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転生するなら貴族の飼い猫でしょ 〜飼い猫兼相棒として異世界を旅します〜  作者: 描空
特認実習 後編

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165話 発表本番前日

俺たちが特認実習の発生をする日の前日グロウとマイヤーは学園に戻ってしまう俺たちのことを惜しんだ。


「もう行くのか…でもこれだけは約束してくれ。何か大きなことをする時や夏に帰って来れない時は手紙を書いてくれ。後、好奇心より自制心を身につけること。良いな?」


「「はい!」」


グロウは約束を覚えておくために手紙を一束手渡してくれた。これなら約束を忘れることもないだろうし、何かある度に手紙を書けるほどの量なため安心だ。


「きちんと一日三食食べること、無茶はしないこと、危険だと思ったら逃げること。これを徹底しなさい。貴方たちは冒険者である前に学生です。勉学に励みなさい。世界中を自由に飛び回るのは卒業した後にしなさい。分かった?」


「「はい!」」


マイヤーは俺たちの頬にキスをした。そのキスは慈愛に満ちておりマイヤーがどれだけ俺たちを愛しているのか理解できた。そしてグロウがジュナたちに言った。


「まだまだ至らないところもあるだろうが、よろしく頼む。帰ってきたくなれば、いつでも帰ってきなさい。私たちは君たちのことを家族だと思っている。だからどうか、無事に帰ってきてくれ。」


「「「「はい!」」」」


俺たちは短かった帰省を終え学園に向かった。学園に向かっている最中ふと思い言った。


「そう言えば、学園長宛ての手紙にジュナたちのこと一切書いてないけど、どうしよ…」


「あっ…」


リベルのマジでやらかしたことを告白するようなあっという声の後ジュナが言った。


「え…だ、大丈夫じゃないですか…?」


ジュナは不安そうだったが、何とか平静を装っていた。でもジュナ以上に不安そうにしていたのはユディとルリだった。二人の見た目は完璧に魔族であり、王都に魔族はいないため不安なのだろう。ルナは完璧に人間を演じているため安心だが、ユディとルリはどうしようか悩んだ。学園長室に行くことは造作もないが、その後の学園生活でどうなるのか分からない。学園長宛ての手紙に書いてないことに気がつくべきだったと自分を責めた。そんなことを考えているといつの間にか王都についていた。俺はとりあえず学園長室に向かった。


俺はみんなを連れて学園長室のベランダに降り立った。学園長は椅子に座って何かを書いていた。学園長だから職務を全うしているのだろうと思い窓を三回ノックした。学園長は驚いてこちらを振り向いた。リベルのことを確認した学園長は俺たちだと認識したのか窓を開けた。


「いつも通り下から来ると思っておったから驚いたわ。それよりそちらの方々は?」


学園長の問いに俺が答えた。


「俺たちの仲間なんですけど、手紙に書くのを忘れてて…」


俺が申し訳なさそうに言うと学園長が長い髭を触りながら答えた。


「そうか。彼らと学園生活を送りたいというわけじゃな?」


「はい。」


俺が学園長のことを真っ直ぐ見つめて言うと、学園長は俺の思いを受け取ったのか言った。


「分かった、何とかしよう。リフォン君は来年度から編入生としてリベル君と同じクラスに所属することになっておる。」


「そうですか。それより四人はどうするつもりか聞いても良いですか?」


「問題は鬼人とアプサラスの二人じゃな。アプサラスは…うーんどうするべきか…」


学園長が悩んでいる。今まで驚くことはあっても悩むことはなかった学園長が悩んでいることに驚いた。魔族だとそれほど都合が悪いのかも知れないと思うと俺は二人に悪いことをしたなと思った。すると学園長が言った。


「鬼人は公爵家であるリベル君の護衛として雇っていることにして、アプサラスは…契約したということにしてはどうじゃ?」


ユディを護衛として雇っている者という体で一緒に学園生活を送ることは賛成だ。でもルリとは契約しているため学園長の考えを否定した。


「ルリ…アプサラスとは契約しているので特に何もしなくて良いですかね?」


「え…あ、契約しておるのか…?」


「はい。」


俺は何かマズイことをしてしまったのかと不安に思ったが、その不安はすぐに消え去った。


「なーんじゃそれなら何の問題もない。そもそも学園は契約した者は問答無用で所属できるからの。」


俺はその言葉にホッとした。後はジュナとルナだ。ジュナは人間だけど、ルナは悪魔だから学園に編入するのは控えた方が良いだろうなと思った。すると学園長が続けた。


「そっちの二人は編入試験を受ければ学園に入学できるが、どうするんじゃ?」


「「受けます!」」


俺はそりゃそうだよねーと額に手をついて呆れた。


「そうかそれじゃあ、リベル君とリフォン君の特認実習の成果発表が終わった午後に試験を行おう。特別にワシが試験官じゃ。」


「「おー。」」


二人は何とも言えない表情をしていた。二人はいまいち学園長の凄さを理解していないから仕方ないことなのだろうが、もう少し良い反応をして欲しかった。


「それより六人も入れる部屋なんてあったかのぉ?もしくは二人部屋を三つでも良いか?」


「それは任せます。」


「それじゃあ確認してくるからサラーマと遊んでおいてくれ。」


「はーい。」


そう言うと学園長は部屋から出て行った。俺は少し離れた場所にルナを手招きして呼んだ。


「学生として振る舞えるのか?闇魔法以外も使えるのなら大丈夫だと思うが…」


「我は火と水魔法ならリフォン様と遜色ないレベルで使えますのでご安心を。」


「それなら良いけど…」


話している俺の足元に尻尾をブンブンと振ったサラーマがやってきた。サラーマは口にテニスボールのような物を咥えていた。俺は遊んで欲しいのだと思い適当にボールを投げた。しばらく遊んでいるとサラーマは飽きたのかソファに座っているリベルのところに行った。俺とルナも学園長が戻ってくるまでソファでゆっくりすることにした。

次回もお楽しみに


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