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転生するなら貴族の飼い猫でしょ  作者: 描空
ダンジョン編
150/152

150話 ヒント

子どもたちに魔法を教えている間リベルたちは各々情報収集をしてくれていたらしく、ケット・シーとクー・シーたちには古い言い伝えがあったそうだ。でもその言い伝えは村長ですら知らないそうなのだ。どういう理由があって後世にその言い伝えを教えなかったのかは分からないが、村長は身内からそんな話聞いたこともなかったそうだ。それならどうしてリベルたちが聞き出せたのかと言うと、古い書物にメモ書きのように書かれていたのを見つけた人がいたらしくその人から聞いたのだ。しかも、その古い書物というのは二十三本目のお婆さんの家で読んだ本に書かれていたとのことだった。俺たちは早速お婆さんの家に向かった。


「お婆さんいますか?」


「少し待っててね。」


俺がドアをノックして聞くと中からお婆さんの声が聞こえた。言われた通り待っているとドアが開いた。


「どうしたの?リフォームなら完璧だけど。」


「今日は本を読ませてもらいたくてここに来たんです。ここには古い書物が置いてあると聞いてどんな内容なのか知りたくて。」


「若いのに偉いわね。こっちよ。」


俺とリベルは案内されるがままに家の中に入るとそこには、天井まで届く本棚に本がビッシリと詰まっていた。ゆうに千は超える冊数に俺とリベルは驚いた。まさかこんなに多くの本を所蔵しているとは思っていなかったのだ。


「読みたい本はあるかしら?」


「えっと、ここの村について書かれた本はありますか?」


「僕は魔法について書かれた本を。」


俺とリベルは咄嗟に答えた。するとお婆さんは本棚の横に置いてあった先端が鉤爪のようになった長い棒で本を取り出した。


「これがこの村の歴史書で、こっちが魔導者。他にはある?」


「持ち帰って読んでも良いですか?」


俺たちが受け取った本の分厚さは三センチほどあり、到底一晩では読めない量だったため持ち帰ることを提案した。


「ええもちろんよ。読み終わったらまたいらっしゃい。」


俺とリベルは本を持って村長の家に戻った。中ではルナが暇そうにゴロゴロしていた。俺とリベルもゴロゴロしたくなり机の上に本を置いてベッドに寝そべった。するとルナが俺とリベルが借りてきた本に興味を持ったのか黙々と読み始めた。ルナの読むスピードはかなり早く少し目を離したら十ページ進んでいるレベルだった。内容を頭に入れるだけでもかなりの分量が書かれた本だったため、俺とリベルはゴロゴロし始めたというのに、ルナはそんなこと気にもせずただ黙って読んでいる。俺はルナの集中力に心の中で賛辞を送った。


「リフォン様こちらを。」


先ほどで集中していたルナが急に俺のことを呼び本を差し出した。俺は何が書いてあるのかと読んでみるとそこには、俺たちが求めていたことが書かれていた。


「村の守り神である御神木がある。その御神木は天にも届く高さを有している。御神木に認められた者は天に昇って行けるだろう。この天に昇るって次の階層じゃない!?」


「おそらくそうかと。」


「良くやってくれた!」


俺はルナを抱きしめながら言った。


「あ、ありがたき幸せ…」


ルナはとても嬉しそうだが、顔を真っ赤にさせていた。俺はそんなルナを放っておいてその本を持ってお婆さんの元を訪れた。


「お婆さん!本のことで聞きたいことがあるんです!」


「ど、どうしたのそんなに慌てて。」


お婆さんは戸惑いながらドアを開けた。俺はお婆さんにさっきの文言が書かれた所を指差しながら言った。


「この御神木のことです。もっと詳しく教えてください!」


「ちょ、ちょっと待ってくれないかしら。用意してくるから。」


そう言うとお婆さんはドアを閉めて何かの用意を始めた。俺はしばらくお婆さんを待った。するとお婆さんが本を抱えてドアを開けた。


「この本に全部書いてあるから読みなさい。貴方たちなら御神木にも認められるはずです。私が認めた人たちですから。」


「…?わ、分かりました。」


俺は最初何を言っているのか分からず、少し黙ってしまった。でもこの本を読めば分かるはずなのでとりあえず返事をしておいた。俺は本を抱えて村長の家に戻るとリベルとルナが本に齧り付いていた。俺はそんな二人に持ってきた本を渡した。


