38話 みんなの活躍
3000pvありがとうございます。これからも応援してくださると幸いです!異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!
(観客席に行こうか。)
(うん。)
俺たちは控室から観客席に移動しようと階段を登ると後ろから魔力を感じた。俺はその刹那リベルを守るために魔法を張り火と水魔法を展開した。
「そんなに警戒せんでおくれ。テレポートでここに来たんじゃ。魔力が漏れるのは仕方ないじゃろう…」
そこには申し訳なさそうな顔をしている学園長がいた。リベルは気さくに話しかけた。
「学園長はどうしてここに?」
「君たちの魔法を見て直接話をしなくなっただけだ。近くに寄れ。」
「あっはい。」
俺たちは学園長の側に寄り目を閉じた。目を開けると競技場が一望できる席についていた。下には生徒たちがいてここは学園長の席のようだ。
「良い眺めですね!」
リベルは楽しそうに出場者の魔法を見ている。
「話は戻るがいつの間にあんな魔法を使えるようになったんじゃ?」
「特に何かしたってわけじゃないぞ。」
「そうじゃったか…」
リベルは出場者に釘付けで話を聞いていなかったから、俺が代わりに応えた。そこは観客席から離れており、俺の声が誰かに聞かれる心配は無かったから安心して喋れる。
「まぁ今は皆の成果をする事にしよう。」
「そうだな。」
リベルは前のめりになり落ちてしまいそうだ。流石にリベルはそんな事しないだろうからあまり気にしない事にした。
「アインだ!」
リベルはさっきよりテンションが上がっている。
「リフォン始まるよ!」
俺はアインとアフィーの魔法を見れる位置に行きその時を待った。
アインが氷魔法で吹雪を起こした。そしてアフィーが火魔法を使いその吹雪を晴らすと、アインが風魔法を使いハリケーンを作り出した。そのハリケーンをアフィーが火魔法で火を纏うハリケーンに変えて二人の番は終わった。二人は自分の得意な魔法を活かし、現実では見られない自然現象を見せてくれた。観客は拍手でアインたちを見送った。
「ハーリーだ!」
アインに続けてハーリーまで来ると次はワーナーなのではないかと思ってしまう。リベルが寝てる間に俺が教えた天使はどんな風になっているのか実物だ。
ハリスが氷魔法で大きな建物を作った。それはどこか見覚えのある形をしていた。
「ハリスが作った建物、僕たちの屋敷に似てるね。」
言われてみればそうだ。横長で三階建そしてペタフォーン家の紋章の様な物まであり、俺たちが炎龍を再現するようにハーリーたちもペタフォーン家の屋敷を参考にしたのだろう。
ハーリーが祈る様な体制で魔法を使うと見事な天使が天から舞い降りた。その美しさに皆見惚れていた。その天使はハリスが作った建物を祝福し天に帰って行った。一瞬の静寂を終わらせたのはリベルの拍手だった。それからしばらくの間拍手は鳴り止まなかった。
「ワーナーだ!」
ワーナーは先程までのハーリーたちの空気を壊すように大雨と暴風を吹かせた。ワーナーとナーガが協力して起こしているのか、一人だけなのかは分からないがその魔法は素晴らしかった。そしてその暴風雨の中に何か生き物がいるように見える。それは大蛇だった。ナーガがそのまま大きくなったような感じだ。その大蛇が暴風雨を飲み込みワーナーたちは番を終えた。観客は拍手でワーナーたちを見送った。
「今年は豊作じゃの。」
「俺たちは?」
「お主らは桁違いじゃ。いずれワシも越されてしまうだろうな。」
「最強の魔法使いが何言ってるんですか。」
リベルは落ち着いたのか学園長の隣に座った。
「事実じゃよ。ワシは今では最強と言われているが、幼い頃はお主らの足元にも及ばなかった。じゃからお主らはワシより強くなれると確信しておるんじゃ。」
「学園長にそこまで言われると恥ずかしいですね。」
「そうだな。」
「二人なら賢者をも超えれるかもな…」
「「賢者?」」
俺たちは初めて聞く名前につい反応してしまった。
