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127話 仲間

人狼族との抗争の翌日俺たちとユディは報酬について話し合った。


「俺が用意できる物なら何でも言ってくれ。」


ユディが頼もしい表情で言った。でも俺たちは即決しなかった。何が今の自分たちに足りないか、何があればもっとより強くなれるかをユディと一緒に話し合った。良い案が出なくなったところで俺の案を言った。


「ユディに俺たちの特認実習について来てもらうのはどうだ?あと半年ぐらいしか時間は残されてないんだからもっといろんなことに挑戦する必要があると思う。でも俺たちにはその時間があまりにも少ない。危険な場面に直面することもあるかも知れない。だから実力もあって俺たちに足りない近接戦闘面を補えるユディに仲間になって欲しいんだ。」


俺が話すとユディは難しい顔をした。ユディはここのダナフたちをまとめ上げている責任ある立場だ。おいそれとここを離れる決断はできないのだろう。


「考えが決まったら教えて欲しい。その時まで待つから。」


俺はユディに俺たちの仲間になる選択をするしかない立場に追いやった。今でさえ俺たちに抗争の恩義があるにも関わらず、ここで過ごす日数が増えればダナフたちも俺たちのことを少しは信用してユディの背中を押してくれるだろうし、スアルギーたちを狩りに行くのも俺たちを使えばすぐに済む。俺はどうしてもユディに仲間になって欲しいからこのような卑怯とも思われる手を使ったが、裏返したらそれほどユディのことを必要だと思っているのだと気づいて欲しいのだ。


「分かった。とりあえずダナフたちと話してくる。」


「じゃあその間にスアルギーを狩ってくるよ。」


「あぁありがとう。」


俺の作戦通りことが進んで俺は本当にユディが仲間になってくれるのではないかと嬉しくなった。俺たちはユディたちが話している間はここを離れておこうと思いスアルギーを狩る前にその辺りを飛んで時間を潰すことにした。今日は雪が止んでおりバルフィー山脈の美しい雪景色に見惚れた。山肌が一切見えないことから直近どれだけ雪が降っていたのかがよく分かる。所々魔物のような姿が見えたが、白色で保護色となっており何かが動いているな程度しか分からなかった。しばらく暇を潰した俺たちはスアルギーを狩りに行った。スアルギーを持ち帰ると言葉は分からないがダナフたちが喜んでくれた。俺たちはもう話し合いは終わったのかと不思議に思いユディの家に入ろうとした時ダンとユディが話している声が聞こえて入るのを躊躇った。二人も気づいたのか家の前で足を止めた。盗み聞きをしようと思ったわけではなかったが、中から話している内容が聞こえてきた。


「本当に三人について行って良いのかな?」


「ダナフたちが良いって言ってくれたんだからオレは良いと思うぞ。」


「でも心配だよ…」


「子離れできない親みたいだな。お前が思ってるよりダナフたちはしっかりできると思うぞ。使い方は違うが灯台下暗しって言葉もあるだろ?案外自分が思ってる以上にダナフたちは親離れできてるぞ。」


「そうかなぁ…」


俺は二人の会話が終わるまで話し声が聞こえない所で待つことにした。二人も盗み聞きは良くないと思ったのか俺と一緒にユディの家から離れて待つことにした。少しするとダンが出てきた。


「少し一人にしてやってくれ。」


俺たちはそう言われてユディが家から出てくるまで待つことにした。しばらく待ってもユディは出てこなかった。相当悩んでいるのだろうと思い俺たちは黙って待つことにした。待ちくたびれてしばらくの間雪で遊んでいるとユディが家から出てきた。ユディと目が合うと家に入るように手招きした。俺たちは服についた雪を払い落とし家に入った。ユディは神妙な面持ちで椅子に座っていた。俺たちは向かい合うように椅子に座った。


「仲間になることなんだが…」


俺たちは固唾を呑んだ。


「こんな俺で良ければ仲間にしてくれ!」


俺は安堵の息を、リベルは誇らしげな鼻息を、ジュナは興奮の鼻息で感情を表した。ユディは俺たちの変な反応にクスッと笑ってくれた。


「改めてよろしくお願いします。ユディさん。」


俺がそう言いながら手を差し出すとユディが答えた。


「よろしく。でも敬語は無しだ。仲間に敬語を使われるなんて寂しいだろ?」


「それじゃあよろしくユディ!」


「あぁよろしくリフォン、リベル、ジュナ。」


「「よろしく!」」


こうしてユディが俺たちの仲間となった。

次回もお楽しみに


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