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13話 遊びに行くなら

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

「リフォン起きて。遊びに行くよ。」

「ンナー。」

 俺は大きなあくびをして起床した。

「おはよ。朝御飯あるから食べちゃって。」

 お前は俺のおかんかと心の中で言った。感謝の言葉はきちんとテレパシーで伝えた。

(ありがとう。)

「ん。」

 リベルは制服ともここに来た時とも違うオシャレな服を着ていた。その雰囲気は西洋の民族衣装の様にもとれるが現代の日本の様にもとれる良い塩梅で着こなしている。

(オシャレな服だな。)

(そうかな?公爵家ではオシャレというよりはドレスコードを意識している感じだったからね。)

(オシャレは好きか?)

(うん。好きだよ。服も好きだよ。自分の魅力を更に引き上げてくれる感じがするから。)

 スタイルも顔も良いからより服装がオシャレに本人がイケメンに見えるのだ。

(俺はこの毛並みがオシャレだからブラッシングをして欲しいな。)

(りょーかい。)

 ブラッシングをしてもらう時は膝の上に乗りたいがオシャレな服に猫の毛を付けるのは気が引けるのでベッドの上でブラッシングしやすいように体を伸ばして待った。

「なんかその体勢かわいいね。のびーってしてて。」

(早くブラッシングしてくれ。じゃないとリーンを待たせる事になる。)

「ブラッシングってなんか感触くせになるんだよね。」

 俺はブラッシングが気持ちいいからその間ウトウトしてリベルが何か喋っていたが頭に入ってこなかった。

「リベル!リフォン!まだか?」

「今行くー!」

 二人の大きな声で俺の意識を取り戻した。

「ほらリフォン行くよ。」

「ニャ。」

 俺はリベルの後について部屋を後にした。

 学園は王都の西側に位置しているが今回遊びに行くエクサフォンパークは東側に位置してるため早朝から行かないとパークが混雑してしまうのだ。

「じゃん!これなんだと思う?」

 リーンは綺麗な緑色の石を俺たちに見せてきた。俺はその石よりもリーンはお茶目な感じではなく真面目なタイプだからリーンがこんな事をしてきて俺は困惑した。

「うーん…何だろ?普通に宝石?」

「風魔法のアイテムで三十分間浮遊できるんだ。これでパークまでひとっ飛びってわけ。」

 いつも違い浮かれているリーンはまだ子供なんだなと思った。

「本当?!なら早く使おう!」

 リベルもリーンと同じでまだ子供のようだ。兄弟似た者同士で微笑ましい。

「ほらリフォン行くよ!」

「ニャ?」

 俺が浸っている間に二人はアイテムを使用していたようで俺の胴体を持ち浮遊した。

「ちゃんと掴まっててね!」

「ニャーーーーーーーー!」

 俺はあまりのスピードに絶叫した。これから乗るであろう乗り物より危険で浮遊感のあるアトラクションに乗った俺はエクサフォンパークに着く前にゲッソリとしてしまった。

「到着!さっきのも楽しかったけど次はもっと楽しいはずだよね!」

「そうだろうな!」

 二人はとても楽しそうにパークに入って行った。俺はさっきの浮遊で十分絶叫系アトラクションを堪能出来たので二人がアトラクションを乗ってるのを楽しそうに眺めていた。

「リフォン!写真撮ろうよ!」

「おいリフォン早く!」

 リベルもリーンも楽しそうで俺はそれを優しく見守る。親ってこんな感じなんだろうな。

「ニャー。」

 俺は二人に持ち上げられ写真を撮った。その写真を見ると満面の笑みの二人の間に幸せそうに笑った猫がいた。俺は幸せ過ぎて二人がアトラクションに乗っている間静かに涙を流した。

 アトラクションを乗り終え感想を語り合っている二人を見てまた涙が込み上げてきた。でも二人がこんなに楽しそうにしているのだから俺が泣いてしまったら楽しい雰囲気を台無しにしてしまうのでグッと堪えた。

