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転生するなら貴族の飼い猫でしょ  作者: 描空
魔神教団編

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240/257

240話 陣形訓練

リヴとクルネの昼食を食べ終えた俺たちは早速陣形訓練に移ることにした。ファラブの人たちは屋敷の外に出て武具を身に纏い陣形訓練を開始した。と言っても、これは俺に普段どのような陣形で戦闘をしているのかを見せるためにやってくれているものだ。ファラブの人たちの何人かが敵役としてファラブの陣形がどう機能するのか見せてくれている。


「説明していきますが、まず、最前列にいる騎士たちが大盾を持ち、後ろにいる騎士たちにを守ります。そして、最前列の一つ後ろにいる騎士たちが大盾の隙間から大槍を刺します。これが陣形の最前線の形です。そして、陣形の中央には弓兵たちがいます。彼らは遠くにいる敵を狙います。弓兵とは言いますが、彼らは最後列の魔法使いたちを守る役割も兼ねているため、最前線を掻い潜ってきた敵を殺すために剣も持っているのです。最後は最後列の魔法使いたちです。彼らは最前列の少し先の敵を狙います。時と場合によっては融合魔法を使い強敵に向けて撃つこともあります。こんなところですね。何か改善点や疑問点はありますか?」


俺は戦闘の専門家でもなければ指南役でもないのに改善点や疑問点なんか求められても困るよと言いたかったが、そんなに正直に言ってしまうのは流石に格好悪いので少し言葉を考えた。俺は異世界に来てからとてつもないスピードで戦闘や様々なことを経験しているが、専門的な知識はこれと言って身についておらず何を言おうか困った。俺はもう考えても出てこないと思いシンプルな質問をした。


「もし、前からに加えて左右後方からも敵が来たらどうするんだ?」


俺の言葉に一同考え込んだ。おそらくファラブではヴィシャールキーチュワ以外の魔物はおらず、そこまで数も多いわけではないからこの陣形で尚且つ他からの攻撃を考える必要はなかったのだろう。でも、今からは違う。魔神と戦うとなると、魔の付く者はほとんどが敵となってしまう。俺やカサムラーの魔法の影響下にあれば防げるかも知れないが、かなり厳しいだろう。魔神と俺たちの力の差がどれほどあるのか定かではないが、女神が無理だと言うぐらいだから魔神の方が圧倒的に上なのは間違いないだろう。魔神の力によって敵が増えるわけだから前方だけに集中するのはあまりにも愚かだ。そこで俺の考えをみんなに伝えた。


「答えが出なくても仕方ないよ。俺もどうするのが正解かなんて分からない。でも、時と場合に応じて陣形を変えるのはどう? 例えばだけど、後ろから敵が来るのが分かったら弓兵が魔法使いの前に出て大盾を構えて最前列の騎士たちが来るまで耐えるとか、全方位から来てるってなったら魔法使いと弓兵は一箇所に固まって、その周りを最前列の騎士たちが守るように円形になるとか」


俺の言葉を聞いたファリスを含めたファラブの人たちは早速試そうとばかりに陣形を組み始めた。俺は急なことに動揺したが、しばらく見守ることにした。きっと彼らなりにこれからの戦闘に向けて準備をしているのだろう。しばらくして一通り陣形を試したファラブの人たちは満足したのか何かを話していた。ファリスが戻ってきて俺に言った。


