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31話 使い魔競技会準備五日目

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

「今日から使い魔競技会に出る生徒は特別日程になってるからこの紙を見て自分がどんな授業を受けるのか把握しておいてね。私の授業もあるからきちんと出席するように。」

 朝のホームルームが終わり今日から使い魔競技会を意識し始める生徒が多くなり始めるだろう。

(後五日だってー。はやいねー。)

(お前特に気にしてないな?)

(リフォンと僕なら優勝間違いなしでしょ!)

(自信があるのは良い事だが油断はするなよ。ここはエクサフォン学園なんだ。どんな天才がいるか分からない。俺たちみたいなやつがいるかもしれないからな。)

(天才だから油断はしないよ。)

((へへへ!))

 楽しくリベルと会話しているとラーヤが呼びかけて来た。

「一限始まっちゃうよ?」

「え?僕たち一限何?」

 リベルは急いでマリー先生が持って来た紙を見て俺を抱き上げて走り出した。

(一限何なんだ?)

(使い魔学で魔法競技室だった!)

 おそらく一限の始まりを告げる鐘が鳴るまで一分も無い。だからリベルは急いで走っているのだ。リタ先生に遅刻した理由を聞かれて使い魔と話してたからですって応えるのは恥ずかしいのだろう。

「二人が遅れそうになるなんて珍しいね。」

「あはは…」

 リベルは汗をかきながら苦笑を浮かべる。

 一限の始まりを告げる鐘が鳴った。

「今日から特別日程だから一年から三年の使い魔競技会に参加する全員と一緒に授業を受けてもらうけど、下に合わせるんじゃなくて上に合わせるからついてこれなくても心配しなくて良いよ。」

(それって僕たちみたいな天才以外は下級生に勝たせる気無いよね。)

(でもその分上級生たちは俺たちより学園生活が短いから仕方ないと思う事にしよう。)

(まぁ僕たちはついていけるから心配無いね。)

 リベルの自信は才能と努力の賜物なのは分かるけど油断し過ぎじゃないかなと思う。

「それじゃあ使い魔とテレパシーせずに魔法を同じタイミングで使ってみて。」

 普通の使い魔なら信頼関係をしっかりと構築して息を合わせるという高度な事なのだろうけど、俺たちにとっては朝飯前だ。

 リベルがカカシに向かって雷魔法を撃った。その刹那俺はそのカカシの上から氷柱状にした水魔法を撃った。俺の水魔法はリベルの雷魔法を補助するための物だから客観的に見たらあまり効果は無いように思えるがそれを人間に撃ったらと考えると恐ろしい。

「「「……」」」

 周りが俺たちの魔法に息を飲んだ。その正確さと魔法の練度そして俺たちが一切アイコンタクトなどを取らずに行った事に驚いたのだろう。その光景を見てリベルは嬉しそうに笑っている。

「三年生は彼らに負けないように頑張りたまえ。そして一、二年生は彼らを目標にしなさい。」

「「「はい!」」」

 エクサフォン学園に入学出来た者はその時点で秀才や天才と囃し立てられるが、上には上がいる事を知り絶望する者や嫉妬する者が多数だと思ったが逆に向上心の塊の様な生徒ばかりで驚いた。

「二人とも前よりも連携バッチリだね。」

「ハーリー、そっちは?」

「二人と肩を並べるぐらいだよ!」

 珍しくハリスが元気に返事をした。いつもならハーリーの後ろに隠れこのような事を言う感じじゃなかったのだから。リベルも驚いたようで目を見開いている。

「二人とも驚き過ぎだよ。最近クラスの人たちや先生と一緒にいる事が多くなって自然と慣れてきたんだって。」

「それは良かったな。一瞬頭でも打ったんじゃないかと思っちゃったよ。」

「ま、前までは自分に自信が持てなくて人とどう接したら良いか分からなかったけど、周りの人たちがいっぱい褒めてくれたり話しかけてくれたから前より前向きになれたんだ。」

 俺は身近な人?の成長に涙しそうになった。

「四人とも楽しそうに喋っているがきちんとやってるか?君たちは一年生の中でも特別優秀なんだから自惚れず努力しなよ。期待してるから。」

「任せてください。」

「頑張ります!」

「上級生たちに勝てるぐらい強くなります!」

「ニャーン。」

 ハリスの自信はすごく上級生たちにも勝つ勢いだ。それほどの自信があれば今後どんな人と会っても前のようにならず胸を張って人と会話出来るだろう。

「よしよし。なら次は藝術部門に使う魔法の練習をしようか。他のみんなに迷惑にならないように小さい規模の魔法にしようか。みんな何魔法が得意?」

「僕は火と雷です。」

「私は火と光です。」

「私は氷!」

「リフォンは火と水です。」

「一年生だから魔法の数が少ないのは仕方ないね。みんなが綺麗って思う物は何?」

 俺たちは少し考えて応えた。

「僕は宝石の様なキラキラした物です。」

「私はドレスの様な綺麗な洋服です。」

「私も宝石です。」

「リフォンはシンメトリーの様に整っている物だそうです。」

 テレパシーで伝えリベルに応えてもらった。

「みんな良い感性を持ってるね。それを自分たちの魔法で具現化させてみようよ。きっと綺麗だと思うよ。もちろん使い魔と協力してね。」

 それだけ言うとリタ先生は全体を見渡せる所に行った。

「ハリスやってみる?」

「もちろん!」

 二人は早速試しているようだがあまりうまく行っていなかった。

「僕たちもやろうか。」

 俺は水魔法で氷の結晶の形をイメージした。リベルは俺の水魔法に雷魔法を加えた。融合とは違い単純に俺の水魔法の中に雷魔法を流し込んでる感じだ。その結果、雪の結晶は雷を帯びてとても綺麗に輝いた。その綺麗さに見惚れてしまった。

