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転生するなら貴族の飼い猫でしょ  作者: 描空
ダンジョン編
149/151

149話 魔法教室

俺たちがお婆さんの家をリフォームしたことから、村の人たちから様々な手伝いをお願いされるようになった。伐採の手伝いであったり夕食に使う食材のおつかいや子どもの遊び相手、子どもに勉強や魔法を教えたりなどだ。クー・シーの子どもは大人のクー・シーよりも活動的で俺たちがへとへとになってもまだ遊び足りないとごねるほどだった。そんな日常を送ってしばらく経ったある日ギャルたちが俺たちの元を訪れた。


「やっほー冒険者さんたちー。ずいぶん仲良くなってるぽいじゃん。」


「おかげさまで。」


「マジ感謝してよねー。」


ひとしきりそんな会話をしているとクー・シーのギャルが言った。


「アタシね、冒険者さんたちにお手伝いしてもらいたいことがあるんだけど良いかな?」


真剣な面持ちで言ってきたので何か深刻な問題があるのではないかと思った。でも俺たちはこのギャルたちに助けられた側なのだから、今度は俺たちが助ける側だと思い話を聞くことにした。


「もちろんだ。いつでも頼ってくれ。」


俺がそう言うとクー・シーのギャルは嬉しそうに笑い言った。


「アタシに魔法を教えて欲しいの!」


俺はそんなことかと胸を撫で下ろした。


「もちろん教えてあげるよ。何なら村の子どもたちも集めてみんなに教えようか。良いですよね?村長。」


「もちろんです。それでは今から呼びかけましょうか。」


俺が村長に聞くと村長は好ましい反応を見せてくれた。俺はどうやって呼びかけるのか疑問に思い村長に言った。


「俺が飛んでみなさんに直接伝えましょうか?」


「この村では家と家の間にロープが張られていてそれを介して手紙を送ったり、食べ物を分けたりしているんです。それを使いますのでお気になさらず。」


それを使えば糸電話にもなるんじゃないかと思ったが、ここには紙コップやそれに代わる安価で大量に作られている物がないため話すのはやめておいた。もしかしたら木のコップが使えるかも知れないと感じたが、別に今じゃなくても良いと思い教える魔法の方に意識を割くことにした。俺はクー・シーのギャルを呼ぼうと思ったが、名前を知らないことに今気づき聞くことにした。


「そう言えば二人の名前って何ですか?」


「ウチがリヴでー。」


「アタシがクルネ。そう言う冒険者さんたちはー?」


俺たちも名乗るのを忘れており俺が全員を紹介した。


「これでウチらズッ友だねー。」


「ねー。」


俺はズッ友を理解できたが、みんなは理解できていないようだった。ここで俺が説明すると何でそんなことを知っているのかといらぬ疑いをかけられるため、リヴに説明を求めた。


「ズッ友ってなんだ?」


「えー知らないとかマジー?ズッ友っていうのはずっと友達を略した言葉でー、ウチらとリフォっちたちはこれからずっと友達って意味ー!」


リヴが俺のことをリフォっちと呼んだのに突っかかりそうになったが、親しく思ってくれているのはシンプルに嬉しいため受け入れることにした。でもそれに食いついた人物がいた。


「リフォンがリフォっちなら私はルリっち!?」


そうルリだ。今まで二人とは知り合い程度の関係だったが、今となっては友達となったため、二人と親しくなりたいのだろう。俺たちの中で唯一の女性だから一人で寂しい思いをさせていたのかも知れない。そう思うと胸が苦しくなった。でも今のルリはリヴとクルネと楽しそうに話している。


「ルリっちでしょー、リベっちにジュナっち、ユディっちにルナっちだねー。」


三人は楽しそうに話していた。すると誰かがドアをノックした。俺がドアを開けるとそこには子どもたちがいた。いつの間にか魔法を教える話が村全体まで伝わっていたようだ。子どもたちに下で待っておくように言い、リヴとクルネを呼んだ。


