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転生するなら貴族の飼い猫でしょ 〜飼い猫兼相棒として異世界を旅します〜  作者: 描空
序章

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14話 合格発表

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

 今日は合格発表日今日の結果で天国に行くか地獄に行くかが決まる。嬉しくて叫ぶ者もいれば悲しみで叫ぶ者もいる運命の日。でもリベルと俺は何も心配していなかった。マリー先生から合格をもらえているからだ。しかもリベルの頭脳は同年代とは一線を画す。


「あの、リベルいる?」


「どうぞ。」


 ハーリーとリベルの声で俺は起きた。俺はいつも誰かの手によって起こされている。これから学園生活が始まり毎日リベルに起こされるのだから今ぐらいは誰にも起こされずのんびりと起きたい。


「合格発表一緒に見に行ってくれない?その…不安だから。」


「良いよ。」


 リベルは二つ返事で快諾した。リベルは半分寝ている俺を抱き抱え合否が張り出されている学園掲示板に向かった。学園掲示板の前には百人前後の人だからが出来ていて合否確認が出来ない。


「見えないね。」


「う、うん。」


「ハーリー大丈夫。緊張しないで。」


 周りに大勢の人がいるのにハリスが顔を出してハーリーを励ましている。


「うん。ありがとうハリス。」


 掲示板の前では歓喜の声と悲嘆の声が交互に繰り返されている。どんどん前にいた受験生たちが捌けていきリベルとハーリーの番になった。


「108、あった。」


「168 168…あった!あったよ!!」


「やった!やったぁ!」


 ハーリーとハリスは抱き合って喜んでいた。俺たちは受かって当然かのような反応で落ち着いた二人にもう少し喜んだらと正論を言われてしまった。


「合格祝いにどこか食べに行く?」


「行きたいけど私良いところ知らないから遠慮しとく。」


「僕に良い考えがあるからついてきて。」


 リベルは不適な笑みを浮かべて言った。ハーリーとハリスはその顔に少し怯えていた。


「リーン兄さん!いる?」


「どうした珍しいな。」


 リーンは少し眠そうな顔で出てきた。


「僕とハーリー学園に受かったからどこか良いところ奢って。」


 営業スマイルを遥かに超える作り笑顔だった。


「うーん…まぁ合格祝いはしないといけないからな。夜に連れて行くからそれまで二人で時間潰しておいてくれ。」


「ありがとう兄さん!」


 リベルはリーンに抱きつき媚を売りまくっている。リーンは悪い気はしていないのか嬉しそうな顔をしていた。


「どうする?何する?」


 リベルは何の案も無いようでハーリーに聞いた。


「確か合格者は今日から学園の施設を使えるようになるらしいからリベルの実力をもう一度見たい。」


「え?そんなので良いの?」


「うん。それと魔法を使う時のコツとかも教えて欲しい。」


 俺たちは実技試験の会場に行った。


「ここなら使っても良いと思う。でも壊したりしたら面倒だろうから今回はコツを教えるね。」


「出来ればリフォンにもコツを聞いて欲しいの。」


「ニャー。」


 俺は良いよと返事をした。


「多分良いって。とりあえず僕から教えるね。僕がイメージしてるのは火の形と火の温度そして火にどう動いて欲しいかってイメージしてるね。今のだから聞いて試してみて。」


「分かった。」


 ハーリーは手を前に出し掌サイズの火の玉を作り出した。


 バン!


 ハーリーが放った火魔法はカカシに届くかなり前に爆発してしまった。


「あれ?何で?」


「分かんない。どんなイメージでやった?」


「言われた通り火がどんな形をしているのか、温度はどれほど熱いのか、カカシに当たって爆発して欲しいってイメージしたんだけど…」


 俺もリベルも頭には疑問符が浮かんだ。


「先生に聞かないと分からないや。」


「リフォンはどんなイメージでやってるの?」


 ハーリーの質問に俺はリベルとのテレパシーを介して応えた。


(俺は火をまず思い浮かべてその次に火に空中に浮かんでいて欲しいってイメージしてカカシに火の玉を投げつけるって感じ。)


 リベルは俺の言葉をそのまま伝えた。


「あまり変わらないんだね。」


「ニャ。」


「そうなると手詰まりだね。」


 お昼の時間になっていたので俺たちは昼御飯を食べに行か事にした。どこに食べに行くかリベルとハーリーが話し合っている時俺は食堂の事を思い出した。その事をリベルにテレパシーで伝えた。


(食堂使えるだろ?)


