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35話 炎龍の再現

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

(とりあえず僕からやってみるよ。)

(最初から細かいところまでは再現しなくて良いと思うぞ。どんどん練度を上げていけば自ずと綺麗に再現できるはずだ。)

 リベルは頷き空中に頭の大きさほどの火魔法で炎龍を作り出した。

(どう?)

(最初よりかはだいぶ綺麗に出来てるぞ。一番綺麗に再現したいところはどこだ?)

(やっぱり顔かな。)

(なら顔がどんな造形なのかきちんと確認してやれば綺麗にできるはずだ。)

 リベルが炎龍の資料を読んでいる間俺も火魔法で炎龍を作り出した。かなり綺麗に出来ており自分でも満足の一品だ。だが鱗や手足はまだ綺麗には出来ず改善点もある。

(リフォンも良い感じだね。)

(七割って感じかな。鱗や手足の詰めが甘い。)

(リフォンはストイックだね。)

(じゃないと優勝できないからな。)

 俺は鮮明に炎龍の姿をイメージして作り出した。

(おお!)

 さっきよりも綺麗で尚且つ手足もきちんと再現できた。

(鱗の再現がキツいな…)

(十分凄いよ!もっと大きく作ってくれない?)

(分かった。)

 俺は手始めに二、三メートルぐらいの炎龍を作り出した。

(カッコ良い!凄いよリフォン!)

 初めて炎龍の資料を見た時は格好良くないって言ってたのに、今となっては炎龍の虜のようだ。

(次はこの大きさで鱗の再現に注力してみる。)

(リフォンならいけるよ!)

 俺はその大きさを利用して鱗の再現に取り掛かった。小さければその分鱗も小さくなるから、大きい方が鱗の再現は楽だった。

(これ完璧じゃない!?)

 その見た目は圧巻だった。本当にそこに炎龍がいるのと同じだった。こんなのを作れるのは女神のおかげだ。神様っていうのはたまに存在を感じれるのが神様である所以だと感じた。

(完璧だな。)

(僕も負けてられるか!)

 リベルは必死に何度も炎龍を作り出したが、焦りからかお粗末な物になってしまっている。俺はそれを見てリベルに落ち着いてやるように言うと、リベルは深呼吸をしてもう一度炎龍を作り出した。

(結構綺麗じゃない?)

(うん。鱗以外は完璧だな。)

(そうなんだよねー鱗なんだよねー…)

 リベルは鱗が再現できない事に落ち込んでいた。そこで俺は一つのことを思い出した。

(リベル、エクサフォン城を作ってくれ。)

(え?まぁ分かったよ。)

 リベルは簡単にエクサフォン城を作り出した。炎龍と同じ火魔法なのが良いのか悪いのか分からないが、その精巧さ再現度どれをとっても一級品だ。そこで俺は一つ思った。

(俺が炎龍を作り出して、リベルがエクサフォン城を作り出すっていうので良いんじゃないか?前まで二人とも炎龍を作ってエクサフォン城を作るって感じだったけど、それだとリベルの負担が大きいしリベルのエクサフォン城のクオリティの落ちるかもしれないから、一人一役?とは違うけど一人一個作るだけにしよう。)

(言われてみればそうだね。なら僕はエクサフォン城の再現に注力するから、リフォンは炎龍の再現頑張って!)

 俺たちは各自で再現に取り掛かった。どちらも完成度こそ高いが何か足りないと感じたのだ。俺は炎龍が吐く火の色を変えたり、水魔法を加えたりしたが良い案は思いつかなかった。俺はリベルに助けを求めた。

(リベル、何か良い案無いか?インパクトが欲しいって言うか派手さが足りないって感じなんだよね。)

(僕の雷魔法でキラキラさせてみる?)

(頼む。)

 俺は炎龍を作り出し、リベルが炎龍に雷魔法を纏わせた。綺麗さに磨きがかかったがまだ何か足りないと感じた。そこで俺は良い案を思いついた。

(俺が水魔法で雨雲を作るからリベルの雷魔法で落雷を発生させて、そこから炎龍が出現し火を吐きそこからエクサフォン城が現れるってのなはどうだ?)

