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16話 クラスメイト

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

 俺たちは学園長室に行っていたから どこに自分たちの教室があるのか分からなくあちこち歩いていた。

(どこに行けばいいんだろね。)

(教室数多いのに各教室に魔法競技室とか名前書いてる看板みたいなの無いから余計に分からないな。)

(ねぇ。)

 俺たちはどこかに向かってるわけでも無くただただのんびり歩いていると初めてみる先生と出会った。

「あれ?君たち新入生挨拶してたリベル君とリフォン君だよね?こんなところで何してるの?」

「僕たち学園長に呼ばれて学園長室に行ってたんですけど、教室がどこにあるのか聞いてなくて…」

「そうかそうか分かった案内するよ着いてきて。」

「ありがとうございます。」

 少し歩き始めるとその先生が話し出した。

「自己紹介をしていなかったね。私はリタ・ヘレスティーン。使い魔学の教師だよ。いつか君たちを教える事になるかもしれないから覚えててくれるとありがたいな。」

「よろしくお願いします。リタ先生。」

「ニャ。」

「こちらこそよろしく。今私たちがいるのが西棟で君たち一年生から三年生は東棟なんだ。」

「そもそもが違ったんですね。」

「そうだね。教えてくれない学園長も悪いとは思うけどね。」

 そのまま他愛も無い話を続けていたら東棟一階の教室の前に着いた。

「ここだよ。ちなみに担任はマリー先生だよ。良かったね。」

 リタ先生が教室の扉を開いてマリー先生に会釈してから僕たちに教室に入る事を促す。リベルは緊張しているのか一歩が踏み出せないでいた。そんなリベルを見かねて俺が教室に入った。その瞬間教室の女子はかわいいと黄色い声援をなげ、男子は俺の大きさに驚いていた。教室の雰囲気は和みリベルもその雰囲気を感じて入ってきた。そのままマリー先生に席に座るように促されハーリーの隣に座った。席に移動する最中リベルに向けられる女子の視線がすごかった。

「どこ行ってたの?」

 ハーリーは当然の疑問を投げかけた。

「学園長室に。」

「え?!学園長と直接話したの?!」

 ハーリーは驚きすぎて大きな声を上げ周りから視線を向けられる。ハーリーは自分の過ちに気づいたようで顔を真っ赤にして俯く。その反応を見て周りはクスクスと笑う。何気ない日常特別な事はない普通の日がこれほど幸せだと感じれるのは今自分が幸せだからだ。

「よーし皆んな揃ったから自己紹介していこうか。リベルから。」

「は、はい。リベル・ペタフォーンです。そしてこっちは使い魔のリフォンです。よろしくお願いします。」

「うーんなんかあっさりしてるな。もうちょっとないか?」

「え?うーん…じゃあ使える魔法は火と雷です。お母様からはまだまだ伸び代があるから学園で最大限伸ばしてきなさいと言われたので、学園では自分の才能を伸ばす為に尽力したいです。」

「よし良いだろう。テンプレートが出来たな。名前を言って使い魔がいる奴は使い魔も紹介して使える魔法を言って学園での抱負を言う。これでやっていこう。次は隣のハーリー。」

「はい。ハーリー・スイートです。この子はハリスです人見知りなのであまり話せないと思うけど悪意はないので許してあげてください。使える魔法は火と光です。抱負は光魔法を先生方レベルまで使えるようになる事です。」

「よし次。」

「ナサリー・テラフォーンですわ。私が使える魔法は水と風ですわ。抱負は誰にも負けない魔法使いになる事ですわ!」

 ナサリーはお得意のお嬢様節を発揮させている。

「よし次。」

「ヤハス・ノータリーです。使える魔法は火と水です。抱負はもう一種類魔法を使えるようになる事です。」

「次。」

「アイン・カイスフィーです。使い魔の名前はアフィーです。使える魔法は風と氷です。抱負はアフィーと一緒に使い魔競技大会で優勝する事です。」

 アフィーは顔の大きさぐらいのフクロウだ。この世界で鳥の使い魔は初めて見て少し興奮している。それよりも気になる内容があったのでリベルに聞いた。

(使い魔競技大会って何?)

(使い魔と一緒に魔法を使ってその美しさと威力を競う大会だよ。)

(楽しそうだな。俺たちも出ようぜ。)

(圧勝しちゃうね。)

 リベルは俺を撫でながら微笑んだ。

「次。」

「ハンス・ギガフォーンです。使える魔法は火と雷です。抱負は先生方に一目置かれる存在になる事です。」

「次ー。」

 マリー先生は飽きてきたようだ。教師として生徒に興味を持って無いのはどうかと思う。

「ワーナー・メガフォーンです。使い魔はナーガです。使える魔法は水と風です。抱負はナーガの才能をもっと引き伸ばす事です。」

 ナーガはワーナーの首に巻きついている蛇だ。そのまま締め殺されないか少し心配だ。インド神話でナーガは水を扱う事から水魔法に長けているだろう。

「つーぎー。」

「メアリー・シンファイです。使える魔法は光です。抱負は光魔法を極めて国王魔法師団に入団する事です。」

(国王魔法師団って何だ?)

(その名の通り王国所属の魔法使いだよ。王都を守ったりしているらしいけどあんまり情報が無いんだよね。)

(公爵家でも分からないのか?)

