォンの光魔法で済むし、剣と盾あるし、魔法も使えるし、解毒剤とか?)
(不測の事態に備えるのは良い事だな。俺の光魔法はそんなに期待しない方が良いと言っておこう。なんせ練習してないからな。)
(まぁ仕方ないよねー。)
そんな話をしていたらアイテムショップ アイテミーに着いた。
「いらっしゃい。」
「どうも。」
リベルは光魔法の回復アイテムを手に取り会計をした。
「毎度あり。」
明らかに早く済ませたように感じた。前来た時にリーンとの会話を深掘りされるのが嫌だからだろうか。そうだとしてもリベルは応えたく無いだろうから聞かないようにした。
(もう明日にでも学園長の所に行って地下迷宮に行くか?)
(剣も届くだろうし明日に学園長の所に行こうか。)
俺たちは寮の部屋に戻り明日のために早く寝た。
次回もリフォンの猫生をお楽しみに。