(ナイスアイデア!)


「リフォンから言われて思い出しんだけど学園の食堂に行こうよ。」


「え?!行きたい!」


 意外にもハーリーは乗り気だ。俺たちは食堂に行った。


「僕もリーン兄さんに連れてきてもらったばかりなんだ。でもその時は何だか周囲の視線を感じで満足に学食を楽しめなかったんだよね。」


「なら今回は端の方で食べる?」


「そうだね。」


 俺たちは四人で端の方に座り目立たないようにした。


「ハーリー何食べる?僕は定食にしようかなって考えてるんだけど。」


「この麺のやつが食べたいわ。」


「頼んでくるね。」


 リベルはこの食堂に来て二回目しかも前回はリーンに任せっきりで嫌な予感しかしないので俺もついて行くことにした。


「ニャ!」


「リフォンついてきたのか?」


(だって前はリーンに任せて何も見てなかったから心細いだろうと思ったから来たんだ。)


(流石俺のリフォンだ。)


 リベルは俺の頭をワシャワシャ撫でてくれた。リベルは思いの外きちんと注文でき料理ができるまで少し待った。


(リフォンは出来た使い魔だよな。人間みたいだ。)


 俺は何気ない一言に心がギュッと締め付けられる気持ちだった。


(人間じゃないけど人間より優秀だとは思うぞ。)


 俺は気丈に振る舞って嘘を綺麗に隠した。


(そうだね。料理出来たみたいだから席戻ってて、僕が運ぶから。)


(気をつけて。)


「お待たせ。ハーリーのとハリスのがこれで、はいリフォン。」


「「いただきます。」」


「この麺美味しい。名前ラーメンだっけ?私これハマっちゃうやつだー。」


 やっぱりラーメンだったか。食文化は日本に酷似しているが女神様が配慮してくれたのだろうか。


「ハーリー私も食べたい。」


「ちょっと待ってね。はい、あーん。」


「うーん!美味しい!」


 ハリスの小さい口では麺一本を啜りきるのは無理だが口いっぱいに頬張りとても美味しそうに体をくねらせている。


(リフォンも美味しい?)


(美味しいぞ。人間のとは違って健康的な味がする。)


(そうなんだ。使い魔にとって塩や砂糖は体に良くないのかな?)


(そうだろうな。もしくは先人たちが同じ物を食べさせていたら病気になった、というのもあるかもな。)


 俺たちはそのまま談笑しながらお昼を食べ終えた。


「夜まで暇だね。近くで遊べる所があれば良いんだけど。」


 リベルは気遣いが出来るいい男だ。まだ王都に来て日も浅いからリーンに聞くのが一番良いだろうが、リーンは何をしているのかどこにいるのか分からない。


「私たちまだ王都の事全然知らないからみんなでいろんな所に行くってのはどう?」


 ハーリーの提案を受け入れ俺たちは王都を散策する事になった。


「とりあえず学園の近くから見ていこうか。」


「学園の近くなら生徒が寄りやすいからかかなり出店が多かったよね?」


「そうだね。それとアイテムを売ってる店もあったと思うよ。チラッとしか見てないから確証は無いけどね。」


「学園で使えそうなアイテムがあれば買おうかな。」


「ねぇハーリー、私も気に入った物があれば買って欲しい。」


「良いよ気に入った物があったら言ってね。」


(リフォンも気に入った物があれば買おうか?)


(お言葉に甘えていいか?)


