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転生するなら貴族の飼い猫でしょ 〜飼い猫兼相棒として異世界を旅します〜  作者: 描空
世界放浪編

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191話 チャヤの報告

チャヤに十二の柱と四つの塔を探りに行かせて一月が経とうとしていた。もうそろそろ帰ってくるかなーとヴォディカ国の空き地でのんびりしているとチャヤの声が聞こえて来た。


(ただいま!)


(タイミングバッチリ!)


俺はあまりに完璧なタイミングで帰って来たチャヤに心の声が漏れてしまった。でも、悪い言葉ではないしチャヤも嬉しそうにしてくれたから事なきを得た。


(それでどうだった?)


気を取り直して俺がチャヤにそう問いかけるとチャヤは微妙な反応を見せた。


(もしかして何もなしか…?)


(ごめん…)


俺はチャヤですら何も情報を得られないことに心底驚いた。そこでこの一ヶ月間の詳細を聞いた。


(責めてるわけじゃない。ただ、教えて欲しいんだ。この一ヶ月間どうやって情報収集をしてたのかを。)


俺がそう問いかけるとチャヤは話し始めた。


(まず、城の中に忍び込んで王様?みたいな人の影になって重点的に探ってみたんだけど、話題に上がらないどころかそれらしい本も見つからなかったんだ。だから、その人から離れて塔の中に入ったり柱に関係してそうな人を探したけどなーんにもなかった。柱とかに関係してる情報がすっぽり抜け落ちてる感じ?って言えば良いのかな?そんな感じで全くダメだった。)


(そうか、ありがとう。しばらく休んでてくれ。)


チャヤは俺の影に戻りしばらく休んでもらうようにした。チャヤの報告内容を自分なりに整理してみると、柱や塔についての情報は一切ない。国王たちはそれらの話もしない。情報がすっぽり抜け落ちているように感じる。誰かが意図的に柱と塔の情報を削除したのか、対戦や魔物のせいで失われたのかは定かではないが国にとって重要な情報を外部に漏らさないように徹底している。もしかしたら、国王だけ知っておりそれについて話すことを禁じているからなのかも知れない。俺が考えを纏めているとチャヤが話しかけて来た。


(王様の影になってる時嫌な感じがしたけど何なのか分からなかった。一応の報告。おやすみ!)


(あぁありがとう。おやすみ。)


嫌な感じとなるとチャヤは魔物だから光魔法なのか?それとも情報を得ようと何者かが策略を巡らせているのかも知れない。今すぐにでも国王の嫌な感じというのを確かめに行きたいが、俺たちのような平民が国王に謁見する機会なんて一度あるかどうかだ。前回のうちに確かめておければ良かったが、俺に魔力感知の才能はないためきっと無理だっただろう。そこで俺は妙案を思いついた。俺の猫被りでチャヤと同じ種族になれば良いのだ。そうしたらチャヤに頼まなくても自分で情報収集ができ、誰にもみられたくない秘密を握ることもできる。善は急げと言うし俺はリベルにその旨を伝えて早速行動に移すことにした。


(リベル、俺城に潜入してくる。)


(え!?ど、どう言うこと!?)


宿に戻った俺はみんなを心配させないようにリベルだけに伝えた。でも、かなり端折って言ったためリベルは予想以上に驚いていた。俺はきちんと説明して何とか理解を得た。


(絶対に無茶はしないこと!もしバレそうになってもリフォンの姿になるんじゃなくて、全く別の人になること良い?)


(はーい!行ってきます!)


俺はリベルの警告通りすぐに姿を変えられるようにメイドと執事の二パターンを用意しておいた。城の近くまではいつも通りリフォンの姿で近づいた。行き交う人たちの影に紛れるように進み何とか城の中に潜入することに成功した。城の中は閑散としておりなんだか少し不気味だった。城の中をくまなく探して、こんな所誰も来ないだろうと思うような空き部屋まで探したが、それらしい物は見つからなかった。


今までは人にバレることを恐れて誰もいないような場所しか探していなかったが、人がいる所も探さなくてはと思い話し声の聞こえる部屋にバレないように侵入した。そこは執事の休憩室のような所で執事たちが紅茶を嗜んでいた。何か面白い話はないかと聞いていたが、仕事の話しかしておらず楽しくないので別の部屋に向かった。女性たちの話し声が聞こえて来る部屋を見つけた俺は若干の下心がありつつも自分を律して部屋の中に入った。物陰に隠れて話を聞いていると、どこどこの紅茶が美味しいだとかお菓子を食べすぎて少し太ったなどの話しかしておらずその部屋も後にした。


部屋を出て廊下を通っているとメイドと執事を連れた人がこちらに向かって歩いてきた。この人はメイドたちよりは何か情報を知っているだろうと踏んだ俺はその人の後をつけた。メイドたちの部屋は一階にあったが、その人の部屋は三階にあった。きっと権力を持っている者が上でメイドたちは一番下なのだろうと直感した。その人が部屋に入るのと同時に俺も部屋の中に入った。その人は部屋に入ると手紙を書き始めた。俺は何を書いているのか盗み見ると、どうやら家族に宛てた手紙のようだった。仕事の愚痴や子どもたちに会えないことを嘆いた手紙でこの人も苦労しているのだと少し申し訳ない気持ちになった。


最後に国王の所に向かった。いつも通り最上階の大広間にいるだろうと思い向かった。大広間には国王が鎮座しており俺はバレないように移動した。国王の近くに来るとチャヤが言っていた嫌な感じというのは確かにあったが、どう嫌なのか説明できない変な感じがしていた。国王の影に潜んでいると国王が小さくため息をついた。国王もこの嫌な感じを体感しているのだろう。でも、この嫌な感じは何をしても取り除けないから何もしないのだろうと推測した。自分に何か原因があるわけでもないし、国王という立場である以上そのような発言は臣下たちを心配させると口に出していないのだろう。このようなことをするのはおそらく魔神教団であろう。でも、何も収穫がないから惰性で続けているに違いない。聖女ほどの光魔法の使い手ならどうにかできるのだろうが、俺如きではどうにもできないため今日もう退散することにした。


宿に帰ってからリベルにだけこのことを報告したが、俺たちにできることは何もないため無闇にリスクを冒すようなことはしないようにと注意されてしまった。でも、実際何もできないし何も収穫がないのならやらない方がマシだと思いリベルの言う通りにすることにした。

次回もお楽しみに


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