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40話 地下迷宮とは

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

 使い魔競技会競技部門の三日後俺たちは地下迷宮攻略のために今までよりも熱心に授業に取り組んでいた。そこで俺はそもそも地下迷宮について何も知らないのでリベルと一緒に図書室で調べる事にした。

「こんにちは。地下迷宮について書かれてる本ってありますか?」

「こちらにどうぞ。」

 俺たちは司書さんに導かれ二階に行った。

「ここの本棚にあります。何か不明な点などありましたらお声掛けください。」

「ありがとうございます。」

 俺たちは背表紙を見て本を選んだ。迷宮探索記と迷宮の攻略方法と書かれた本を取り出した。

(僕はこっちを読むからリフォンはそっちをお願い。)

 リベルは迷宮探索記、俺は迷宮の攻略方法を読み始めた。そこには様々な事が書かれていた。迷宮にはトラップがあったり、階層毎に出現する魔物が違ったり、アーティファクトがある可能性もあるといった事が書かれていた。俺はその情報をリベルに伝えた。リベルも同じような情報があったと応えた。

(明らかに情報が少なくないか?)

(少ないね。あまりそういう所に行ってる人が少ないのか、行ったけど帰って来なかったのか、こういう本にはしないのか。この三択かな?)

(そもそもこの世界ではこういう迷宮とかを探索してそこで入手した物を売って生計を立ててる人はいるのか?)

(幅広く言うなら冒険者だね。迷宮にだけ行ってる人はまずいないと思うよ。魔物の素材は希少だから冒険者になる人は多いよ。でもその分死亡率がとても高いんだ。)

(学園出身の冒険者もいるんじゃないか?)

(たぶんいるだろうね。でもエクサフォン学園を卒業した生徒はほとんどが王都で働くよ。ほらターガーが自己紹介の時に王都魔法研究所に入るって言ってたり、メアリーが王国魔法師団に入るって言ってたでしょ?そういう所で働くことが多いよ。)

(そうなのか。とりあえず冒険者が多く集まる所とか勤める所は無いのか?)

(冒険者協会に行ってみようか。)

(それはどこにあるんだ?)

(王都の壁門のすぐ近くにあるはずだよ。今から行く?)

(行ってみるか。)

 俺たちは学園を後にした。冒険者協会に行く道中俺たちは地下迷宮の準備の話をした。

(地下迷宮に行くのは良いけどアイテムとか、装備はどうする?)

(こんな事から屋敷から剣を持ってきておいたら良かったな…)

(仕方ないよ学園で剣術を習うっていうのは分かるけど、流石に地下迷宮を調査するなんて誰にも分からないんだから。)

(こうなったら妥協はしない!今日剣を持ってきてもらうように手紙を出して、明日と明後日で地下迷宮調査の準備して、明々後日に地下迷宮に行けるようにしよう。あくまでこれは目標だから準備の段階で想定外の事が起こったら随時対応して万全の状態で臨もう。)

(分かった。それとリーンには今日中に伝えておこう。いつ出発になるか分からないから早めに伝えて損は無いだろう。)

(そうだね。冒険者協会の後に伝えに行こうか。)

 そんな話をしていたら冒険者協会と書かれた看板が掲げてある建物に着いた。その建物は全体的に白いコンクリートで作られており、扉は両開きの大扉でとても誠実そうな印象を受けた。

 俺たちは冒険者協会の中に入ると中にいた冒険者であろう人たちから様々な視線を向けられた。リベルは誰に聞くのが正解か分からないのか受付らしき所に行った。

「僕たちは将来冒険者になろうと思って見識を広げているんだが、迷宮について得られる情報が少なくここなら何か知ってる人がいるんじゃないかと思って来たんだが、迷宮についての書物などはあるかな?」

「申し訳ございません。迷宮につきましてはこちらもあまり情報を持っていないのです。迷宮潜りのダンと言う方なら知っているかもしれません。」

「その人にはどこなら会えますか?」

「この近くに冒険者の方がよく利用されてる酒場があるのでそこを訪ねれば何か知ってる人がいるかもしれません。」

「ありがとうございました。」

 受付嬢らしき女性が親切に教えてくれたおかげで思っているより有益な情報を手に入れられるかもしれない。

(今から行くか?)

(行かないよりはマシだから行ってみよう。)

 俺たちは少し歩き木造建築の酒場に着いた。外に居ても少し酒の匂いがする。俺たちは意を決してその酒場に入った。

「なんだあのガキ?」

「学園の服着てるって事はボンボンか?」

「ガキが酒場に何のようだ?」

 そんな言葉が聞こえて来た。そこにいる大人たちは腕や顔に傷があるベテランの様に見える。それに体格も大きく威圧感もかなりのものだ。

「ここに迷宮潜りのダンって人はいますか?」

 リベルは酒場のオーナーらしき人に話しかけた。

「アイツの事だから今も迷宮に行ってるだろうよ。他をあたりな。」

「そうですか…」

 リベルはトボトボと歩いて外に出ようとした時酒場に入って来た男にぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさい。」