「これに全部書いてあるらしい。それとお婆さんが何か意味深な発言してきたけどよく分からなかった。」


二人は俺の説明を聞いてすぐに本を読み始めた。本のことは二人に任せて俺は子どもたちに魔法を教えに向かった。今日はイメージの練習をさせようと考えていると子どもたちの楽しそうに話す声が聞こえてきた。


「みんなー今日は魔法のイメージをやっていくよ!」


「「「はーい!」」」


「それじゃあ自分の使える魔法で簡単な形を作ってみよう。例えばこんな風に丸にしたり、四角くしたり自由にやってみて!」


そんな風にして今日も魔法を教えていた。しばらくしてみんな各々好きな形にイメージすることができた。そして、次のステップに移ることにした。


「それじゃあ次は、イメージの方向性を変えてみようか。今は形をイメージしてたけど、次のは動きをイメージしてみよう。前に飛ばしたり、上に打ち上げたり好きにしてみて。」


俺はどんな結果になるのかワクワクしながら待った。すると、大体の子どもたちはある程度の動きはできるが、速く射出したり遠くまで飛ばすことはできていなかった。これが普通なのだと理解した。


「次はもっと緻密にイメージしてみよう!」


俺がそう言うとみんないつもより長い時間をイメージに使った。これならさっきよりも良くなると確信した俺の期待通り、みんなの魔法はさっきより速く遠く射出できるようになっていた。


「みんな凄いよ!この調子でドンドンやっちゃおう!」


「「「イェーイ!」」」


みんなのテンションを上げて魔法を好きなものとして定着させることができたと思った。さらに、テンションの昂りが魔法に関与していることを気づいてくれたらなとも思った。でも俺の淡い期待はすぐに裏切られた。みんな楽しそうに魔法を使っているだけで、誰も違和感すら抱かなかった。いつか気づいてくれることを祈って今日の魔法教室は終わりを告げた。


「どうだ?」


ルナとリベルに話しかけるとルナがこちらを振り向き言った。


「それが、遠回しな文で肝心なところが分からないんです。御神木の位置もここにあると明言せず、濁しているので大体の位置しか分かりません。認められる方法も同じ感じです。まだ半分も読めていないので後半に書かれているのかも知れません。」


「そうか。ちなみに現状では分かってることは?」


俺がルナに聞くとルナは紙とペンを持ってきて書き記した。


「これがおおよその位置関係です。でも本当におおよそですのでふーん程度に留めておいてください。」


その紙の一番下には村が丸で記されて、村から北上した所に御神木と丸で記されていた。でもこれは遠回しな文をルナなりに解釈して記した場所だから確定ではない。俺は認められる方法は分かっていないのか知りたくなり聞いた。


「認められる方法っていうのは?」


「それはまだです。おそらく後半に書かれているかと。」


「そうか…」


俺は何もできることがないので村長の料理を手伝うことにした。情報収集をしてくれていたジュナたちが帰ってきてみんなで夕食を食べた。リベルとルナはその間も本を読んでおりいち早く内容を理解しようとしてくれているのが伝わってきた。夜寝る前になっても二人は本を読んでいたので本を二人から取り上げて言った。


「今日はここまで。まだ時間はあるんだからそんなに焦る必要はない。」


二人は少し悲しそうな顔をしていた。そんなに早く内容を知りたいのかと少し呆れてしまったが、早くダンジョン攻略に戻りたいだけかも知れないと感じた。俺は二人が寝るまで起きておき寝る間も惜しんで本を読ませないようにした。

次回もお楽しみに


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