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転生するなら貴族の飼い猫でしょ 〜飼い猫兼相棒として異世界を旅します〜  作者: 描空
特認実習 後編

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163話 のびのびと

俺たちは屋敷でゴロゴロしていた。ゴロゴロしている俺を見るとグロウとマイヤーは俺の顔を指で突っついたり体を触ったりしてくる。猫の姿ではなく人間の姿だからまだ慣れないのだろう。それに俺が人間の姿になれるのは魔法だと偽っているが、二人のことだからその魔法がどんなものなのか知りたいのだろう。見えざる手も魔法だと説明したが、見えざる手は猫被りほど分かりやすいものではないから余計気になるのだろう。にしても屋敷の中で俺と会うたびにそんなことをやってくるものだから面倒くさくて仕方ない。でも悪気を持ってやっているわけではなく、ただ単に魔法使いとして当たり前の探究心や興味を持ってやっているのだろう。できることならやめていただきたいが、しばらくは続くことを覚悟した。


その日の晩、俺たちが帰ってきたことを祝す身内だけのパーティーが開かれた。身内だけと言ってもこの屋敷に仕える者たちだけだ。パーティーの間、俺とリベルはメイドと執事を変わる変わる相手にした。リベルに対して、一年半で成長したことを歓喜する者もいれば、立派な大人だと涙を流す者まで様々だった。かく言う俺は、猫の姿と人間の姿を何度も行き来した。俺のその様にみんな唖然としていた。中には俺とリベルが瓜二つなことに驚き俺とリベルのことを何度も確認したりする者もいた。パーティーが落ち着いてきたあたりで俺はグロウに話しかけた。


「グロウ、ジュナたちを紹介したいんだが、良いか?」


「もちろんだ。彼らはもうペタフォーン家同然だ。たが、ルナの種族は誤魔化しておいた方が良いかもな…メイドたちが怖がってしまうかも知れん。」


「分かった。」


俺は息を大きく吸い込みこの場にいる者全員が聞こえるように声を張り上げて言った。


「みんな聞いてくれ。俺とリベルはこの一年でかけがえのない仲間と出会った。そんな仲間をみんなにも紹介させてくれ。」


俺はジュナたちを手招きして呼んだ。四人は堂々とはしていないが、そこはかとなく自信を持っているように歩いてきた。


「まずはジュナだ。ジュナとはビリヤー山脈麓の村で出会った。見ての通りまだ幼いが、実力は折り紙つきだ。なんて言ったって俺とリベルが一から育て上げたんだからな。次はユディだ。出会いは身も凍るほど寒いバルフィー山だ。ユディは見ての通り鬼人でとても頼りになる前衛だ。剣術はガインにも並ぶとも劣らず素晴らしいものを持っている。次はルリだ。出会いダンジョンの中だ。ルリは水の精霊アプサラスだ。ルリは俺たちに優しくしてくれた唯一のアプサラスだった。他のアプサラスは全然優しくしてくれなくてちょっと悲しくなるぐらいだったよ。最後はルナだ。出会いはルリと同様ダンジョンの中だ。ルナはこう見えても俺のことが大好きで膝枕とかマッサージとか…」


俺がルナのエピソードを語ろうとすると顔を真っ赤にしたルナが俺の口を押さえて首を横に振った。実際にやるのは良いけど、それを誰かに話されたりするのは嫌なのか全力で止めてきた。それを見てメイドたちは可愛いと声を漏らしながら小さく笑った。ともかくルナの種族を誤魔化すことには成功したため良しとした。それから四人はメイドや執事たちと仲良く会話しておりホッとした。その晩のパーティーはグロウの手によって良い雰囲気のまま締めくくられた。


翌日の朝、俺はリベルに手紙の書き方を教わりながら学園長宛の手紙を書いた。俺が書いている理由は、俺が人間の姿になれることを間接的に証明できると感じたからだ。内容としては俺の今後の学生生活の相談を書いた。数十分で手紙を書き終え王都に用のある執事に手紙を届けてもらうことにした。俺たちは特に用事もやることもないからその日もゴロゴロして過ごした。俺からしたら最高な時間だったが、リベルとジュナは体を動かす方が好きなため剣術指南室で打ち合いをしていた。ジュナはユディに一日でも早く剣術を教えてもらいたいのか自主的にトレーニングもしていた。逆に俺は自堕落な生活が好きだから毎日最低限のトレーニングしかしなかった。


その日の午後、暇してる俺を見つけたマイヤーがニコニコしながら俺のことを手招きしてきた。俺は何だと思いながらマイヤーについて行くといつの間にか花園に出ていた。そこにはコスモスが咲き乱れていた。白、赤、ピンクなどとても綺麗に色付いており感動ものだった。マイヤーがニコニコしていた理由が分かった気がする。するとマイヤーが言った。


「綺麗でしょ?私のお気に入りの場所なの。できるだけ自分でお手入れしてるんだけど、どうしてもできない日はメイドたちに任せてるの。その様子なら気に入ってくれたみたいね。」


マイヤーの話を聞いていた時後ろから足音が聞こえて振り返るとそこにはリベルがいた。


「へへ、バレちゃった。」


そう微笑みながら言うとリベルはマイヤーの隣に座り込みコスモスを愛でた。マイヤーはそんなリベルを可愛く思ったのか頭を撫でた。するとリベルはさらに笑顔になった。マイヤーもつられて笑顔になり俺も笑顔になった。

次回もお楽しみに


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