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2話 剣術と魔法

リベルとリーンについて行き剣術と魔法の訓練を見学するリフォンは初めて魔法をみせる。

 俺が使い魔として召喚された次の日朝からリベルに起こされた。

「リフォン起きて!朝ごはんだよ。」


 俺は大きな欠伸をして起きた。リベルはまだ寝ていたそうな俺を抱き上げてダイニングルームに連れて行った。


「なんで朝からそんなに忙しそうなんだよ?」

「うちは家族みんなで食卓を囲むんだよだから。」


 リベルが早歩きで俺を運んでくれたおかげでみんなを待たせずに済んだ。


「おはようリフォン。」

 グロウが挨拶をしてくれた。おそらくグロウは俺をかなり気にかけてくれているのだろう。昨日の紋章の説明も丁寧だったし猫が好きなのだろうかと思った。


「おはようグロウ。」

「明日からはきちんと起きてくれよ。」

「ああ、分かったよ。」


 俺の食事もテーブルの上に置いてあるのに疑問を持った。


「グロウ、何故俺の分の食べ物がテーブルの上にあるんだ?体毛などでみんなに迷惑をかけるだろう。」

「そんな事を気にしているのか。私たちは家族だ同じ高さで食事をするのが当然だろう?それに、リフォンだけ低いと会話に入り辛いだろう。」

 グロウはつくづく良いやつなんだなと改めて思った。


「なら遠慮なく。」


 家族みんなで食卓を囲む事は生まれて初めてだ。


「そうだリフォン、リフォンって猫種は何なの?普通の猫に比べてかなり大きいけど。」

 リベルがそんな突拍子も無い質問に俺は少し驚いた。


「あんなに俺の事を抱き抱えているからそれぐらいは知っているものだと思ったが知らなかったのか。俺の猫種はメインクーンという猫種だ。かなり大きくて毛が長いのが特徴だな。」

「メインクーンって言うんだ、何だが高貴な名前だね。公爵家にピッタリだ。」

 リベルは笑いながら言ってくれたのが少し小っ恥ずかしいかった。


「食べないのか?リフォン。」

「みんなと話しているのが楽しくて忘れていた。」


 みんながフフッと笑ったのが恥ずかしくて出されたものを豪快に食べようとしたが、一口食べてその美味しさに驚愕した。生まれて初めて食べる食材ばかりで何が何だが分からないがとにかく美味しい。


「そんなに急いで食べなくても逃げませんよ。」

 マイヤーが優しく俺の頭を撫でて諭してくれた。


「すまない。あまりに美味しくてつい。」

「それは良かったです。」


 それからはゆっくり味わうように食べて幸せを文字通り噛み締めた。


「リフォン今日は私たち家族が毎日どのような事をしているのかを見ると良い。おそらく初めての事ばかりだろうから。」

「ああ、そうさせてもらうよ。」


 食べ終えた食器をメイドたちが片してくれた。メイドや執事というのが当たり前の世界に来て非現実ながらも現実なのを痛感した。


「ところでグロウ、誰について行くのが一番面白いかな?」


「私は基本的に書類整理だから来ても面白く無いだろう。リベルとリーンは剣術や魔法の訓練をするだろうからそちらについて行くと良い。貴族の優雅な生活を見てみたいと思うのならマイヤーについて行くのが良いだろう。」


「ありがとう。まずはリベルとリーンについて行く事にするよ。グロウは仕事頑張ってくれ。」

「子供が親の仕事を心配する必要は無いぞ。」

 グロウはそう言いながら俺の頭を撫でて自室に向かった。


「行くよ、リフォン。」


 リベルが俺を抱き上げて連れて行ってくれた。屋敷の隣にある訓練場に着くまでに屋敷の中を隈なく見ていたが、窓の縁や壁と床の間といったあまり目に付かないような場所も装飾が施されており公爵家の威厳や権力をひしひしと感じる。


「ここが訓練場だよ。左側が剣術で右側が魔法だよ。どっちから見たい?」

「じゃあ剣術から。」


 剣術訓練場の扉を開けると筋骨隆々な男性がいた。グロウと背丈はあまり変わらないが、その筋肉の大きさと厚みでグロウより一回り大きく見えた。


「リベル様、やっと来ましたか。」

「おはよう。ガイン。」

「紹介するね。この人は僕とリーン兄さんの剣術の指南役のガイン・サイラーン。子爵のサイラーン家の人だよ。サイラーン家は代々国王の側近や親衛隊に選ばれるぐらい優秀な人が多いんだよ。」