(良いよ。)


 リベルは優しい笑みを浮かべ返事をした。リベルが親なら子供はこういう感じなんだなと体験出来た。数分歩きアイテムを売ってある店に着いた。


「アイテムショップ アイテミーだって。」


「早速入ってみよう。」


 ハーリーが入ると店の奥に適度に髭を生やした顔の良い店主がいた。


「いらっしゃい。自由に見てってくれ。」


 その店主は無愛想だが人情に厚そうだ。ハーリーは戦闘系のアイテムを見て、リベルは魔法系のアイテムを見ている。俺はどんな物があるのか気になったのでリベルに聞いた。


(魔法系って前の浮遊のやつみたいなのか?)


(おおまかに言えばそうだね。今見てるのは回復のアイテムだよ。非常時とかのために一つは持っておいた方が良いかなって思ったから。)


(いつその非常時が起こるか分からないから買っておいて損は無いだろうな。)


(リフォンは何か見てみたいのある?)


(魔法防護のアイテムが見てみたい。)


 俺は魔法防護がかけられたカカシを思い出し魔法防護のアイテムは無いか聞いた。だがリベルは難しい顔をした。


(魔法防護を使える人はかなり少ないからかなり希少なんだよね。だから多分無いと思うよ。)


(そうなのか。なら見たいものは無いな。俺の事は気にせず自由に見てくれ。)


(分かった。)


 ハーリーとハリスは話し合いながらアイテムを眺めている。リベルは一人でじっくりとアイテムを眺めている。


「いらっしゃい。」


 店に新たな客が来たようだ。聞きたれた声が響いた。


「久しぶりだねおやっさん。」


「長期休暇はどうだった?」


「いつも通りだよ。それより俺の弟が事前指導に選ばれたんだ!アイツは天才だけど自分の能力に自惚れず努力出来る。本当に自慢の弟だ…よ…」


 リーンとリベルの目が合う。二人とも耳まで真っ赤にしてそっぽを向いた。


「なんだその弟はそこの坊主だったのか。ずいぶん仲良いんだ!ガハハ!」


 店主は声高らかに笑った。俺も喋れたら店主と同じ反応をしただろう。


「ふふふ。」


 ハーリーもこの状況が面白いのか肩を震わせながら笑っている。


「二人とも、夕食はドレスコードを守ってくれよ。」


「…分かったよ。」


 二人の間には何とも言えない空気が流れている。


「二人とも仲が良くて良いじゃない。そんなに気まずそうにしないでよ。」


 ハーリーが二人と仲を取り持ち何とか少しは良い雰囲気になった。


「お褒めの言葉どうもありがとう…」


「こちらこそ自慢の弟でありがとう…」


 俺は二人に猫耳を生やすイメージをしてテレパシーした。


(二人とも仲良いな!)


 俺は普段より少し声を荒げて言った。二人は驚いていたが、俺を見て笑い元の仲の良い兄弟に戻った。


「さっきも言った通りドレスコードは守ってくれよ。良い所だから。」


「分かってるよ。」


「分かりました。何時ぐらいですか?」


「六時にリベルの部屋で良いだろう。」


「使い魔は?」


「使い魔は例外だよ。でもブラッシングはしておいてくれ。ハリスもドレスコードが好ましいがそういう服は持っているか?」


「持ってないです。今までそのような所に行った事がないので。」


「そうかなら良い機会だ。今からハリスの服を買いに行こう。」


「え?今からですか?ていうかハリスに合うような小さな服を売ってるお店があるのですか?」


「当たり前だ。ここは王都だぞ。それにエクサフォン学園もある。人型の使い魔は多くは無いがいるから需要はあるんだ。贈り物にも適しているからな。」


 この世界では使い魔に贈り物は普通の事なのだろうか。日本でもペットに贈り物をするからそういう感じなのだろう。


「ほら行くぞ。」


 リベルとハーリーは急いで会計を済ませ店を出てリーンについて行く。


(ところで何買ったんだ?)