(綺麗だね。)

(想像以上にな。)

「二人ともすごいね!何なのか分からないけどとても綺麗だった!」

「悔しいけど負けた…」

 ハリスは一人で落ち込んでいるがそれより気になる事があった。この世界では雪の結晶の様なミクロンの世界はまだ知られていないようだ。そもそも光魔法の回復で基本的に何でも治るから知る必要が無いのだろう。

 一限の終わりを告げる鐘が鳴った。

「次は屋外競技場で本格的に魔法の威力を向上させる授業だから一、ニ年生は三年生について行くように。」

 今出た屋外競技場は基礎を身につけてから利用する場所のようで一、ニ年生のうちは授業では使わないのだろう。

(リーン兄さんが三年生だったら良かったのにね。)

(確かにな。こういう時に頼りになるからな。)

 俺たちはそんな会話をしながら三年生について行き屋外競技場についた。

 二限の始まりを告げる鐘が鳴った。

「お待たせ。ここに魔力供給アイテムあるから魔力使いすぎた子はこれで回復させてね。でも疲労感を感じて使うっていうのはやめてね。本当にしんどい人に渡らなくなるから。」

 魔力切れの恐ろしさは入試当日のリベルを見て痛いほど分かっている。だからリタ先生も念押ししたのだろう。

「三年生はわかってると思うけど自分の魔力の半分までだからね。三年生は先にやってて良いよ。」

 三年生が各々自分の魔法をカカシに撃っている。雷、氷、風を重点的に使っている。火、水はずっと使っているから使い慣れていない他三種を使っているのだろう。

「一、二年生は魔法検査を受けて自分の魔法の事をより詳しく知ったと思うけど自分の魔力量については知らないだろう。魔力は魔法を使えば使うほど多くなるから具体的な数値を出せないんだ。だから自分の魔力量は自分にしか分からない。下手に魔力を使い過ぎると魔力切れを起こすし、魔力を使わな過ぎると授業にならない。じゃあどうすれば良いんだとなるけど簡単だよ。魔力の量は心の中で形となって現れるからそれを見つけるんだ。瞑想する感じでやったら見つけやすいよ。今見つけられなくてもいつかは見つけられるようになるから心配しなくて良いよ。とりあえずやってみて!」

 怒涛の説明に前半の事をすっかり忘れてしまったが、とりあえず自分の魔力を探ってみた。

 目を瞑り何も考えずただぼーっとしていると女神が手を振ってきた。俺はそれに動揺してしまった。リベルはそんな俺を見て笑っている。

(どうしたの?)

(い、いや何でもない。)

 俺はそう言うしか無かった。自分の魔力探ったら女神が出てきたなって絶対に言っても信じてもらえないし、言ってはいけないと思ったからだ。

 俺はバレないように少し離れて自分の上空に透明度の高い水の玉を作り出した。そこでもう一度自分の魔力を探った。また女神が出てきて手を振った。俺は違和感を感じた。俺は魔法を使ったのに魔力の消費を感じないからだ。女神が俺に加護をかけてくれているから自分の魔力が女神なのは理解できるが、その女神の姿がさっきと全く同じだからだ。俺は変化がわかるように水の玉をもっと大きくして魔力を探った。案の定さっきと全く同じ女神がいた。俺は自分の魔力は信じられないぐらい多いんだと思う事にした。

「みんなもうそろそろ自分の魔力を見つけられたかな?」

「見つけられました。」

「私も。」

「俺も。」

 リベルとハーリーそして二年生の何人かは応えたが他の生徒は応えなかった。おそらく自分の魔力を見つけられなかったのだろう。

「見つけられなくても大丈夫だよ。私だってえーと…十七ぐらいまでは明確には見つけられなかったから。」

 それを聞いて胸を撫で下ろす生徒が多かったが逆に闘志を燃やしてそうな生徒がいた。ワーナーとアインだった。二人の向上心は見習いたいものだ。

「先生三年生一通り終わりました。」

「ありがとう。じゃあ一、二年生やろうか!」

 みんな最初にやるのは気が引けるのか前に出なかった。それを見かねてリベルが俺を抱き抱えて前に出た。

(え?俺いる?)

(使い魔競技会のための授業なんだからいるでしょ!)

 俺は正論を言われ何も言えなくなった。

「良いね二人、ほらみんなも見習って。別に誰も責めやしないから。」

 何人かがゆっくりと前に出てきた。そこにハーリーやアイン、ワーナーはいなかった。少し寂しいが仕方ない。

「自由にやって良いよー。」

「はい!」

 リベルは元気よく返事をした。リベルは空中に大きな火と玉を作り出しカカシに向かって撃った。

 バン!!

 その威力はカカシが傷つくレベルだ。以前より魔力量が増えたのか今ではこんなに魔力を使っても平気そうだ。

(リフォンもやりなよ。)

(分かったよ。)

 俺はリベルの火の玉より小さいが威力は高くなるように火の玉に爆発のイメージを持たせて撃った。

 バゴン!!

 俺の火魔法はカカシの一部を抉った。俺はどうだとドヤ顔をしてリベルを見た。リベルは悔しそうにしていたが俺は気分が良かった。周りは口々に称賛の言葉を漏らしていた。

「さ、流石だね…」

「うぅ、私も負けてられない!」

 ハーリーは何とも言えない顔をしておりハリスは闘争心を燃やしている。ワーナーとアインもハーリーと同じ様な顔をしており何も話さなかった。そんな感じで一日を終えた。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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