(お父様は当然知っているだろうけど僕たちは知らないね。)

 国王魔法師団はその実情を公にしない特殊部隊の様なものだろう。

「つぎ。」

 マリー先生はもう暇すぎて天井を見ている。

「カナタ・リリータスです。使える魔法は火、風、雷です。抱負は使える魔法の威力を上げる事です。」

「つんぎ。」

 マリー先生は暇すぎて遊んでいるようだ。

「ラーヤ・マイスクルです。使える魔法は氷です。抱負は最低もう一種類魔法を使えるようになる事です。」

「つぎん。」

 もうそろそろマリー先生が本当に教師なのか疑わしくなってきた。

「ターガー・キロフォーンです。使える魔法は水と氷です。抱負は魔法の事を学び王都魔法研究会に入る事です。」

(王都魔法研究会もその名の通り?)

(そうだよ。でも良くない噂を聞くね。)

 非人道的な実験を行なっているとかだと流石におっかないが王都で活動しているのだからそんな事はないと思う事にした。

「最後!」

 マリー先生はやっと終わると嬉しそうにした。

「ソフィー・プローキンスです。使い魔は火と氷です。抱負はアイテム製造士になる事です。」

(アイテミーさんの娘さんかな?)

(だからアイテム製造士を目指してるのかな?)

 アイテミーさんも娘が家業を継いでくれるのは嬉しいだろう。

「よし!今日は授業も無いから自由だ!存分にクラスメイトと話し合い仲を深めると良い!」

 マリー先生は教室から出ながら言った。それほど実験をしたいのかどうかは定かでは無い。

「なぁなぁ!リベル!リフォン撫でさせてくれないか?」

 首にナーガを巻いているワーナーが話しかけてきた。

「リフォンが良いなら良いよ。」

「ニャ。」

「これって良いって事だよな?」

「うん。」

 リベルがそう応えるとワーナーは俺に顔を埋め存分に猫吸いを堪能している。他人の息が当たるのはあまり良い気分はしないがそれほど動物好きなのだから我慢して良い気分にさせてあげた。

「あ!ずるい私も!」

 アインがワーナーの猫吸いを見て羨ましそうにしている。

「リフォンに許可をもらったらして良いんだって。」

「本当?!リフォン君私も良いかな?」

「ニャー。」

 俺はため息をつきながら応えた。アインはそれを良いと捉えワーナーと変わり俺を猫吸いする。ワーナーが一度に大きく吸うのとは違ってアインは細かく吸うタイプのようだ。俺は流石に不愉快になったのでリベルの後ろに逃げた。

「ご、ごめん嫌だった?」

 アインが申し訳なさそうな顔をしていたのでリベルにテレパシーをして伝えてもらう事にした。

(嫌では無いけどもう終わりだ。)

「嫌では無いけどもうお終いだって。」

「しょうがないよね。ごめんねわがまま言っちゃって。」

「ニャー!」

「そんな顔もかわいい。」

 アインは俺の気持ちなんて露知らず俺をかわいがっている。ワーナーとアインの標的は俺からハリスに向いた。

「ねぇねぇ、ハリスちゃん。ちょっとだけで良いからお顔を見せて欲しいな。」

「俺も見てみたいな。」

「ひいー。」

 ハリスはハーリーの後ろで怯えている。普通はそうだ。初めて会った人に俺ほど寛容な使い魔は俺ぐらいか人間大好きな奴ぐらいだろう。

「ごめんね二人ともハリスはまだまだ慣れなさそう。」

「ごめんねハリスちゃん。慣れたらお顔見せてくれるととっても嬉しいな。」

「今度は遠くから見るからその時に顔見せて欲しいな。」

 二人は懲りていないようだ。

「ハーリーあなたはどれぐらい光魔法使えるの?」

 ラーヤがハーリーに質問する。

「私は回復と施錠と浄化がちょっとだけ。」

「それだけ使えるならかなり才能があると思うわ。私も同じような感じだから良いライバルになれると良いわね。」

「ま、負けないよ!」

 ハーリーとラーヤは良いライバルになるだろう。そんな感じでみんなと交流を深め初日が終わった。今日から宿舎ではなく寮に移る事になった。寮の部屋は一人部屋か二人部屋かを選べるようでリベルはリーンと二人部屋が良いと言っていたようだが、リーンはそれならクラスメイトとしなよと言って断った。その意見には俺も賛成だ。兄弟で二人部屋は家と変わらず寮の意味が無い。しかも三年も先輩だからやってる内容も違うだろうから友達と教え合うといったことが出来ないからだ。リーンと俺の意見を聞いてリベルは一人部屋を選んだ。リーンと俺から二人部屋にしないのかとツッコまれたが気にしていないようだ。

「リーン兄さんと同じ部屋が良かったなー。」

 風呂も入り終えベッドでゴロゴロしているリベルが呟く。

(何でそんなにリーンと一緒が良いんだ?)

(だってリーン兄さんと同じ部屋なら勉強も教えてもらえるしやった内容だからテストも予測できるだろうから…)

 何とも学生らしい理由に俺は何も言えなかった。そのまま俺たちは寮のフカフカのベッドでスヤスヤと眠った。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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