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37話 使い魔競技会藝術部門

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

「リフォン起きて。使い魔競技会本番だよ!」

 俺は眠い目を擦りながら起きた。

「朝御飯食べてね。」

 俺は大きなあくびをして朝御飯に手を伸ばした。

「食べてる間にブラッシングしとくからね。」

 リベルはいつもより丁寧にブラッシングをしてくれた。今日は数多くの人に見られるからだろう。

(ありがとう。)

「今日は藝術部門だからイメージしっかりさせておいてよ。」

(俺を誰だと思ってるんだ?)

「期待してるよ。」

 リベルはブラッシングを終え制服に着替えた。

「今日は学校じゃなくて競技場に行くからちゃんと着いてきてね。」

「ニャーン。」

 俺は抱き抱えて言ってくれないのかと残念がった。

「二人も今からか。」

「おはようリーン兄さん。」

「ニャー。」

 競技場の道中リーンと出会い一緒に行く事になった。

「二人は藝術部門どうだ?ちゃんと出来てるか?」

「あっと驚くような魔法を見せてあげるから楽しみにしててね。」

「楽しみにしておくよ。」

 俺たちはそんな他愛も無い話をしながら歩いていると競技場らしき大きな建物に着いた。

(ここか?)

(そうだよ。エクサフォン競技場だよ。収容人数は数千人にも及ぶらしいよ。)

「二人は出場者だからあっちで受付をしてこい。一年だから一番最初だと思うぞ。」

「ありがとう、リフォン行こ。」

「ニャー。」

 俺たちはリーンと別れ受付に向かった。

「三人ともおはよう。」

「おはよう。」

「おはよ。」

「おう、おはよう。」

 ハーリー、アイン、ワーナーがいたがハリス、アフィー、ナーガがいない。それにはリベルも気づきみんなに聞いた。

「みんなの使い魔はどこ?」

「あっちだ。健康状態と学校指定のアイテム以外を身につけていないかの検査だ。」

「ありがとう。リフォン行ってきな。」

「ニャ。」

 俺は検査の列に並んだ。少し前にアフィーがいる。大人しく待っているように見えるが、その視線はずっとアインに向いており心細いのが分かる。

「私に問題なんてないわ!」

 列の一番前から聞き馴染みのある声が聞こえてきた。ハリスが不服そうに検査を受けている。

「問題ある使い魔なんてそうそういないけど決まりだから我慢してねー。」

 検査員はリタ先生のようだ。誰にでも優しく使い魔学の担当のリタ先生なら使い魔たちもあまり物怖じせず気が楽だろう。ハリスは検査を終え清々した顔をしている。しばらく待っていると俺の番になった。

「おはようリフォン。検査するからそこの台に乗って。」

 俺は一目で何かの装置なのは分かったが、それがアイテムなのか魔法防護のように事前に魔法をかけていて、それに魔力を流して動いているのか分からない。でも光魔法なのは確実だろう。

「終わったよ。問題無しだね。」

「ンニャー。」

 俺はリベルたちの元に戻った。俺はさっきの装置の事が気になりリベルに聞いた。

(さっきの装置なんてやつなんだ?)

(名前までは分からないけど使い魔用の装置だろうね。)

 リベルでも知らない事はあると割り切り装置の事は気にしないようにした。

 一年生の使い魔たちの検査が終わり始まろうとしている雰囲気が漂ってきた。そこにマリー先生がやってきた。

「使い魔競技会藝術部門に出場する一年生諸君。今日は待ちに待った使い魔競技会本番だ。今までの成果を存分に発揮してくれたまえ。」

 その場にいる者全員固唾を飲んだ。

「それじゃあトップバッターはリベル君とリフォンだ。頑張ってこい!」

「え!?聞いてないですよ!」

「知らなかったか?基本的にこういうイベントは成績優良者が最初だぞ。」

「えー…」

 リベルは嫌そうな顔をしていたが決まっているのなら仕方ないと覚悟を決めたようだ。

「リフォンは準備出来てる?」

(当たり前だ。)

 そうは言っているが内心ビクビクしているのは内緒だ。

「さぁ始まりました使い魔競技会!トップバッターは新入生代表挨拶も務めたリベル・ペタフォーンとその使い魔リフォンです!」

 俺たちが競技場の中に入ると同時に解説者が前口上の様な物を言った。競技場内の熱気は凄まじい物で声援と拍手で胃が揺れるほどだ。

「使い魔競技会藝術部門只今より開催です!」

 俺は練習通り水魔法で競技場内を雨雲で覆った。観客席では何が起こっているんだとザワザワしている。そこでリベルが雷魔法で雷を作り出した。その異様な雰囲気に観客は息を飲んだ。

(いけるぞ。)

 俺は炎龍の準備が出来たのでリベルに合図を出した。その刹那リベルは競技場中心に落雷を落とした。

「キャー!」

「すげー…」

 観客は皆落雷に感心している。俺は雨雲を晴らし炎龍を競技場内に降臨させた。

「おい!何だよあれ!」

「ど、どうなってんだ?」

「すごい…」

 皆俺の炎龍に釘付けだ。そこで俺は観客席の間近まで炎龍を飛び回らせて、その精巧さと綺麗さを見せつけた。

(いけるよ。)

 俺はリベルの合図を皮切りに炎龍を競技場の中心に戻し地面に向かって火を吐いた。

「何にしてるんだ?」

「何が起こるんだ?」

 その光景に皆興味津々だ。そしてその火の中から見事なエクサフォン城が現れた。以前より大きさも精巧さも綺麗さも磨きがかかっている。俺が見ても見事な物だ。俺はエクサフォン城の後ろに炎龍を配置した。本来ならここで終わりだが俺は良い案を思いついた。

(数秒後に炎龍を花火に変えるからリベルはそのままでそれでフィニッシュだ。)

 俺は皆が起きついてきたところで、俺は炎龍にエクサフォン城の周りを回らせてから上空に飛び上がらせた。そして炎龍を花火に変えた。その光景はお祭りの様にもエクサフォン城を讃える様にも見え観客はスタンディングオベーションをした。リベルは引き際に悟り深くお辞儀をして俺たちの番を終わらせた。

(完璧だったね。)

(完璧だったな。優勝間違い無しだな。)

 俺たちがそんな会話をしているとさっきまでいた控室の様な場所に戻ってきた。

「二人ともいつの間にあんな凄いの作れるようになったの!?」

「私より凄いなんて許さない!」

「あんなの見せられたら辞退したくなるわよ。」

「凄かったな!」

 ハーリー、ハリス、アイン、ワーナーが押し寄せてきた。俺たちはその気迫に押しつぶされるかと思った。

「みんな落ち着いて今は僕たちのことより自分の事を優先して!」

「そうよね。ごめん。」

「私なんてそんな事しないでもトップに入るもん!」

「アフィーもう一度練習しよ。」

「ナーガ俺たちもやるぞ!」

 みんな自分の事に集中してくれたおかげで俺たちが気迫で押しつぶされる事は無くなった。

(落ち着いてくれたね。)

(あぁ。俺たちは終わったけど観客席に行けないのか?)

(マリー先生に聞いてみようか。)

 俺たちはマリー先生の元に行った。

「マリー先生僕たちは終わったから観客席に行けば良いんですか?」

「ここにいても良いけど観客席にいても良いよ。」

(それじゃあ観客席でみんなの魔法を見ようか。)

(そうだな。)

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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