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転生するなら貴族の飼い猫でしょ  作者: 描空
魔神教団編

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234話 作戦会議

リヴとクルネたちを魔神教団本拠地から救い出してから少し経った。他に救い出した人たちも落ち着いて俺たちと話をしてくれるようになり、ひとまず安心といった感じだ。リンとクフォンは毎日楽しそうに屋敷の中を走り回ったり俺やリベルたちに遊んで欲しいと要求してくる。子どもだから遊んでやらないと可哀想と思い、俺とリベルは二人と全力で遊んであげている。時には魔法を教えたり魔法を使って遊んだりもしている。こんな幸せな日常が続けば良いと誰もが思っていたであろう。そんな時、魔神教団本拠地に偵察に行っていたヒューが帰ってきた。ヒューは自ら偵察役を引き受けてくれており、暇だからという理由なのかは定かではないが、積極的に偵察に行ってくれている。


「全員集合!」


屋敷に響き渡るような声でヒューが叫んだ。俺たちは何事だとリンとクフォンを連れてみんなが集まれるであろうダイニングに向かった。すでにイシュとヒュー、カサムラーがいて何やら深刻そうな顔をしていた。三人のただならぬ雰囲気を感じ取りリンとクフォンに二人で遊んでおきなさいと言い、ダイニングには入れさせないようにした。ちょうどリヴとクルネも来ていたので二人を任せることにした。


「揃ったな」


俺たち八人とカサムラー、囚われていた人たちの数人が集まった。他の人たちは俺たちが話し合いに参加しなくて良いと退出させた。心の傷を抉る可能性や聞いていて心地の良い話ではないと察していたからだ。


「早速本題から話すが、その前に今の魔神教団についても話しておこう。今、奴らは本拠地を再建させようと躍起になっている。建物を建て直したり防壁を補修したりしている。だから、俺はその隙に魔神教団が何か隠しているものはないかと探ったんだ。大体の目星は付いていた。俺が本拠地をめちゃくちゃにした時、カサムラーと同程度の魔力を感じたからな。そこに違いないと思ってそこに潜入したんだ。そして、そこにあったのは禍々しい魔力を放つ、魔神と思しき存在だった。形があるわけではないが、何というか魔力が魔神だと物語っていた。この世の憎悪、復讐心といった負の感情の全てが詰まったような感じがした。初めて鳥肌が立つ経験をした。アレはこの世の負の感情そのものだ。早急にアレをどうにかしないとヤバイぞ」


ヒュドラという生き物として上から数えた方が早い存在がこれほどまで言うということが、魔神の恐ろしさ強さを物語っていた。ヒューの話を聞いた俺たちは早速作戦会議を始めた。


まず、魔神についてだ。俺たちは魔神についての情報は全くといっていいほど知らない。そのため、どうやれば魔神が復活せずに済むのか分からない。下手に手を出して魔神を復活させてしまったら元も子もない。したがって、魔神教団幹部や上層部を攫うという案も出たが、そんな奴らが口を割るとは思えず無しになった。案が出ずに悩んでいると、俺は女神にもっと魔神について聞いておくべきだったと後悔した。俺はもう一度女神が助言してくれないかなと思い目を瞑ってみた。


「本当に仕方のない人ですね」


「女神様!」


まさか本当に女神が助言してくれるとは思わず、俺は心底喜んだ。俺は時間がないと早速本題について話した。


「実は……」


「私が知らないとでも?」


女神は爪を噛みイライラしていた。俺の話を聞くまでもなく、魔神が復活しそうなのは知っていたのだろう。それもそのはずだ。魔神が復活しないために俺を使って阻止していたのがこの女神なのだから知っていて当然だ。なのに、なぜ今回は取り返しがつかなそうなところまで放置してしまったのだろうか。それについて詮索できるような雰囲気ではなく、俺は慎重に言葉を選んだ。


「え、えっと俺にできることってありますか?」


「えーとですね、まずあなたのお仲間が言っていた魔神の欠片だと思しきものはもうすでに魔神となる準備が整っているものです。もう後の祭り状態なんです……正直に言うとあなたにお願いしたからしばらくは大丈夫だろうと油断していたのが間違いでした。まさか、こんなに早く復活を企んでいる輩がいるとは……むしろ、あなたにやってもらった後すぐにあの教団が行動を本格化させたのでしょうね……もう、本当に……」


女神はもうどうしようもないといった感じだった。俺はもう手立てはないのかと疑問に思った。魔神であっても絶対に無理なんてことはないだろうと淡い希望を抱いているのだ。


「あの、魔神ってそんなに強いんですか? 頑張ったらどうにかなったりしないんですか?」


「ならば良いですけど、あなたたちでは厳しいでしょうね……」


「そ、そうなんですか……」


いつも頼り甲斐のある女神がこれほど弱気なのは初めてで俺の方まで本当に勝てないのではないのかと思えてきた。俺はそんな自分に喝を入れた。こんなに弱気になってはダメだと。勝てる希望が1パーセントしかなくても可能性があるのなら不可能ではないと。自分を奮い立たせた。そして、女神に問うた。


「俺、頑張ります。だから、力を貸してください。女神様がダメだと決めつけたとしても、俺は諦めません! たとえ勝てない勝負でも、最善を尽くしたいんです。もしかしたら、最善を尽くした先に勝利があるかも知れません。だから、俺に託してください!」


俺は思っていたこと全てを曝け出した。異世界に転生させてもらえたのだから最善を尽くしたいという気持ち、もしかしたら勝てるかも知れないという淡い希望、そして俺の覚悟を。女神は俺の覚悟を受け取り凛々しい表情になった。


「分かりました。あなたにそこまで言われて背筋が伸びました。まだ負けが決まったわけではありませんし、あなたに託します。でも、あなたには重圧かも知れませんよ?」


「そのぐらいの圧がかかってるぐらいが緊張感持ててちょうど良いですよ」


「たくましくなりましたね」


そう言うと女神は俺の頭に手を翳した。俺は反射的に目を閉じた。


「終わりました。頼りにしていますよリフォン」


「任せてください!」


俺は女神の期待を胸にそして、世界を救うという重圧と共に目を覚ました。

次回もお楽しみに


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