「どうした坊主こんな所に来て何か探しもんか?」

 周りにいる男とは違いこの男はかなり優しそうな感じがしている。

「あ、いや迷宮潜りのダンって人を探してるんです。」

「ラッキーだな坊主!俺がその迷宮潜りのダンだ!」

「本当ですか!?」

「おうよ。俺に聞きたい事でもあるのか?」

「はい!迷宮についてもっと詳しく知りたいんです!迷宮について書いてある本を読んでも詳しいことは載って無かったので、あなたの様なベテランの冒険者なら詳しく知っていると思ったので聞きに来たんです。」

「それは良いが情報は冒険者の生命線だ。タダで教えるわけにはいかねぇ。」

「何が欲しいんですか?」

「まずは金だな。そして坊主らが教わってる魔法について教えてくれ。最後は迷宮を攻略する時一度で良いからついて来てくれないか?」

「まぁ、良いですよ。それでお金はどのくらいですか?」

「うーんそうだな…手持ちの二割で良いぞ。」

「分かりました。それでは場所を変えましょうか。」

 俺たちは酒場を離れ近くにあった人が少ない飲食店に入った。

「先にお金を渡しますね。」

 そう言ってリベルは五百円硬貨ほどの大きさのコインを渡した。

「坊主何か間違えてねぇか?金貨なんて…」

「間違えてませんよ。」

 俺はこの世界の通貨を初めて見たのでリベルに後で説明してもらう事にした。

「お金は渡したので迷宮について知ってる事を話してください。」

「あぁ分かった。俺が行った事がある迷宮について話してやる。まず迷宮には数多くの魔物がいる。種類によっては群れで行動する奴もいれば、少数でいる奴もいる。魔物の等級については知ってるな?」

「はい。」

 上からブラック、レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ホワイトの順で分かられているが流石にブラック級はいないだろう。

「基本的にはグリーン級の魔物が多いんだが、迷宮を進んでいくにつれてブルー級まで上がる事があるんだ。だから人数は多いほど良い。ポーションなんて高級な物は滅多に買えないから光魔法の回復魔法が使える魔法使いを連れて行く事が多いな。」

「ちなみに一回の攻略で何日ぐらい迷宮に潜ってるんだ?」

「正直言って三日間潜ってることもあれば十日間潜ることもある。十日間潜った時はかなりキツかったぜ。」

「なぜそんなに長期間潜ったんですか?」

「報酬だな。進んでいけば進んでいくほど魔物が強くなってその素材の希少性も高くなるからな。」

「その十日間潜った時の報酬はどのくらいだったんですか?」

「その時は大金貨二十枚ぐらいだったかな?」

「かなりですねの金額ですね。」

「そりゃそうだ。十日間狩ってきた魔物全ての合計だからな。」

「そんなに強いのに僕があなたたちについて行く必要ありますか?」

「必要に決まってるだろ。冒険者に魔法が使えるやつはあまり多くない。魔法使いが一人いるパーティといないパーティでは進む速度が全然違うんだ。魔力切れを起こさないように進んだとしても一.五倍は早く進めるんだ。」

「そうなのか。ところで情報はそれだけなのか?」

「いやまだある。迷宮にはトラップがあってそのトラップは、落とし穴だったり矢が飛んできたり、魔物が出てきたりと本当に様々なんだ。壁に触れたら作動するタイプだったり踏んだら作動するタイプだったりするんだ。俺玉何種類のトラップがあるのかは分からない。」

「これで全部か?」

「あぁそうだ。何か聞きたい事はあるか?」

(リフォンは何かある?)

(迷宮の数と配置を聞いてくれ。)

「迷宮の数と配置を教えて欲しい。」

「俺が行った事がある迷宮は四つだな。王都から東に二十キロぐらいの所に二つあってそこから北上するともう一つ。王都から南西に十キロぐらいの所に一つだな。」

「ちなみに行った事は無い迷宮はあるか?」

「そりゃあるよ。俺だって命が惜しいからな。」

(だって。)

(うんありがとう。俺から聞きたい事はもう無いな。)

「聞きたい事はもう無いな。」

「それじゃあ今度は俺から。坊主はどんな魔法を学んでるんだ?」

「火と雷魔法を使えるからそれを重点的に学んで、後は使い魔の事とか魔法の座学だね。」

「若いとは思ってたが一年生か…じゃあ迷宮について来てもらうのは無しにしよう。」

「俺がついて行きたいって言ったらどうだ?」

「命の保障は出来ないし、何があっても自己責任って誓約書を書かせる。」

「そうか。もう聞きたい事は無いからお暇するよ。」

「おう。冒険者になったら言えよ一緒に迷宮潜ろうぜ。」

「楽しみにしとくよ。」

 俺たちは店を後にした。俺は寮の部屋に帰る道中この世界の通貨について教えてもらった。この世界の一番高額な通貨は大金貨で金貨十枚分だ。そして金貨は銀貨十枚分、銀貨は銅貨十枚分、銅貨は銭貨百枚分だ。

 それからリベルは部屋で手紙を書き剣を持って来てもらうようにした。そして今日聞いた情報を整理していると夜になっており、疲れたのか机に突っ伏したまま眠ってしまったので俺の見えざる手でベッドに寝かしつけてあげた。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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