129話 ダンジョンへ
ダナフたちの住処を去った俺たちは魔族の国に向かった。ダンは冒険者ギルドの仕事があるからと去ってしまった。俺たちは去り際に感謝を述べるとダンは振り返ってこう言った。
「強くなれよ!」
ダンは満面の笑みだった。俺はいつかあなたを越えてみせると心に誓った。俺たちは本題の仲間探しを始めた。と言っても俺たちが人間だからかパーティメンバーになってくれる人はいなかった。俺たちはここに来て日も浅いし実力を証明したわけでもない。だから俺たちのパーティメンバーになるのはリスクが大きいのだろう。見ず知らずの誰かに命を預けるようなやつはここにはいないのだ。俺たちは仕方がないと諦めてユディの装備を買いに行くことにした。ユディはカティファスと同様に武器は刀を選んだ。防具はどうするのかと聞くと動作に支障が出るからいらないとのことだった。鬼人の体表がどれほど凄いのかは知らないが、防具を自らの意思で着用しない程度には硬いのだと理解した。次はポーションを見に行った。そこはネリーの店とは違いポーションは並べておらず、全てオーダーメイドのように注文が入ってから作るという方式をとっており、出来るまでに短くて三日、長くて一週間以上とかなりの期間要求されるため店を後にした。最後に食料を買い込んだ。リベルが先導していたから俺たちは特に何も言わずついて行ってたが、ここまで色々な物を買うのは何か理由があると思いリベルに聞いた。
「ねぇリベル、これから何するの?」
「えー何でしょう?」
リベルは笑いながら俺たちに問いかけてきた。分からないから聞いているんだから早く教えてくれよと思ったが、こんなリベル見るのは初めてだしテンション下がっちゃったら嫌だから乗ることにした。
「えー何だろ?しばらくここには帰ってこないだろうから魔物討伐にどこか遠くに行ったり?」
「うんうん。ジュナは?」
「えっ?えーと外界探索ですか?」
「うんうん。ユディは?」
「そうだな…連戦し続ける方法を実戦で学ぶとかか?」
少しの静寂の後リベルがニヤけながら言った。
「みんな惜しいかったけど不正解。正解はダンジョンに行くでしたー!」
俺たちは何とも言えなかった。ダンジョンは一度行ったことがあったし特別感が薄れていたのだ。そんな俺たちの反応にリベルは何だか悲しげな顔をしていた。俺たちが何の反応を見せないでいると泣きそうな顔になり俺たちはすぐに反応を示した。
「へ、へーダンジョン行くんだ!今度は何階まで行く?」
「そ、そうですねぇ…一気に二十階とか行っちゃいます!?」
「お、俺は初めてのダンジョンだから楽しみだぞ!」
俺たちの言葉を聞いた瞬間パーッと表情が明るくなった。
「うんうん!今度は何階まで行く?ユディは僕たちが先導するから安心して!」
俺たちは心の中で安堵のため息をついた。俺たちは早速ダンジョンに向かうことにした。前行ったダンジョンが近くて場所も把握しているためそこに向かった。
次回もお楽しみに