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転生するなら貴族の飼い猫でしょ  作者: 描空
1年生編

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18話 座学もしっかり

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

「お、おはよう。」


「おっはー。」


 リベルが教室に入るとメアリーがいた。リベルは教室に誰かいると思っておらず少し驚いていた。昨日よりは遅く来たがそれでもみんなよりは早い方だ。なのにメアリーはもう教室にいる。リベルは何か理由があるのではないかと思っているのかメアリーに話しかけた。


「何してるの?」


「光魔法の勉強よ。私は他の魔法の才能が一切無いからその分いっぱい勉強しなくちゃなの。」


「それって光魔法の才能がすごいのと努力が認められたからじゃない?」


「べ、別にそんなに褒めなくても良いわよ。」


「照れずに自分の才能を認めてあげたらどう?」


「あーもう分かったから!私の才能は私が一番分かってる!でも今のままじゃ足りないから勉強してるの放っておいて。」


「ご、ごめん。」


 リベルは良い事を言ったが思春期の女の子にズバズバ言うのは如何な物かと思う。十二歳だからまだ分からないのかもしれないがリベルなりの励ましだったのかもしれない。


「ニャー。」


「な、何よ。」


 俺がメアリーの机の上に乗る。俺は自分の光魔法の為にメアリーが勉強している内容を知りたくて乗ったのだ。俺は最近授業が終わってからの暇な時間にリベルから読み書きを教えてもらっている。子供の頃ならまだしも大人になってから何かを学ぼうとしてもあまり定着しないからかなり苦労している。


「ニャーン。」


「私は構わないからね。」


 今はそれが一番ありがたい。メアリーのノートを覗き込むと面白い内容が書かれていた。光魔法の回復は相手がどんな人間でどんな生活習慣なのかを理解している方が効果が上がるといった物だ。なぜかまでは書いていないが光魔法の回復は自然治癒を強制的に引き上げて傷を治すといった感じなのだろうか。それなら相手の事を良く知る事は理にかなっている。


「おはよー。あ!リフォンがメアリーの所にいる!ずーるーいー!私も!」


「うるさいわね静かにしてくれない?」


 メアリーのそんな声は俺を追いかけるアインには届かない。アインは必死に俺を追いかけるが俺は猫の脚力を活かしていとも簡単に逃げた。十分もするとメアリーの体力が底をついたようで俺はリベルの後ろに隠れた。


「もう無理ー。」


 アインは諦めたようで席に座った。続々とみんながやってきた。


「おはよう。」


「おはよ。」


 ハーリーもやってきた。ハリスはハーリーの後ろから素早く俺の毛の中に逃げてきた。ハリスがハーリーの次に信頼出来るのが俺とリベルなのは少し嬉しい。

 ホームルームの始まりを告げる鐘が鳴った。


「みんなー席につけー。」


 今日のマリー先生はいつもよりだるそうだ。おそらく実験のやり過ぎで寝不足なのだろう。


「はーいみんないるなー?今日の授業は一限アイテム学二限使い魔学だ。今日は二つとも教室だから移動は無し。以上。」


 マリー先生はそれだけ言い終えると足早に教室を後にした。事前指導の時と比べて最近のマリー先生はやる気が無く不健康そうだ。


「リベル、明日って暇?」


「暇だよ。」


「じゃあ一緒に買い物行かない?」


「良いよ。どこに行く?」


 ハーリーとリベルがデートの約束をしている。リベルも満更ではない表情をしている。ハーリーがリベルの奥さんになるのは大賛成だ。


「おはよー。」


 教室に入ってきた先生は初めて見る先生だ。おそらくこの人がアイテム学の先生だろう。


「「「おはようございます。」」」


「良いね。それじゃあもうすぐ授業が始まるから席についてね。」


 授業の始まりを告げる鐘が鳴った。


「よし。まずは自己紹介だね。私の名前はティミー・プローキンスだ。使える魔法は光魔法だけだよろしくね。そこに座ってるソフィーとは親戚になるんだ。みんな仲良くしてあげてね。」