(良いね!やってみよう。)

 俺が雨雲を作り出した瞬間リベルが雷魔法で落雷を発生させた。俺はあまりの早さに炎龍を作り出せず失敗した。

(ごめん早かった?)

(うん。大体十秒ぐらいで出来るから、最初は不穏な雰囲気を醸し出して十秒ぐらい経ったら落雷を発生させてくれ。そうしたら俺が炎龍を作り出したと同時に雨雲を晴らすから、炎龍に雷魔法を纏わせてくれ。そのまま会場に炎龍の再現度を見せるために会場を回るからその間にエクサフォン城のイメージを完璧にしてくれ。合図をくれたら火を吐いてエクサフォン城登場!って感じだ。どうかな?)

(最高だよ!優勝間違い無しだね!今からやろう!)

 リベルのテンションの高さに少し驚いた。

(じゃやるぞ。)

(うん!)

 俺が雨雲を作り出しリベルが雷魔法で雷を発生させた。俺の炎龍のイメージが十秒で完璧になり、それを感じ取ったのかリベルが落雷を発生させた。その瞬間俺の炎龍が登場し俺たちの周りをぐるぐると回った。十秒ほどしたらリベルから合図が来た。俺は炎龍に火を吐かせた。そしてその中からエクサフォン城が現れた。

(完璧だね。)

(想像以上にな。)

 リベルは満足感から座り込んだ。

(疲れたー。)

(お疲れ。リベルは俺以上に魔力使ったもんな。)

(帰えろっか。)

(そうだな。)

 俺たちは寮の部屋に戻った。リベルは俺が思っている以上に疲れていたのかすぐに眠った。俺はリベルが安眠出来るように尻尾で頭を撫でた。

 コンコンコン

 部屋の扉を誰かがノックした。

「ニャー?」

 リベルは寝ているので俺が対応した。そこにはハーリーがいた。

「リフォン、リベル君は?」

「ニャ。」

 俺は部屋の中にハーリーを招き入れた。

「あっ寝てたのね。リフォン一つ頼まれてくれない?」

「ニャ?」

 俺はハーリーの頼み事を聞いた。

「使い魔競技会の藝術部門で使う魔法の指導をして欲しいの。」

 俺は喋れない事や魔力の事など様々な事を考えて結論を出した。

「ニャ!」

 俺は外に出てハーリーを呼んだ。

「ありがとう。」

 ハーリーは理解し部屋から出て俺を先導した。しばらく歩いてハーリーの部屋に着いた。

「ハリス、リフォンを連れてきたよ。」

「待ってたよ!早速魔法を教えて!」

 俺はやれやれと思いながら机の上に乗り火魔法で空中に文字を書いた。

『何を教えたら良いの?』

「え!?リフォンって読み書き出来るの?」

「す、凄い…」

 俺は文字を魔法で書く事でコミュニケーションを取る事に成功した。

『ところで何が知りたいの?』

「あぁごめんね。ハリスは氷魔法で建物を作って、私は光魔法を具現化させて天使がその建物を祝福するって感じなんだけど、天使を上手く作り出せないの。何か良いアイデアは無い?」

『試しに俺が火魔法で天使を作ってみようか?』

「出来るの?」

『やってみる』

 俺は女神に天使の羽が生えた姿をイメージして作り出した。

「凄い!これが天使…これを参考にしても良い?」

『良いよ。ハリスの方は問題無い?』

「私が出来ないわけないでしょ!」

『そうかならもう帰っても良いか?』

「教えてくれたお礼に何かあげるよ。何が良い?」

 そう言うとハーリーは使い魔用のおやつが入った籠を差し出した。

「わ、私の!」

「一個ぐらい譲ってあげなさい!」

「う、うぅ…」

 ハリスは悔しそうにしていたが俺は中からジャーキーの袋を咥えて部屋を出た。

「ありがとう。」

「ニャー。」

 自分たちの部屋に戻った。リベルはまだ寝ている。俺は一人でムシャムシャとジャーキーを食べた。お腹がいっぱいになり眠くなった。こんな幸せな日常が長く続いてくれる事を祈りながらリベルにくっついて寝た。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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