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転生するなら貴族の飼い猫でしょ  作者: 描空
1年生編

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30話 使い魔競技会準備四日目

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

 今日も学園は休みだから使い魔競技会のために早朝から魔法の練習しようと起きると先にリベルが起きていた。


「おはよ。朝御飯食べる?帰ってから食べる?」


(か、帰ってからにするよ…)


 俺は部屋を出て行こうとするとリベルが俺を抱き上げやめさせた。


(何で僕に一緒に行こうとか言ってくれないの?昨日はあんなに素直に色々言ってくれたのに。)


 リベルは頬を膨らませながら言う。リベルのこんな顔は初めて見たので珍しいと思い目に焼き付けた。


(リベルはいつも勉強で俺より後に寝るから疲れてるだろうなって思ったから。)


(僕はそんなにやわじゃないよ。)


(それは知ってるけど俺なりに気を遣って言ってるんだ。どんな物でも毒と成るから、魔法の勉強と練習のし過ぎで倒れたりされたら嫌だから…)


 そんな俺の言葉を聞きリベルは目を見開いている。数秒間静寂が訪れた。


(え?何か言ってよ。)


(あ、あぁごめん。リフォンは優しいなって浸ってたんだ。でもリフォンばっかり強くなって主人の僕がリフォンより弱くなったらカッコ悪いからね。)


(じゃあマリー先生の部屋に行って。昨日の朝に練習してたら今度から頼ってって言われたから。)


(分かった。)


 リベルはスキップでマリー先生の部屋に行った。


「マリー先生魔法の練習に来ました。」


 しばらくしたら扉が開いた。


「リベル君もリフォン君と練習しに来たのかい?」


「流石に使い魔に負ける主人はカッコ悪いので…」


「確かにそうだね。でもリフォン君に負けるのは仕方

ないと思うよ。あの子は次元が違うからね…私もすぐに追い抜かされちゃいそうだよ。」


 苦笑しながら言うマリー先生の目は笑っていなかった。


「着いたよ。」


 マリー先生が案内してくれたのは俺が昨日魔法の練習をしていた所の近くだ。そこはリーンとリベルが魔法をシータから習っていた魔術訓練場のような木造の平家があった。


「ここはなんて言う場所なんですか?」


「ここは訓練場だ。魔法に使う限定とか剣術に使う限定って場所では無い。でもここは基本的に誰かは使ってるから今日と同じように早朝に来るのをオススメするよ。」


 基本的に誰かは使っていると言っているが、この学園の授業形態についてはまだ理解が及ばないところが多い。


「ところで今日はどんな練習をするんだい?」


 俺たちは何をしようかと顔を見合わせた。


「決まってないのなら君たち二人の魔法を融合させてみたら?」


 融合という言葉に違和感を感じた。俺がやっていたように火と水を一緒に使うとは違うのだろうか。

「融合ですか…」


 リベルは何かを知っているようで俺だけ置いてけぼりになってしまった。


(リベル融合って?)


(あぁごめん説明するね。融合って言うのは他者の魔法を一つずつ混ぜ合わせる事なんだ。でも融合はかなり危険なんだ。魔力の波長って言うのがあるんだけどねそれが合わないとその場で魔法が暴発したりしちゃうから。)


 俺はなかなかに危険な事なんだなと思った。そんな危険な事を俺たちにやらせようとしてるのは教師失格なんじゃ無いかと思っけど、ここは異世界で日本とは違う倫理観なのだから仕方ないと割り切った。


「リフォン理解出来た?」


 マリー先生は俺がリベルに説明を受けているのを理解していたのかそう聞いていた。


「ニャ。」


 俺は首を縦に振った。


「心配かもしれないけど、主人と使い魔は魔力の波長が似ている事が多いんだ。」


 そうかもしれないが俺はやはり心配だ。


「大丈夫だよリフォン。極僅かな魔力で行えば暴発しても被害は少ないだろうから。」


(分かった。)


 俺は極僅かな魔力で指先ほどの小さな水の玉を作った。俺はそこからどうするのか分からず固まった。

「リフォンもっと奥にやって。」


 俺は言われるがまま訓練場の奥の方に水の玉を移動させた。そうするとリベルが水の玉と同じぐらいの火の玉を隣に持って来てそのまま二つを一つにした。


「ふぅ…良かった。」


「一安心だな。」


 俺はこれが正解なのかも分かっていないのに二人は安心していて疎外感を覚えた。


(リベルどういう事なんだ?)


(今まで僕とリフォンが同時に魔法を使ったり複数の魔法を使った時はどちらか一方が発動した後にもう一方が発動するって感じだったよね。融合は全く同じタイミングで二つの魔法を発動させる事が出来る技術なんだ。)


(それって何のメリットがあるんだ?)


