233話 喜ばしい再会
目を覚ますと見慣れてはいないが安心できる天井がそこにはあった。カサムラーの屋敷だ。魔神教団本拠地からリヴとクルネとその他囚われていた全員を連れてテレポートをして帰ってきた。そのせいで魔力切れとなり今の今までずっと寝ていたのだ。ベッドから体を起こすと、ベッドにもたれかかるようにリヴとクルネが寝ていた。おそらくずっと俺が起きるのを待っていてくれたのだろう。俺はそんな二人が愛おしくなり二人の頭を撫でた。二人は夜遅くまで起きていたのか起きる様子はなかった。俺は見えざる手で二人をベッドに寝かし、みんなに今回の一件を伝えるべくダイニングに向かった。
「あっ! おはようリフォン!」
ダイニングにはみんないてリベルが再開を嬉しく思ったのか抱きついてきた。俺はリベルを簡単にいなしてヒューに事実確認をした。
「みんなに話した?」
「話さないわけにはいかないだろ? 屋敷に連れてきちまったんだから」
俺はそれもそうかと納得した。カサムラーは複雑な表情で俺を見つめており俺に椅子に座るように促した。俺が椅子に座るとカサムラーが話し始めた。
「貴様らの功績は大きいものだが、今後魔神教団がどのような行動に出るか分からなくなった。もしかしたら、控えめになるかも知れないが、最悪の場合、今よりも大胆に行動するかも知れない。今まで以上に被害に遭う者が増えるの確実だろう。ヒューの話によれば本拠地を荒らしに荒らしたそうじゃないか。相手にダメージを与えられただろうが、反感を買ったのは間違い無いだろう。そのことは分かっているな?」
カサムラーの問いに俺は力強く頷いた。そして、カサムラーが続けた。
「それで、今後どうするつもりだ?」
俺はカサムラーの問いに明確な答えは決まっておらずどうしようかと考えていると、廊下からドタドタと激しい足音が聞こえてきた。
「「リフォっちどこー!?」」
勢い良く飛び込んできたリヴとクルネは俺を見つけると目をキラキラさせて俺に向かって突撃してきた。俺は何とか椅子ごと倒れないように踏ん張った。二人は口々に様々なことを言っていた。俺に会えて嬉しいことや助けてくれてありがとうなど様々だった。とりあえず二人を落ち着かせて魔神教団に捕まった理由などを話してもらうことにした。
「あれから何があったんだ?」
俺が二人に問うとリヴが話し始めた。
「リフォっちたちが離れてからしばらくして、なんか変な感じのアイツらがウチらの所に来て、なんかうちの教団に入れってしつこく勧誘されたんよ。でも、ウチらってそんなに強くもなければ生活に困ったりもしてなかったから断ったのに、諦めようとしなくて、アイツらがなんか急に従わなかったら殺すとか言って仕方なく従ったわけ。
それで、アイツらに捕まってたの。そこからなんかウチらが珍しい種族らしいって会話が聞こえてきたんだけどそれ以外の事は分かんなかった。でも、なんかアイツらなんか情報が欲しかったぽくて、みんな拷問とかされたんだけど、ウチらってあの森から出たことないからアイツらが欲しい情報とか何にも分かんなくて、イラついたアイツらが八つ当たりするようにみんなを拷問して……そのままほとんどの人がいなくなっちゃったんだ……」
俺は魔神教団本拠地に囚われていた時の様子を思い返した。拷問器具と思われる鞭などがありあれで村の人たちを酷い目に遭わせたのだろう。そのことを思うと怒りがおさまらなかった。でも、俺はその時リヴとクルネをお母さんと慕う子どもがいたことを思い出した。今この場にはその子たちはおらず、二人にそのことについて聞くことにした。
「そう言えば、二人っていつの間に子どもできたんだ?」
俺がそう問うと二人は何だか言いづらそうにしていた。二人がこんな反応するなんて珍しいなと思っていると、クルネが俺に耳打ちをした。
「二人はリフォっちとの子だよ。忘れちゃったの?」
「えーーー!?」
俺は衝撃の事実に大声を出してしまった。周りにいたみんなが俺の反応に驚いて一瞬時が止まったように感じた。だが、問題はそこではなかった。俺は二人に子どもがいつできたのかみんなに聞こえる声で言ってしまっており、会話の内容からみんなが察して俺に事の詳細を確認してくることだ。特にリベルとルリ、ルナが興味津々に聞いてきた。リヴとクルネが三人に詳細を話そうとしていたが、俺は全力で止めた。そんな混沌とした状況の中でダイニングの扉が誰かの手によって開かれた。それは俺の子どもだった。でも、俺はおかしなところに気がついた。それは俺の子どもにしては大きすぎるのだ。俺たちが別れてから一年ほどしか経っていない。なのにその子たちはもう五歳ほどの年齢だった。俺がその矛盾を突こうとした時、俺の中に二人を疑うことは関係悪化になる可能性や子どもたちに悪影響になるのではと思い言わないようにした。その子たちはリヴとクルネのもとに駆け寄り二人が自分の子どもをみんなに紹介した。
「ウチの子どもがリンで」
「アタシの子どもがクフォン」
リンは可愛らしい女の子で、クフォンはキリッとした目元がカッコいい男の子だった。でも、人間の遺伝子はケット・シーとクー・シーには勝てないのかリヴとクルネにしか似ていなかった。でも、そんなこと気にしているのは俺だけでリヴが続けた。
「一応説明しておくけど、リンもクフォンも一歳なんだー。人間とは成長スピードが桁違いなんだって。村長が教えてくれたけど確か人間の五倍ぐらいって言ってた気がする」
リヴの話にクルネも頷いており、それなら俺の子どもだということに矛盾は生じない。俺は前世と合わせたら父親になってもおかしくない年齢であるが、今は状況が状況なだけに子どもたちを構える時間があるかどうか分からない。でも、状況が落ち着いたら必ず父親として正しい振る舞いをしようと心に決めた。
「何のお話してるのー?」
リンがリヴの膝の上に乗りながら問うた。リヴは優しく微笑みながら話した。
「リンのパパにウチらのことをよく知ってもらうためのお話だよー」
その言葉を聞いたリンが俺に向かって歩いてきて俺の膝に顎を置いて言った。
「パパー?」
「そうだよ……」
俺はリンの言葉に涙が出そうになりながら答えリンを抱き抱えた。俺が抱き抱えるとリンは可愛らしく笑いとても幸せそうにしていた。それを見たクフォンも俺の所にやってきて言った。
「パパ!」
俺は二人ともを抱き抱え幸せの最高潮に至った。しばらくの間二人を抱き抱え満足すると二人を下ろしリヴとクルネのもとに戻って行った。俺が心を落ち着かせるとリベルたちが何やらニヤニヤと笑っていた。俺は自分がリンとクフォンの父親であることを認めたことにニヤニヤしているのだと分かったが、リベルたちに怒るでも文句を言うでもなく、ただ負けを認めるように微笑んでみせた。
次回もお楽しみに