 俺はリベルに買った物を聞いた。


(回復のアイテムだよ。何かあった時用にね。)


 しばらく歩くとリーンが立ち止まった。


「ここだ。使い魔用洋服店 クローズだ。」


 リーンが先に入り俺たちも続いて入ると内装の煌びやかさに驚いた。高級そうな服やアクセサリー、壁はタイル張りのような模様で綺麗な色が目に飛び込んでくる。


「すごい…」


「綺麗な店だな…」


「私には不相応な服ばかり…」


 三人がいいリアクションを見せてくれてリーンは嬉しそうだ。


「クローズ?いるか?」


「その声はリーン様だね?長期休暇はどうだった?」


 ここの店主もさっきの店主と同様の反応だ。リーンの行きつけなのだろう。


「さっきその話をして赤っ恥をかいたところなんだ。」


 リーンはまた顔を赤くした。


「そうかい。ところで後ろの人たちは…お友達って感じじゃないね?」


「紹介する。弟のリベルとその友達のハーリーだ。二人ともここは友人の使い魔に贈り物をする時にはもってこいだ。もちろん二人なら自分の使い魔用に買うのも良いだろう。今後ここには世話になると思うぞ。」


「弟って事はこの子が前から言ってた自慢の弟か。よろしくねリベル様と大きくてかわいらしい使い魔さん。よろしくねハーリー様と後ろに隠れてる小さな使い魔さん。」


「ひっ!何で分かるの?」


 ハリスはいつもの人見知りを発動しハーリーの後ろから喋っている。


「私の使い魔への愛は王都一だからだよ。」


 この人は人間には好かれるんだろうけど使い魔にはその愛を振り撒き引かれるタイプだと分かった。


「ところで今日はどうしたんだい?」


「ハーリーの使い魔にフォーマルな場で着れる服を贈ろうと思って来たんだ。今日の夜にその服を着る予定なんだがいけるか?」


「そういう服は在庫があるからとりあえず採寸してみようか。ハーリー様と使い魔さんこっち来て。」


 二人はクローズについて行った。ハリスの採寸をしている間暇なので俺は店の品物を見る事にした。


「リフォン。お前にも合格祝いとして何か買ってやるから気に入った物があれば呼べ。値段は気にするな。」


「ニャ!」


 俺はいろんな服やアクセサリーがあるんだと思いつつ見ていると一つ惹かれる物があった。それは耳に付けるイヤリングの様な物で紫色の小さな宝石が輝いている。俺はそれを気に入ったのでリーンを呼んだ。