「どうしたのリフォン?」

 聞き覚えのある声が聞こえてきた。後ろを振り向くとハリスがいた。

「ニャー。」

 普通に喋りたいけど喋れないのが辛い。

「ハリス?どこー?」

「ハーリーここよ!」

「ここにいたのってリフォン?リベルもここに来てるの?」

「ニャー。」

 俺はリベルたちがいる方向を見ながら鳴いた。リベルもそれに気づきこちらを見ると驚いた表情になった。

「ハーリー?君も来てたの?!」

「ええ。たまには気分転換もしないとって思ったから来てみたの。かなり好評だからどれほどかっていうのも気になってたし。」

「リベル、こちらのお嬢さんは?」

 リーンはさっきまでの浮かれた子供の感じとは違い、英国紳士の様になった。その切り替えの速さにリベルも驚いたようでリーンを凝視した。一瞬の沈黙を破ったのはリベルでハーリーとハリスの紹介を始めた。

「あっ、こちらはハーリー・スイート。そして使い魔のハリス。僕も同級生になる人だよ。」

「よらしくハーリーさん。俺はリベルの兄のリーン・ペタフォーンだ。弟をよろしく頼む。」

 ハーリーは少し同様しつつもきちんと受け応えした。

「ハーリーです。ハリスは人見知りなのでまだリベルにも慣れてないので大目に見てください。」

 ハリスはリベルと初めて会った時と同様にハーリーの後ろに隠れている。

「そうか。信用されるように努力するよ。ハリス何か困った事があったら俺や弟、リフォンを頼ると良い。一番頼りやすいのはリフォンだろうからリフォンよろしく頼むよ。」

「ニャン!」

 俺は任せろといった感じで応えた。

「一緒に回る?」

「二人のお邪魔じゃない?」

「俺は歓迎する。」

「じゃあ行こう!」

 三人はまだ見ぬアトラクションへと足を進めた。その間俺はハリスと会話になる様に返事をしようとした。

「リフォン、あなたはどうしてすぐ仲良くなれるの?」

 さっそく猫語では返事出来ない質問で俺は困った。ハーリーとハリスはまだ出会って間もないから猫に関する魔法は使うのは控えたい。でもハリスの質問に応えたい。リベルから読み書きを習っておけば少しは会話出来たのかなと思いつつ考え込んでいると三人が帰ってきた。ハリスは俺の長毛の中に隠れた。

「ハリス?」

 ハーリーが心配して呼びかけるとハリスはすぐにハーリーの後ろに回った。

「時間もいい感じだし、お昼にしようか。」

 俺たちは各々好きな物を食べ午後は三人がアトラクションを制覇してしまったのでパーク内にある使い魔と遊べる施設に向かった。

「使い魔との信頼関係を試せます?!」

 リベルが施設の看板を読んで驚愕していた。俺はそれほど驚くかと思ったがこういう試す系は好きじゃないのかと思った。

「良いじゃない。私とハリスの絆は強固な物だから心配無用ね。」

「うん!」

 リベルはそんな二人を見てから俺を見てきた。その顔には大丈夫かなと書いてあった。

(大丈夫だ。安心しろ。)

(うん!リフォンを信じるよ!)

 その施設は主人と使い魔の二人で協力して脱出するタイプだ。その間のリーンはというと気に入ったアトラクションをもう一度乗ってくるとの事だ。

「リベル、勝負しない?どっちが早く脱出出来るか。」

「良いだろう。受けて立つ!」

(だ、大丈夫だよね?)

(お前は心配しすぎだ!俺たちの信頼関係はその程度なのか?)

(ご、ごめん。ちゃんとリフォンを信じるよ。)

「準備は良い?」

「ああ!」

「「よーい、ドン!」」

 第一の扉と書かれた扉には紙が貼られている。

「二人で協力してこの扉を開けろ。だってでもドアノブ無くない?」

(上にある。)

 猫の目のおかげで薄暗い屋内でもかなり見える。

(本当だ。リフォン僕が持ち上げるから開けてね。)

 リベルは俺を持ち上げ精一杯腕を伸ばした。俺は背が大きい猫種だからあまり苦労はせず扉を開けられた。

(今度から僕が開けなくても入ってこれるね。)

(やだ。)

 リベルは何でと言わんばかりの顔をしていたが俺は無視して先に進んだ。

 第二の扉と書かれた扉には南京錠がかかっている。

(鍵どこ?リフォン見える?)

