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32話 使い魔競技会準備六日目

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

「今日も昨日と引き続き二限とも使い魔学だ。今日は一限から屋外競技場だから遅れないように。」

 今日も今日とて使い魔競技会の準備だ。最近ずっと使い魔競技会の事ばかりだから少し飽きてきた。

「リベル君今日は屋外競技場でしょ。昨日みたいにならないように早く行こ。」

「分かった。リフォン行くよ。」

「俺たちも一緒に行く。」

 リベル、ハーリー、ワーナー、アインは授業に遅れないように教室を後にした。俺はその後ろをついて行きみんなの事をよく見た。なぜかと言うとグロウの様に魔力を感じられないか試したいからだ。そもそもグロウが魔力感知に長けているとは言え魔法を使っていない状態で魔力を感じられるのかは分からない。その辺りの知識も俺には無いから自分で確かめるしか無い。授業で習うのかもしれないが自分で確認する方が早い。物は試しで俺は四人の魔力を感じる為に神経を研ぎ澄ました。リベルから極微量の魔力を感じれたが他三人からは感じれなかった。リベルは魔法の才が凄まじくその分魔力量も多いだろうし、これから先どんどん増えるだろう。他三人は何とも言えない。リベルが凄過ぎるが故に俺の指標が一般的では無くなったからどう言えば良いのか分からない。

(リフォンどうしたの?体調悪い?)

(何でもない。)

 俺は気がついたらみんなとかなりの距離離れておりリベルに心配されてしまった。

「今日は余裕だね。昨日はあんなにギリギリだったのに。」

「僕は成長するんです。」

「なら今日は昨日より多くの魔力を使おうか。」

「勿論です!」

 リベルはリタ先生と楽しそうに話している。ハーリーやワーナー、アインは使い魔とコミュニケーションを取っており準備万端のようだ。

 一限の始まりを告げる鐘が鳴った。

「今日は昨日と一緒だよ。自分の限界を知って最大限の威力を出すための授業だから精一杯取り組むように。」

「「「はい!」」」

 まず三年生がやり一、二年生は自分の魔力の形を探っている。リベルは誰よりも早く魔力の形を把握しており、やる事が無いのか十の指先に火と雷を交互に出している。俺はそれを見て有り得なくないかと思った。火と雷を二つ同時に出すのはまだ分かるが、それを十の指先で交互に出すのは難易度が明らかに違うからだ。

(それ凄くない?)

(これ?難しそうだけど火と雷のイメージがしっかりしてたら案外出来るよ。)

(そうか…)

 俺も試しにやってみた。空中には火と水の玉が交互に配列されていて自分の魔法ながら綺麗だなと思った。

「お二人ともそんな事まで出来るようになったのですか。」

 聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきたので俺とリベルは振り返った。

「ガイン!久しぶり!最近ずっと使い魔競技会のための特別日程だから剣術が無くてごめんね。」

「いえいえリベル様が謝る事ではありませんよ。」

「ニャニャ。」

 俺は久しぶりにガインに会ったからガインに抱っこしてもらおうと太もも辺りまで前足を伸ばした。ガインは察したのか俺を抱き抱えてくれた。

「久しぶりですねリフォン様。」

「ニャー。」

 久しぶりのガインの筋肉と匂い、体温を感じで心が落ち着いた。

「あ!ずるい!」

 俺を抱き抱えているガインを見てアインが声を上げる。その声にワーナーも俺の事に気がつきこちらにやって来る。

「リフォン私も!」

「俺にも!」

 俺はやらないと収まらないと思いアインにもワーナーにも抱っこさせた。ガインは猫吸いをしない派の人だったのか俺を抱き抱えた時にはしなかった。アインとワーナーは勿論猫吸いをして俺を堪能した。その様子にアインの使い魔アフィーとワーナーの使い魔ナーガが嫉妬しているようで一限が終わるまで話を聞いてもらえていなかった。

 二限の始まりを告げる鐘が鳴った。

「次は一、二年生だよ!」

 リベルは待ってましたと言わんばかりに歩み出した。ハリスはハーリーを置いてリベルについて行った。アインとワーナーは昨日よりは自信を持っているのかリベルの次にやるようだ。俺は悪い考えが浮かんだ。リベルの魔法がカカシに当たる前にカカシの周りを俺の水魔法で守りノーダメージに見せるのだ。

 リベルが昨日より大きな火の玉を作り出しそれをカカシに向かって撃った。俺はその瞬間カカシの周りに水魔法で壁を作り出した。

 バン!!