「これか。お前の目の色と同じだな。偶然か?」


「ニャ。」


 俺は首を縦に振った。ていうか俺の目の色紫だったんだ。


「運命かもな。」


 俺たちのやりとりを見ていたリベルが一言言った。


「僕の目の色も紫だからそれも運命だね。」


 俺はそれを言われドキッとした。


「ふふ、良い運命だな。」


 そう言うリーンの顔は微笑んでいた。


「終わったよ。二人とも何幸せそうに笑ってるの?」


「何でも無い。ハリスの分とこのアクセサリーの会計をする。」


「え?良いんですか?」


「ああ、合格祝いだ。」


「「ありがとう!」」


「ニャー!」


 俺もありがとうと伝えた。


「毎度あり!」


 クローズから品物を受け取ったリーンは俺とハリスに手渡しでプレゼントしてくれた。


「リフォンは付けるか?」


「ニャ!」


 リーンは俺の耳にイヤリングを付けてくれた。


「よし。二人とももう日も暮れて来た。帰って服を着替えて来てくれ。」


「「はーい。」」


 俺たちは部屋に戻った。リベルはタキシードの様な服に着替えた。


「リベル着替えたか?」


「今行くよ。」


 リベルは俺のブラッシングを手早く終わらせ外に出る。


「良い感じだな。」


「ありがとう。ハーリーは?」


「もうすぐだろ。」


「お待たせ。」


 そんな事を言っていたらハーリーが来た。


「似合ってる?」


「似合ってるよ。」


「ああ、ハリスのはハーリーに似せたのか。」


「そう。」


 ハーリーとハリスは黒色で装飾があしらわれているドレスを着ていてとても似合っている。


「それじゃあ行こうか。」


 そう言うとリーンは一つの紙を出した。お札ぐらいの大きさのそれは少し光っている。


「何それ?」


「これは会場まで風魔法の浮遊で連れて行ってくれるんだ。」


「「へー。」」


「もっと良い反応を期待してたんだけどな。準備は良いな?」


「良いよ。」


「私も。」


 リーンがその紙を地面に貼ると俺たち三人を浮遊させそのままどこかに連れて行った。


「すごーい!ハリスはいつもこんな感じで飛んでるの?」


「こんなに速くはないよ!」


「あはは!そうだね!」


 ハーリーは初めて浮遊するのか楽しそうに笑っている。リベルとリーンが浮遊をすると最高速で飛んで行くから恐怖しかなかったが、今回は安全な速度で飛んでくれるから楽しめる。


 王都の上空にあるエクサフォン城の前に着いた。俺たちは困惑した。


「え?今日の会場ここ?」


「そうだ。四人は初めて来るだろ?」


「当たり前よ。エクサフォン城よ。一般人は…って二人は公爵家か。」


 ハーリーは何か言おうとしたがやめたようだ。

「さぁ行くぞ。」


 俺たちは萎縮してリーンの陰に隠れるように歩いた。


「着いたぞ。」


 そこはパーティ会場だった。貴族の様な格好をしている人が数多くいた。


「ここは貴族たちが受験に受かった子供を連れて来させる為に開かれているパーティだ。今回俺は四人の保護者みたいなものだ。」


「嬉しいけど流石に緊張するよ。」


「うんうん。」


「人が多いからそんなに目立たないよ。」


 リーンがそう言い終えるとステージの様な所から誰かの声が響いた。


「皆様まずは合格おめでとうございます。本パーティは合格者を労う為に催したパーティです。伸び伸びとお楽しみください。」


 司会者の様な人がスピーチを終えると威厳のあるイケオジが出てきた。その瞬間会場にいた者全員が片膝立ちをした。俺はその瞬間この人が国王なんだと理解した。その隣には髭がとても長くザ魔法使いみたいな見た目の人もいた。俺は最初この人が国王かと思っていたがそれは違ったようだ。


「面を上げよ。」


 皆が顔を上げ国王の方を見る。国王は五十代後半のイケオジだ。国王にこんな事言うのは不敬だろうが心の中なのでセーフと思う事にした。


「合格おめでとう。君たちは選ばれしエリートだ。だが自惚れるな。毎日友人と切磋琢磨し、己を磨け。学園に入学出来たからと手を抜くような奴はいつか痛い目を見る。その事を努努(ゆめゆめ)忘れるな。私は君たちを期待している。その期待を裏切ってくれるな。」


