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転生するなら貴族の飼い猫でしょ 〜飼い猫兼相棒として異世界を旅します〜  作者: 描空
ダンジョン編

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157話 財宝

シュルリーダを看取った俺はみんなの元に戻った。みんな疲労困憊でぐったりしていた。一方俺は疲れよりも達成感とシュルリーダに対する同情心が勝っていた。長かったダンジョン攻略もついに終わったのかと思うとダンジョンに縛られない開放感があったが、同時にこれで終わってしまったのだと寂しくもなった。でも、こう思えるのはルリとルナやリヴとクルネとの出会いや黄金の王様など、危険なダンジョンとは違う出会いが多かったからだろう。もし、普通のダンジョンのように魔物しか出ず、苦労したダンジョン攻略なら寂しくは思わなかっただろう。そう考えると俺の運の良さが垣間見えた気がする。


「ふわぁ〜…」


さっきまで感じていなかった疲労が一気に押し寄せた。そのせいで大きなあくびが出てしまった。俺があくびをした瞬間ルナの長い耳がピクッと動いた。そしてルナはすぐさま俺の元に駆け寄り言った。


「我がマッサージ致します。リフォン様はどうか疲れを癒してください。」


ルナが指を器用にウニョウニョ動かしながら言ってきた。流石にその指の動きは少し気持ち悪かった。だから俺はみんなで寝る事を提案した。


「みんなで寝よ。」


俺がそう言うとルナは指の動きを止めた。そして俺が風魔法でベッドを出すと一番先に寝転がった。そしてルナが腕を横に突き出しながら言った。


「どうぞ!」


ルナは俺に腕枕をしたいらしかった。でも俺はルナの要望には応えなかった。腕枕をしせてもルナの腕が辛いだけだからだ。俺はルナの腕より少し下に寝転び体をくっつかせた。これならルナの腕が痺れたりせずにルナの要望に応えられるのではないかと思ったのだ。すると俺の考えはルナにも伝わったのか、ルナは俺を優しく抱きしめた。それを見ていたリベルが言った。


「ずるい!僕も!」


それを見たジュナも言った。


「俺だって!」


いつの間にか俺は三人に取り囲まれた。動こうにも三人が邪魔で動けないし、三人分の体温を感じている俺は暑くて仕方なかった。そして俺が出した結論は、俺が寝ている所だけ冷たい空気を送り込む事だった。一種の扇風機のように機能した風魔法が俺の体温を下げてくれた。これで大丈夫だと感じた俺は大人しく寝ることにした。ユディとルリは両サイドで寝ており快適そうで羨ましかった。でも、三人にこれだけ想ってもらえているという事実に嬉しくもなった。幸い三人はすでに眠っており俺はニヤケ顔を隠さなくて済んだ。


目が覚めると三人はまだ寝ておりユディが朝食の準備をしていた。俺は風魔法を変形させて三人の包囲網から抜け出した。


「おはよ。」


「おはよう。まだ時間がかかるから寝てても良いぞ。」


ユディはいつも通り優しくお母さんのようだった。俺はお言葉に甘えようとしたが、みんなをあっと驚かせる朝食を作りたいなと思い行動に移した。それは何かというとお菓子作りだ。ダンジョン攻略の間甘味は一切取っていなかったから喜んでくれるだろうと思ったのだ。と言っても俺が知ってるお菓子はクッキーぐらいしかない。材料はあるか確認すると幸いなことに全部揃っていたため早速作ることにした。俺が鼻歌を歌いながら使っているとユディが言った。


「手伝おうか?」


「大丈夫。これはみんなを労う意味でのクッキーだから。手伝わせちゃ意味ないでしょ?」


俺はユディの気遣いをやんわり断った。するとユディは優しく笑い言った。


「リフォンは本当に優しいな。」


ユディは俺の頭をポンポンとして朝食の盛り付けを始めた。俺のクッキー作りも佳境に入っておりベストタイミングだった。ユディが全員分を盛り付けると俺のクッキーも焼き上がった。強すぎず弱すぎない絶妙な火力調整にかなり神経を使った。でもそのおかげでとても良い匂いがしている。


「起きろー。朝ご飯できてるぞー。」


みんなが体を起こすとまだ眠そうに目を擦った。俺がみんなの顔を水魔法で洗ってあげ、火と風の融合魔法で乾かすとさっぱりしていた。そしてルリが真っ先に気がついた。


「何か良い匂い!」


するとリベルたちもクンクンと匂いを嗅いだ。するとリベルが目を大きく開け言った。


「クッキーだ!」


俺はその言葉に皿いっぱいのクッキーを見せた。


「やったー!」

「クッキー!?」

「美味しそー!」


三人とも良いリアクションをしてくれて俺は大満足だった。


「それじゃあ早速。」


そう言ってリベルがクッキーに手を伸ばした。でも俺はその手を止めて言った。


「まずは朝ご飯から。」


そう言うと三人は爆速で朝ご飯を食べ終えた。そのスピードに傍観していたルナも驚いていた。


「ちゃんと噛んだか?」


三人にそう聞くと力強く首を縦に振った。俺はまぁ良いかと三人にクッキーを差し出した。三人はとても美味しそうに食べていた。半分は残しておいたので俺、ユディ、ルナの分は気にしないで良いよと言うと、三人は嬉しそうな顔でクッキーを頬張った。俺たちはゆっくり朝食を食べてからクッキーを食べた。


ゆっくり疲れを癒せた俺たちはこの階層を探索した。するとシュルリーダが座っていたであろう椅子の横にレバーのような物があった。俺は恐る恐るそのレバーを引いてみた。すると椅子の後ろにあった壁が動き始めた。みんなが驚いていた中俺はこの先に何があるのかワクワクが止まらなかった。でもそこは真っ暗で何があるのか見えなかった。俺が火魔法でそこを照らすとその中には金銀財宝があった。


「うおおお!」


俺が歓喜の声を上げた瞬間みんなも気がついたようで同様に声を上げた。俺は中に入りファンタジーリュックに財宝を詰め込んだ。中には杖や魔法石、アーティファクトのような物まであり、過去最高潮に興奮した。各々自分に使えそうな物を持ったり身につけたりした。俺は指輪と首飾りをした。リベルは剣を新調し、マントを羽織った。ジュナは杖を持ちイヤリングをした。ユディは刀をもう一本帯刀し指輪をした。ルリは首飾りと指輪とイヤリングをした。ルナは腕輪をした。そしてアーティファクトのような物はどう使うのか、どのような効果なのか分からないため刺激しないようにファンタジーリュックに入れた。


財宝があったそこは何にもない殺風景なただの一室となった。俺たちは改めてファンタジーリュックの内容量の多さに驚いた。そして俺たちはその一室の奥にあった扉を開けた。するとそこはダンジョンの屋上と繋がっており雲より高かった。ひとしきりその光景を堪能した俺たちは魔族の国(ラクシャスディシュ)に戻った。

次回もお楽しみに


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