「よし!」

 リベルは手応えを感じたようだ。俺の水魔法とリベルの火魔法で水蒸気爆発が起こりモヤが発生した。みんなはそのモヤはリベルの魔法だけで起こったものだと勘違いしているようで、リベルに注目している。本人のリベルはそれに疑問を持っている。モヤが晴れ視界が鮮明になってカカシを確認するとカカシは無傷だった。みんな頭に疑問符を浮かべているがその中で俺だけは心の中で笑っていた。リタ先生とガインは気がついているようで俺の事を見ている。俺は知らんぷりをした。

「ガインどういう事か分かるか?」

 リベルがガインに教えを乞う。俺はガインを見て首を横に振った。

「わ、私にも分かりません。」

 ガインは察しの良い男だからやってくれると信じていた。

「リタ先生は分かりますか?」

「リフォンだよ。」

 リタ先生は躊躇無く俺の事を売りリベルが俺向かって一直線に走ってきた。俺は猫の脚力を活かしてリベルの手が届かないところに逃げた。

「こら!リフォン降りてきなさい!」

「ニャーン。」

 俺はイタズラをした猫のようにリベルを軽くあしらった。

「リフォンはそんなイタズラっ子じゃないでしょ!」

 リベルがお母さんの様な事を言い少し笑ってしまった。

(ほら降りてきな。)

(分かったよ。受け止めてね。)

 俺は手を広げているリベルの胸に飛び込んだ。リベルはしっかりと受け止めそのまま俺は抱っこされ続けた。

(僕の火魔法を止めた魔法どうやったの?)

(え?カカシの周りに水の壁作っただけだよ。)

(えー。僕の魔法はリフォンには敵わないのか…)

(攻め込むより守る方が簡単だろ?そういう事だ。)

(そうかなぁ…)

(そうだって元気出せよ。)

 リベルは憂さ晴らしをするかのように猫吸いをした。ワーナーとアインが魔法を撃とうとしているので俺はリベルを気にする事なく観察した。

 スパン!

 パリン!

 ワーナーは風魔法を斬撃のように飛ばし、アインは氷魔法で氷柱を作り飛ばした。二人の魔法はカカシに少し傷をつけた。ハーリーは疲れているようで俺たちが追いかけっこをしているうちに終わらせたのだろう。少し見てみたかった気持ちもあるが自分のせいなので仕方ない。

 二限の終わりを告げる鐘が鳴った。

(リフォンがあんな事するから一回しか出来なかったじゃん!)

(ごめんって。いっぱいモフモフさせてあげるから。)

(いつもしてるから意味無い。)

(じゃあ何して欲しいの?)

 俺はリベルが求めている物が分からず正直に聞いた。

(魔法教えて!)

(俺が教えれる事なんてないぞ…)

(じゃあリベルの秘密教えて。何でも良いから。)

(そんなの無いから他。)

 俺は女神の事や転生した事など様々な事が脳を駆け巡ったが流石に言えないので他を提案してもらった。

(じゃあ本気で手合わせして!)

(まぁそのぐらいなら良いよ。)

(じゃあ決定ね!使い魔競技会終わった次の休日で良い?)

(じゃあ決まりね。)

 俺たちがそんな会話をしていると寮の部屋に着いていた。俺はリベルにブラッシングをされモフられ猫吸いをされ幸せに一日を過ごした。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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