「少し休憩したら水魔法をお願いできませんか? 陣形がきちんと機能するかを水の流れで確認したいのです」


「もちろん構わないよ」


俺はファラブの人たちが休憩を終えるまでファリスと雑談をした。自分たちがやっていた陣形は効果的だろうかと聞かれたり他の陣形はないかと聞かれたりしたが、なんとか上手くやり過ごせた。学のない俺にそんな質問しないでほしいと心底思った。そんな話をしているとファラブの人たちの休憩が終わった。ファリスも陣形に戻り準備ができたのを確認した俺は水魔法を胸の高さほどまで上げて重力に負けないようにイメージして騎士の大盾に向かって撃った。俺の水魔法は見事に大盾に防がれ二方向に別れて陣形の後ろまで流れた。ファラブの人たちはひとまず良しといった感じだった。今の陣形は普段の陣形だったので当然だと判断したのだろう。そして、次は俺が提案した魔法使いを弓兵が守るというものだ。弓兵は仲間から大盾を借りて魔法使いを守るための陣形をとった。俺は再び水魔法を使った。流石に慣れていないからか普段の陣形よりは耐久度はなかったが、ある程度は防げており練度の高さを実感した。最後は最後列の騎士たちが円形になる陣形をとった。俺は全方位から水魔法をやらないと意味がないなと思いその旨を伝えて水魔法を使った。しばらくは耐えていたが、次第に耐えれなくなり水魔法が大盾を持つ騎士たちを打ち負かしたのを確認してから水魔法を止めた。最前列のファラブの人たちはかなり疲れたのか息が上がっていた。皆で励まし合いながら改善点を話し合っていた。ファリスは俺の元にやってきた問うてきた。


「どう思いますか?」


「今は水魔法だから防戦一方だったけど、実戦となれば魔法使いや弓兵が対抗できるだろうからしばらくは持つだろうな。でも、途切れることのない相手なら厳しいかもな。最前列の騎士たちが耐えてる間に魔法使いたちが融合魔法を準備して、防御壁を作ったり敵を殲滅したりしないとだな」


俺の話を聞いたファリスは仲間たちにその話をした。ファラブの人たちは改善点がまだまだあるなと自分たちでさらに話し合いを深めた。その様子を見てファラブと友好関係を結べていて本当に良かったと思った。そんな時、ファラオの声が聞こえた。


「皆の者、戦闘訓練お疲れ様。ここで我から皆に褒美がある受け取れ」


ファラオは大きなお皿にクッキーを入れて俺たちのところまで運んでくれた。


「疲れた体には糖分だ。一日の疲れを癒せ」


俺たちはそのクッキーを頬張った。程よい甘さが全身に染み渡り全身の力が一気に抜けた。俺たちはファラオに感謝しながら食べた。俺はそこまで疲れていないのでファラブの人たちのためにと手を引いた。


「もう食べぬのか?」


「俺はあまり疲れてないので、疲れて欲している人が一つでも多く食べられるようにと」


「本当に、リフォン殿は強くて性格も良くて思いやりもある。非の打ち所がないを体現したような人じゃな」


俺は照れつつも否定しておいた。本当の俺はそんなできた人間ではないことは俺が一番理解しているから。ファラオと雑談をしているとあっという間にクッキーは無くなりファラオは驚いていた。でも、それと同時に嬉しそうでもあった。自分が作った物がこれだけ求められたら誰でも嬉しいだろう。


「お粗末さま」


ファラオは微笑みながら言った。今日の訓練はこれで終わりだ。そして、問題なのがファラブの人たちの泊まる場所だ。宿まで行くにはかなりの労力が必要で、戻ってくるにも同等の労力が必要となる。でも、俺の風魔法だけで寝泊まりさせるわけにもいかずどうしようかな悩んだが、総意を聞いてみることにした。


「皆さんの寝るところなんですけど、下の宿に寝泊まりするのはかなり大変なので、俺の風魔法で代用したらどうかなって思うんですけど良いですか?」


俺の言葉にファラブの人たちは口々に肯定してくれた。おそらく俺の風魔法のベッドの寝心地が良かったのだろう。俺はこれなら楽だと歓喜して風魔法のベッドを出現させた。ファラブの人たちは嬉々としてベッドに寝転がり幸せそうにしていた。俺は良かったと胸を撫で下ろした。後は来る日まで訓練するだけとなった。

次回もお楽しみに


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