「知らぬのか?魔法を使う者全てが目指す高みがその賢者じゃ。ワシも目指しておったがもう無理じゃろうな。そして、賢者はワシが生まれるよりずっと前から存在しておる。じゃがその姿を見た者は片手で数えられるほどだ。」
俺とリベルの頭は疑問符でいっぱいだ。
「理解できないのも無理は無い。賢者は実質神様みたいなもんじゃ。じゃから魔法使いは賢者に会う事や教えを乞う事を夢見ておる。ワシもその一人じゃった。」
「賢者ってどれくらい凄いんだ?」
俺は賢者の事が気になり賢者について聞く事にした。
「ワシなんか足元にも及ばんじゃろうな。」
「何でそこまで言えるんだ?会った事も無いし、賢者の魔法も見た事無いんだろ?」
「そうじゃな。でも絶対に追いつけないと確信出来るんじゃ。」
「それはどうしてだ?」
「賢者が今の魔法を作ったと言っても過言では無いんじゃ。賢者は全ての魔法を使えて、自分の魔法を人間たちに教えたんじゃ。それが今の魔法じゃ。」
「す、凄いですね…」
リベルは驚いている。俺は魔法の原理が曖昧だった、それと猫に関する魔法と似ているのかも確かめるために聞いた。
「魔法って神様の力を借りてる感じなんだっけ?神様の言い伝えとかがそのまま魔法になってるんだっけ?」
「どちらも正解じゃ。そしてそれは賢者が人間に教えるまで知られていなかったんじゃ。じゃから賢者は神様と言われておるんじゃ。」
俺は猫の神様の加護を受けているから見えざる手や魔神城でリザードマンになれた猫被りの魔法が使えるのだろう。なら他の神様はどうなのだろう。日本では様々な神様がいたけど、この世界は魔法に関する神様しかいないのだろうか。それともいるけど認知されていないのだろうか。いても加護が無いとその神様の魔法は使えないのだろうか。そもそも何故今の神様の魔法が使えるのだろうか。俺はそんな想像もつかない考え事をしていたが俺には関係無いので考えるのをやめた。
「あっ!いた!おーい!」
観客席から小さな声が聞こえてきた。そこにはワーナーがいた。
「やっほー!」
リベルもその声に気づいたようでワーナーに手を振った。
「引き留めて悪かったの。」
「いえいえ。興味深い話をありがとうございました。」
俺はリベルに抱き抱えられてワーナーの所に連れていかれた。
「ちゃんと俺たちの魔法見てたか?」
「見てたよ!凄かった!暴風雨を大蛇が飲み込むなんて発想僕には出来なかったよ。」
そんな話をしているとハーリーとアインもやってきた。
「どこにいたの?探したよ。」
「ごめん。学園長と話ししてて…」
「何の話してたの?」
「賢者ってどんな人って話。」
「え!?それってどんな話だったの!?」
「学園長なんだから賢者に会った事とかあるって言ってた?」
「賢者について詳しい事は聞けたか?」
ハーリー、 アイン、ワーナーは鼻息を荒くして聞いてきた。
「僕は賢者についてこれっぽっちも知らなかったから賢者が魔法を人間に教えたんだよって話と、学園長でも賢者の足元にも及ばないって話を聞いただけだよ。」
「学園長でも足元にも及ばないの!?」
「リベルって本当に魔法使い?」
「賢者ってやっぱりすげーんだな。」
三者三様の反応を見て俺は何だか面白くなった。短い話でも人によって目の付け所が全然違うからだ。
「まぁそんな話は置いておいて。みんなの魔法見たよ!それぞれ自分の得意な魔法を活かしてるのが分かったよ。発想も良かったし、見てて楽しかった。」
三人がそれあんなが言うのって顔をしていた。それをリベルも読み取ったのかあたふたしている。
「「「あはははは!」」」
みんなリベルの反応が面白かったのか満面の笑みだ。
「もうすぐ二年生のが始まるからみんなで見よ。」
俺たちはそのまま上級生の魔法を見ているとあっという間に使い魔競技会藝術部門が終わってしまった。日も暮れ寮の部屋に戻る前にみんなからエールをもらった。
「明日頑張ってね!」
「応援してる。」
「誰にも負けんなよ。」
「みんなありがとう。」
俺たちはその言葉を胸に明日の使い魔競技会競技部門を優勝する事を目指した。
次回もリフォンの猫生をお楽しみに。