「「「は!」」」


 国王が目の前からいなくなるまで全員顔を下げたままだ。国王がどこかに行く前に俺と目が合った気がした。


「初めて国王様見たけど迫力すごいね。」


「僕は小さい頃に一度会った事あるけどその時より迫力が増してる気がする。」


「国王様は今でも魔法の鍛錬を積んでいるらしいからな。」


 未だ衰え知らずの老人は若者より恐ろしい。


 その日は緊張していたが他三人は楽しめたようで良かった。ハーリーとハリスはこんな高級な物初めて食べると目をキラキラさせていた。


「お初にお目にかかります。リーン・ペタフォーン様、リベル・ペタフォーン様。」


 ザお嬢様な見た目をした女の子がリーンとリベルに話しかけてきた。


「私はナサリー・テラフォーンです。リベル様、同級生としてよろしくお願いします。」


「はじめましてナサリーさん。これから同級生としてよろしく。」


「久しいなナサリー。」


「お久しぶりですリーン様。」


 リーンはナサリーと面識があるらしく親しそうに話している。


「ところでそちらの方は?」


 ナサリーがハーリーの事を見ながら言う。


「ハーリー・スイートです。今後ともよろしくお願いします。」


「はじめましてハーリーさん。あなたの使い魔かわいらしいわね。何て名前なんですの?」


「この子はハリスです。人見知りなので挨拶しないのはお許しください。」


「そんなに堅くならなくて良いのよ。同級生なんですから。」


 貴族のお穣様だからマナーに厳しく自己中なのかと思ったが案外性格は良さそうだ。でもハイネ先生もテラフォーン家の筈なのにあまり似ていない。


「リベル様の使い魔とてもかわいらしいんですね。大きくて毛並みも綺麗で…撫でてもよろしいですか?」

「良いと思うよ。」


「ニャ。」


「これは良いんですの?」


「良いって。」


 ナサリーは動物に触れるのは慣れていないようで手が震えている。


「まぁ!とてもフワフワでサラサラですわ!いつまでも触ってられますわね。」


「すごいよね。僕も毎日触ってるけど飽きないよ。」


「羨ましいですわ。私にも使い魔召喚の適性があったら絶対やりましたのに。」


 ナサリーがすごく悔しそうな顔をしながら俺を撫でている。ナサリーは俺の胴体ばかりを撫でているので頭を撫でてもらう為にナサリーの手に頭を近づける。

「頭を撫でても良いんですの?」


「ニャ。」


「なんて良い子ですの?!リベル様私この子欲しいですわ!」


 媚び売りすぎた。俺は後悔した。


「ダメに決まってるだろ。リフォンは俺の使い魔だ。」


 そう言うとリベルは俺を抱き抱えナサリーに背を向けた。


「もう少しだけで良いから撫でさせてください。」


「うちの子を欲しがる子には撫でさせてあげません!」


 そんな二人のやりとりを見てリーンやハーリー、ハリスや周りの大人たちも笑っていた。そのままパーティは良い雰囲気でお開きになった。


「リーン様、リベル様、ハーリーさん今日はとても楽しめましたわ!学園に通いはじめてからも仲良くしてくださいますわよね?」


「俺とはずっと仲良いだろ。」


「これからもよろしくね。でもリフォンはあげないよ。」


「ハリスとも仲良くしてあげてくださいね。」


「もちろんですわ!それでは皆様ごきげんよう!」


 ナサリーは執事の様な人と共に帰って行った。


「俺たちも帰ろうか。」


「うん。そうだね。」


 リーンは来た時と同じように紙を地面に貼るり浮遊を発動させ宿舎に帰った。


「リーンさん今日はありがとうございました。最高の思い出が出来ました。」


 ハーリーは深々と頭を下げて礼を言った。


「頭下げるまでしなくて良いよ。なんか悪い事したみたいだろ?それにこれは合格祝いだ。自分で掴み取った物だから自分とハリスを褒めてあげな。それじゃおやすみ。」


「おやすみー。」


 リベルはいつも通りで安心する。


「それじゃあ僕たちも部屋に戻るよ。おやすみハーリー。」


「お、おやすみ。」


 部屋に戻りリベルがタキシードの様な服を脱ぎ風呂に入ろうとした時俺はベッドに寝転がっていた。リベルはそんな俺を抱き抱えて風呂場に向かう。


(なーんで俺も一緒に入るんだよ。)


(いいじゃんたまには。)


 ザブン


(気持ち良いねー。)


(なんか変な感じする。毛が全身にペタってくっついてる。)


(じゃあ火魔法で毛の根元だけ乾かし続けたら?)


(頭良いな。)


 俺は全身を覆うように火魔法で温かい層を作った。


(ていうかこれなら俺入る必要ないじゃん!)


(あっ気づいた?でもたまには良いじゃん俺が一緒に入りたいんだから。)


(たまにだぞ。)


 俺は面倒だから魔法を使うのはやめた。しばらく湯船に浸かった後俺はシャンプーで洗われとても良い匂いになった。


(リフォン乾かすから熱かったりしたら言ってね。)


(うん。)


 ゴオオオ


 リベルは火魔法と風魔法のアイテムを用いたドライヤーを用いて俺を乾かした。


(終わったよ。)


(ありがとう。)


 俺はベッドにダイブした。リベルもドライヤーを終えゆっくり俺の体の上に顔を沈めた。数分猫吸いをしたら満足したようで俺を抱きそのまま寝た。俺もリベルの胸の中で泥のように寝た。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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