「リベル様、そこまで褒めなくてもいいですよ。」


 ガインの強張っていた顔が少し綻んだ。


「その抱き抱えている猫がリベル様が召喚なさった使い魔ですか?」

「ああ、リベルからリフォンの名を貰った。これからもリベルをよろしく頼む。」


 俺は少し失礼かと思ったがリベルに抱き抱えられながら挨拶をした。


「初めて見ましたよ。喋る動物の使い魔なんて。」

 ガインは目を丸くして俺の事を見ていた。


「僕の自慢の使い魔だらね!」

 リベルは胸を張りながら言った。俺とガインの心境はかわいいで合致しただろう。


「リフォン様は少し離れていてくださいね。」


 ガインとリベルが木刀を手に取り向かい合った。その刹那に二人が木刀を目で追えないほどの速度で打ち合い始めた。


「リベル様いつもより張り切っていますね。リフォン様に良い姿を見せたいんですか?」

「当たり前だ!僕はリフォンの主人だからね。」


 側から見れば実力は拮抗してそうだが、リベルの表情は辛そうだが、ガインにはまだまだ余裕がありそうだ。


 ガインがもう少し力を入れて木刀を振るとリベルの太刀筋が乱れた。ガインほどの実力者がその隙を見逃す筈が無くリベルの首元に木刀を当てた。


「また負けたー!」

「かなり強くなってますよリベル様。」


 まだ10代前半なのにこれほどの実力があればグロウも鼻が高いだろう。


「リーン兄さんとどっちが強い?」

「まだリーン様ですね。でもリベル様は間合い管理がお上手です。これをさらに伸ばしていけばリーン様から一本取れるかもしれませんよ。」


 ガインは自分の経験から教えるタイプで実力も指導力もあり指南役にこれ以上の人材はいないだろう。


「リフォン、僕はもう少しやっていくから隣の魔法訓練場に行っておいで。多分リーン兄さんがいるだろうから楽しいと思うよ。」

「ああ、分かった。」

 俺は自分で訓練場の扉を開けるとその中は猫の体毛を持ってしても少し寒かった。


「やあ、リーン見学に来たよ。」

「リフォンか、寒く無いか?」

「俺は大丈夫だけどリーンは寒く無いの?」

「術者本人には効果が出ないんだ。だから、体に火を纏ったり水を纏ったりして火中に入ったり水中に入っても大丈夫だよ。」


 俺は魔法はかなり便利な使い方を出来るんだなと感心しているとリーンの奥にスレンダーな女性がいた。


「リーン、そちらの方は?」

「ああ、俺とリベルの魔法の指南役のシータ・ベルナイドだ。」

「初めまして。リベルの使い魔のリフォンです。」


 何故かこの女を前にすると心の奥底が震えるような感覚がする。一瞬の静寂の後シータが俺に抱きついてきた。


「君がリフォンだね!話は聞いてるよ動物の使い魔で喋れるのは滅多にいないからね!」


 さっきまでの震えるような感覚が嘘のように今は何故か安心する。シータは俺の腹に顔を埋め左右に動かし、猫吸いを堪能していた。


「やめんか!」


 俺はくすぐったいのと息が当たる不快感から猫パンチをシータの頭頂部にお見舞いした。


「ごめんごめん!あたし猫好きだし喋る動物の使い魔なんてもう会えないかも知れないからさ。ん?君なんか…うーん?何だろうこの感じ…分かんないや。」


 シータが何を言っているのか全然理解できなかった。


「シータ、氷魔法の温度をさらに下げるにはどうしたら良いんだ?」


 リーンは魔法にかなり貪欲そうだ。


「氷魔法はね、温度下がれ下がれ下がれって思うと下がるよ。」


 ガインと違いシータは感覚で教えるタイプだ。正直言ってこれでは魔法の腕は上達しないだろうと思ったがそれは誤解だった。


 リーンがもう一度氷魔法を使うとさっきより更に訓練場の温度が下がった。俺は何でさっきの説明で理解できるのか分からなかった。


「リーン!寒いよ!」

「ごめんいるの忘れてた。」


 俺がリーンに止めるように言うとリーンは謝りながら止めてくれた。それより何故さっきの説明で理解できるのかを聞いた。


「何でさっきよりも氷魔法の温度が下がったの?教えてくれたの下がれって思うだけなのに。」

「まず魔法は術者の思いや感情で左右される事が多いんだ。だから火魔法の場合なら上がれって思えば上がるんだ。」