「先生質問しても良いですか?」


「良いよ。君はラーヤさんだね。どうぞ。」


「プローキンス家ってみんなアイテムに関わる仕事をしているんですか?」


 俺が今一番聞きたかった事をラーヤが代弁してくれた。


「全員ってわけではないけどプローキンス家はほとんどの人がアイテム関係の仕事に就いてるね。どうもプローキンス家はアイテムに関わる才能に秀でているらしいからかな。」


「ありがとうございました。」


 ソフィーは嬉しいのか恥ずかしいのかモジモジしている。


「私からも一つ聞いて良いかな?みんなアイテムって使った事ある?ある人は手挙げて。」


 クラスのみんなが手を挙げた。


「そうだよね。みんな使った事あるよね。じゃあアイテムが溶媒に魔法を込めて作られているって知ってる人手挙げて。」


 今回は手を挙げている者はかなり減りリベルとソフィーだけになった。


「リベル君すごいね。知ってるんだ。」


「はい。学園に入学する前に勉強してました。」


「殊勝な心がけだ。みんなも彼を見習うように。」


 リベルは真正面から褒められて顔を赤くしている。


「よし、前置きはここまでにしてみんなアイテム使った事あるのは分かったけどそれをどういうふうに使ってるか教えてもらっても良いかな?」


 ティミー先生は教壇の上に水晶の様な物と宝石を置いた。


「リベル君前に出てきて。」


「は、はい。」


 リベルは少し驚いていたが教壇に向かった。


「それじゃあリベル君何も考えずこのアイテムを使ってくれ。」


「はい。」


 リベルは水晶の様なアイテムに魔力を送り込みアイテムを使った。そのアイテムには水魔法で鳥が表現されている魔法が込められていたようで水魔法の鳥が現れた。


「「「おー!」」」


 みんなが感嘆の声をあげた。アイテムを使ったリベル本人も綺麗なのか見入っていた。


「はいみんな今リベル君が水の鳥を出現させたよね。じゃあもっと効率良く出来る方法を知りたくない?」


 みんなが一斉に頷いた。ティミー先生は嬉しそうにその方法を教えてくれた。


「簡単だよ。アイテムに込められた魔法を自分でもイメージするんだ。そのイメージした魔法をアイテムに流したらより早くより強く美しい物になるんだ。やってみるよ。」


 ティミー先生が水晶に魔力を送り込み数秒したらリベルの時とは違い水の鳥は大きく、羽一本一本が綺麗に輝いている。みんなは驚き過ぎて声も出ていない。俺もこんなに綺麗な魔法は初めて見た。


「リベル君のよりも綺麗だっただろ?こういう感じでアイテムの効率を良くする事ができるんだ。でもこれは自分の魔法適性による部分が大きいから今は出来なくても仕方ないよ。魔法演習っていう授業で魔法適性を伸ばす事ができるから期待しておきな。」


 リーンの授業について行った時にやっていたのがアイテムにも影響を与えるのは正直驚いた。この世界は魔法を基準にしているから魔法適性が乏しい者はそれだけで不利になるのだ。


「みんなもし今自分のアイテムがあるのならそれを使ってさっき言った事を思い出しながらやってごらん。」


 みんな上手くコツを掴めないのか苦戦している。そんな中ソフィーとリベルは難なくこなしている。リベルは魔法の才能が高すぎるのではないかと思いつつある。


 授業の終わりを告げる鐘が鳴った。


「よし今日はここまで次回も楽しみにしててね!」


 ティミー先生は楽しそうに授業をしてくれるから聞いている側としてもありがたい。


(久しぶりに食堂行く?)


(行く。)


 俺はリベルと久しぶりに食堂に向かった。最近はずっと寮でリベルが作った料理を食べていたから久しぶりに食べたくなったのだ。向かってる道中で今日食べるのは何にしようかと考えているとそれを察したのかリベルがテレパシーをしてきた。


(今日何食べる?)


(悩んでるんだよなぁ…ラーメンも良いけど定食も良いんだよなぁ。)


(じゃあどっちも頼めば?使い魔用だから量少ないでしょ?残ったら僕が食べるよ。)


(抱っこ。)


(え!?珍し!)


(お前が優しすぎるから甘えたくなったんだよ。)


 俺は物凄く恥ずかしいけど言ってしまったからには言わないと変になるし正直に言った。


(僕も大好きだよー。)


 リベルは俺を抱き抱え顔を頭に擦り付けてくる。俺はその幸せを今存分に堪能している。


 昼御飯はリベルの言葉に甘えて二つとも頼み残ったのをリベルに食べてもらいお腹いっぱいで一日を過ごした。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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