「二人とも魔法教えるから下行くよ。」


「下でやるの?」


「思ってた以上に子どもたちが来ちゃって、村長の家に収まりきらないから仕方なくな。」


「「りょー。」」


二人が降りると俺もそれに続いて降りた。みんなは各々やりたいことをやるとのことだったので俺一人で教えることになった。俺は少し寂しかったが子どもたちと関わることは滅多にないことなためしっかりと教えることに集中した。降りるとそこには三十人ほどの子どもたちがいて少し驚いた。


「はーい。それじゃあ今から魔法を教えていくんだけど、魔法についてどれだけ知ってるか聞かせて欲しいな。」


子どもたちは口々にいろんなことを話すので俺は全然聞き取れなかった。


「一人づつ聞いていこうかな。発表してくれる人ー?」


「「「はーい!」」」


何人もの手が上がりみんな積極的で良いなと思っていると、楽しそうに笑いながらリヴとクルネも手を上げており少し恥ずかしくなった。でも小さい子どもたちが多いためスタンスは変えないで続けた。


「それじゃあ君に聞こうかな。」


「えーとね、火魔法がある!」


「正解!それじゃあ他の魔法も知ってる子はいるかな?」


「はい!」

「はいはい!」


俺はこの調子で魔法のお勉強回を続けた。お昼になると一度家に帰って昼食を食べてくるように伝えた。俺もその間に村長が用意してくれた昼食を食べた。子どもたちのやる気は凄まじく俺が戻った時にはもう全員待っていた。俺はそのやる気を認め魔法を実践してみせた。


「今から水魔法を使ってみるけど、ふざけたりしちゃダメだよ。」


「「「はーい!」」」


俺は手から水魔法を球形にして出した。子どもたちはそれを見ておーと声を上げていたが、俺はその水魔法を前方上空に投げて雨を降らせた。濡れたくない子もいるだろうと思い前方に投げたのだが、雨が降った瞬間みんな嬉しそうな声を上げて雨を浴びに行った。


「楽しそーだね。」


「ねー。」


リヴとクルネが俺の隣に来て言った。俺は二人に冗談を言うことにした。


「二人も遊んで来たら?」


俺がそう言うと二人は見合わせてニコッと笑ったと思ったら子どもたちと遊び始めた。案外子どもなんだなとほっこりした。雨が止むとみんなを風魔法と火魔法でドライヤーのようにして乾かした。


「それじゃあ、今から魔法の使い方を教えるね。まず火か水のどちらかを頭の中に思い浮かべてみて。そして、その思い浮かべた火か水が手から現れるイメージをしてみて。もし分かりづらいかったら火が着く瞬間とか両手に水を掬った時を思い出してみて。」


「できた!」

「うわっ!」

「すごーい!」


思っていた以上にみんなのセンスは良くその場にいた者は全員火か水のどちらかは使えていた。


「それじゃあ次は今使った魔法の逆を試してみようか。火ができたら水で、水ができたのなら火って感じね。」


「できた!」

「んー?」

「何でぇ?」


何人かはできたが、ほとんどの子はできなかった。俺は間髪入れずに説明を続けた。


「できなくても心配いらないよ。魔法っていうのは使える魔法と使えない魔法があるんだ。俺だって雷魔法が使えないんだから今のままで良いんだよ。その使える魔法をどう使うかが重要なんだ。例えばさっき俺が使った水魔法みたいに雨を降らせたりするのだな。魔法は使える数じゃない。どう使うかなんだ。初めはうまく使えなくても毎日続けたらきちんと使えるようになるから諦めないこと。お父さんお母さんのお手伝いで魔法が使えるかも知れないよ。水汲んで来てって言われたら水魔法でお父さんとお母さんを驚かせちゃおう!」


「「「はーい!」」」


「それじゃあ今日はここまで!」


「「「バイバーイ!」」」


俺が子どもたちを見送るとリヴとクルネが言った。


「良かったよせんせー。」


「せんせー。」


「これで満足か?」


俺がそう聞くと二人は首を横に振った。


「まぁ時間が許す限りは教えてあげるから。」


「「はーい。」」


二人は嬉しそうに返事をした。二人の笑顔は俺の心を和やかにするのには十分だった。

次回もお楽しみに


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