(え?う、うーん…)


 リベルも分からないのか考え込んでしまった。しばらく考えても分からなかったのかリベルはマリー先生に教えを乞うた。


「あんまりメリットは無いね。でも使い魔競技会の藝術部門ではかなり言うようだよ。一つの魔法から二つの魔法が出て来たらすごいって思わない?」


 話を逸らされた気がするが気にしない事にした。


(ところで融合ってどうやるんだ?)


(簡単だよ。二つを一つにするだけだよ。イメージとしては土の塊二つを大きな一つの塊にする感じだよ。)


(でもそれって途中で二つの魔法が反応して魔法発動しちゃわない?)


(それは大丈夫だよ。意図的に発動させたらそうなるけどそうじゃなかったら発動しないよ。)


(はえー。)


 俺は魔法は火そのものと水そのものを生み出していると思っていたが案外違うらしい。魔力が続く限り魔法を操れてしかもそれが被害を出さないように出来るとなれば、どこか遠くにいてもそこから火の玉を飛ばし家の暖炉に火を付ける事も可能になるのではないかと考えた。俺は早速試してみたくなりリベルに伝えた。


(リベル実験したい事があるから暖炉のように火をつけて良い場所と薪を持って来て欲しい。)


(わ、分かったちょっと待ってて。)


 リベルはマリー先生にも伝えて俺の実験に付き合ってくれた。


「リフォン君こっちだよ。」


 マリー先生が手招きをして焚き火をして良い場所を教えてくれた。程なくしてリベルが薪を持って来た。


(これで良い?)


(うん。ありがとう。)


 俺はそこから二十メートルほど離れてさっき考えた事をやった。魔法を遠くまで移動させるのはかなりの魔力を消費するようで火はマッチぐらいの小さな火でないと遠くまでは移動させられなかった。


(結構キツイね。)


(う、うん。そうだろうね…)


 リベルもマリー先生も好感触って感じでは無かった。俺の魔法に失望したのか少し落ち込んだ。


「ま、まぁ今日はこのくらいで良いだろう。疲れただろうからゆっくり休みなよ。」


「ニャ!」

 俺は元気に返事をした。そのまま寮の部屋に戻り朝御飯を食べゴロゴロした。暇だがリベルは机に向かっており構ってくれそうにない。こういう時教室ならハーリーやハリスと戯れるのだが今日は休みだから二人ともいない。俺は暇すぎて仰向けになりバスケットボールをシュートするように水の玉で遊んだ。


「リフォン何それ楽しそうだね。」


(暇だからこうしてるんだよ。勉強は終わったのか?)


(うん。暇ならどこか行く?)


(行く!)


 俺は即答した。前に出かけたのはしばらく前だから久しぶりの街だ。


(どこに行きたい?)


 俺はしばらく考えたがアイテミーの所やクローズの店とエクサフォンパークしか思い出せなかった。だから今日は街をブラブラする事を提案したらリベルは快諾してくれた。


 俺は街に出ると必ず好奇の目に晒される。それは良い感覚ではなくむず痒いが俺の見た目とリベルのイケメンのせいだから受け入れる事にした。


(リフォンここの焼き鳥使い魔用のもあるって食べる?)


(食べる!)


 その店の焼き鳥は絶品でぼんじり、皮、胸の様な部位がごちゃ混ぜにされていたが一風変わっていて楽しめた。


(美味しかったね。)


(うん。三つの部位があって食感や味の違いが楽しかった。)


(リフォンはグルメだね。全然気にしてなかったよ。)


 それは使い魔用の物がかなり薄味でその分素材の食感や味が分かりやすいからだろう。人間用のはタレたっぷりでそれも美味しそうだから人間だった俺からしたら羨ましい限りだ。


(次は何食べたい?)


(あんまり要望は無いから出店を見て決めるよ。)


 俺たちは再び歩き出し街の店を見て歩いた。洋服屋やパン屋、装飾品を売っている店など様々だ。見ているだけでも楽しい街だ。


(あれ美味しそうじゃない?)


 そう言うリベルの目線の先には牛串の様な物があった。美味しそうだが肉二連続は嫌なので断った。リベルは食べたかったのか少し残念そうにしてたから、リベルだけでも食べるように言うと一緒に食べるから良いのと譲らなかったのでこっちが折れた。


(リフォンあれは?)


 そこにあったのはエビと野菜を炒めた物だった。


(良いな。)


 そう言うとリベルは早速買いに行きテーブル席で一緒に食べた。味付けが抜群でクセになりそうだった。リベルも同じような感じだった。俺たちは日が暮れるまで街を歩いた。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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