 俺は辺りを凝視したがそれらしい物は見当たらない。

(これなんかアイテムっぽくない?)

 俺の言葉にリベルは南京錠を凝視した。

(本当だこれアイテムだ。しかも子供が魔法の事を学ぶ為のアイテムだ。)

 そのぐらいのアイテムならすぐに気づいて欲しいものだ。でもリベル今かなり動揺しているから仕方ないと思う事にした。

 少々苦戦したが第二の扉も突破できた。次の扉は第三の扉だと思っていたが良い意味で裏切られた。

 最後の扉そう書かれた扉には使い魔に口付けをと書かれていた。俺はシンプルに疑問に思った。この世界での使い魔は人型がかなり珍しく動物が基本だ。なのに口付けとはと思ったが、逆に動物だからスキンシップとしての口付けがあるからかもしれない。俺はリベルに頭に口付けをされるのを待っていたが口付けして来なかったのでリベルの事を見るとリベルが赤面していた。

(何で顔赤らめてるんだよ。早くしてこいよ。)

(だ、だってこんなの初めてだから…)

 純情な心を持っているんだなと思ったが早く出るために俺がリベルに屈むように指示し頬に口付けをした。

 扉は開きリベルは放心していた。俺はそんなリベルを置いて外に出た。

「私たちの勝ちね。」

 ハーリーたちは先に終えており俺たちは負けたようだ。俺が一人で残念がっているとリベルが出てきた。

「リベル、どうしたの?」

「いや、何でも無いよ。」

 そういうリベルだったが明らかに放心していた。

(どうしたんだ?)

(いや、何でも無いよ。)

 ハーリーへの返事と同じ返事をされてますますどうしたのか気になったので、椅子に座ったところで膝の上に乗り顔を近づけた。リベルはハッとして顔を逸らした。

(口付けの時何考えてたんだ?)

(いや、あのー…リフォンに対してするの恥ずかしいなって。)

(何が恥ずかしいんだよ。主人と使い魔だぞ。人間と動物だぞ。スキンシップとしてもする人もいるだろ?)

(リフォンにするの初めてだったから…)

 俺はリベルの将来を心配した。この程度でこの調子なら彼女が出来た時に何も出来ないだろう。俺は少しからかう感じで言った。

(俺はちょっと嬉しかったよ。)

(え?)

 リベルは初めて見る顔をした。現状を何も理解出来ないといった顔だ。

(冗談に決まってるだろ。)

(そ、そうだよね。)

「二人で何話してんだ?」

 リーンが急に話しかけてきたから俺たちは肩をビクッとさせた。

「な、何でも無いよ。」

「ふーん。」

 リーンは何か言いたそうな顔をしていたが何も言わなかった。そのままお開きになった。ハーリーたちは家族と約束があるからと何処かに行った。一緒に帰るなら浮遊のアイテムを使わせてあげれたが残念だとリーンが悲しがっていた。

「帰りはゆっくり帰るからね。」

(そうしてくれるとありがたい。)

 帰りは本当にゆっくり浮遊してくれて適度に風を感じながら帰れた。

「おやすみ。リーン兄さん。」

「二人ともおやすみ。」

「ニャーン。」

 別れを告げ宿舎に戻った。俺はパーク内での口付けの反応を深掘りした。

(何であんなに赤面してたの?)

(え、えっとお母様が口付けは一生一緒にいたい人とするものよって小さい頃に教えてくれたから、それを思い出しちゃって…)

(ふふ、かわいいな。口と口はそうかもしれないが使い魔に口と口でやるか?やらないだろ?お前は箱入りだったから仕方ないけどもうちょっと常識を身につけろ。)

(はい…)

 リベルはそのまま不貞寝した。十二歳だから仕方ないかと思ったがグロウたちの問題かもとも思う。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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