 俺はこの世界ではそんな原理で魔法が働いているのかと感心した反面、感情が昂りすぎたら周りにも被害が出るのでは無いかと危惧した。


「そうだリフォンって魔法は何が使えるんだ?」

「火と水だよ。」

 二人の動きが止まった。俺は何かまずい事を言ったのかと心配になった。


「二つ使えるのか?」

 シータが神妙な面持ちで聞いてきた。


「う、うん…使えるよ。」

「使ってもらってもいい?リフォン。」


 俺は何故こんな反応なのか分からないが、とりあえずさっき話していた火のイメージを思い浮かべた。

 ゴオオオオオ!


 口から火柱が出た。訓練場の壁が燃えてしまったので次は水のイメージを思い浮かべた。

 ブシャアアア!


 口から水が噴水のように出た。何とか訓練場の壁は少し焦げる程度で済んだ。魔法を使う時に何なのか分からない無いが体の中を駆け巡る感覚があった。これが魔力と言うやつなのかは分からない。


「二人ともどうしたの?」

「「ビックリしすぎて言葉が出ない。」」

 二人とも息ピッタリだ。


「魔法を二種類使える使い魔はいないの?」

 俺はシンプルに今思ってる事を聞いた。


「使い魔は基本的に一種類でそれに長けている事が多い。そして妖精の場合だと複数使える場合が使い魔よりは多いがそれでも珍しい方だ。」

 シータが早口で答えてくれた。


「しかも威力も申し分ない。まだ使い魔として二日しか経っていないのが怖いよ。」

 リーンは冷静に分析しつつも俺の事を褒めてくれた。


「変な魔力を感じたがどうした?」

 ガインとリベルが慌てた様子でこちらに来た。


「えっと、俺かな?」

「ああ、今のはリフォンだ。しかも火と水だ。」

 ガインは信じられないという顔をしていたが、リベルはすぐ俺の元に来た。


「流石リフォン!僕の自慢の使い魔だよ!」

 俺の事を目一杯撫でた。気持ちいいからしばらくそのまま続けてもらった。


 しばらくして落ち着きを取り戻したガインが言った。


「グロウ様に報告すべきです。」

「確かにそうですね。これほどの実力と才能があれば国王推薦で学園に通う事も出来るでしょうね。」

「すまない。国王推薦とは何だ?そして学園とはどのような場所なんだ?」


 俺はこの国についてまだ何も知らないからとりあえず情報収集する事にした。


「国王推薦は文字通りで年に一回の入学試験の際に国王が一人だけを学園に推薦するのです。その推薦者は学費無料と専属教官、今後の活動支援そして爵位の叙爵があります。」


 ガインが事細かく説明してくれた。


「公爵家の場合爵位の叙爵って何か他の物に変えてもらえたらするのかな?」

「分かりませんが国王は寛大なお方なので融通は効くと思いますよ。」

「ところで学園っていうのは?」

「それは私が説明しよう。卒業生だから内情も教えられるよ。」

「シータも使い魔がいるの?」


「いやいないよ。その学園は魔法、使い魔、妖精全てについて学べる学園なんだ。人によっては使い魔を召喚していない人も今後召喚するかも知れない、予定があるなどの理由で使い魔学を専攻する人もいるんだ。逆もまた然りだ。」


「ありがとうシータ。ところでガインはどこの卒業生なの?」

 俺はガインの剣術はどこで学んだものなのか知りたくて聞いた。


「私もエクサフォン学園ですよ。そもそも学園はそこしかありませんから。」

「じゃあガインは魔法も使えるの?」

「私は魔法の才能があまり無く初歩的なものであれば使えるぐらいです。」


 何だか微妙な空気になってしまった。プライベートな事聞いちゃったかなと思い謝った。

「なんか申し訳ない。」

「いやいやリフォン様が謝る必要はないですよ。」


 ガインは魔法の才能が無いことを少し思うところがあるのか何とも言えない顔をしていた。


「お父様に報告に行こうよリフォン。」


 リベルは俺の返事を聞くまでも無く俺を抱き上げてグロウの自室に連れて行った。

次回もお楽しみに

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