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118話 捜索その3

俺は慣れない環境からかあまり眠れなかった。自作のベッドの寝心地はそれはもう素晴らしいものだったが、周りの環境やダンジョン内という緊張感が邪魔をしたのだ。寝ては起きてを繰り返していたからあまり疲れが取れていない。こんな調子で大丈夫かなと少し不安だ。そんな心配をしているとウッツクルーシュの皆さんが目を覚ました。ターニャがすでに起きていた俺を見てちゃんと眠れたか気遣ってくれた。俺は正直にあまり眠れなかったことを伝えるとターニャが手招きした。俺はコーヒーか何か眠気覚ましをくれるのかと思い近づくと膝枕をされてしまった。ターニャの流れるような誘導に俺は抵抗する暇すらなく頭を膝に置かれたのだ。俺はそんな状況に慌てて起き上がろうとすると寝てくださいと優しい声で言われ、俺は抵抗する気力をなくし泥のように眠った。


肉の焼ける良い匂いがして俺は目を覚ました。辺りを見渡すとみんなが楽しそうに肉が焼ける談笑しながら待っていた。その肉は捜索に出る前に事前に貰っておいたシィーの肉だった。リベルがファンタジーリュックに入れて持ってきていたからいつかは食べるだろうと思っていたが、まさか寝起きに食べるとは思わなかった。俺が匂いに釣られてみんなの元に寄ると、俺の分をよそってくれてみんなでシィーの肉を頬張った。


「「「うめー!」」」

「「美味しー!」」


俺たちは自然と叫んでいた。あまりにもシィーの肉が上質で美味しかったのだ。牛より筋肉質で少し硬いが、それ以上に旨味が口内を暴れ回っているのではないかと勘違いするほど旨味が豊富で味わい深かったのだ。早く次の一口を食べたい一心とまだ味わっていたい一心が喧嘩している。まさかダンジョンでこんなに美味い肉を食うとは思わなかったが、そんなの気にならないほど美味しくパワーが漲ったので良しとした。


朝食も済み俺たちは六階へと足を運んだ。六階からはボスがランダムだからより一層警戒心を高めて進んだ。六階に着くとそこは活火山の山頂のような風景が広がっていた。今までのような人工物から一変、急に自然界に放り込まれた俺たちは作戦会議のため一旦五階のボス部屋まで戻った。


「あれじゃあまともに進めないぞ。」


ムーアに言った。みんなムーアと同意見だから頷いていた。仮に進めたとしても道中で汗をかいたりして体力を消耗するだろうしがむしゃらに進むのは得策とは言えない。そこで俺が提案した。


「俺が風魔法で飛んでいってボスを確認して戻ってくるから、作戦を考えて俺の風魔法でボスのところまで行って一気に叩こう。」


俺がそう言うと俺の負担が大きいことを口々に言っていたが、それが最善策だと反論すると何も言えなくなってしまった。俺が体の周囲に氷魔法を出現させるとウッツクルーシュの皆さんは偵察だけだから無茶はするなと言ってくれた。俺はその気遣いが嬉しくて自然と笑顔になった。


「すぐに帰ってきます。」


俺はそう告げると一気に六階に戻った。六階の扉を開けると熱風が俺を包んだ。サウナよりも暑いそこは氷がないとすぐに熱中症になってしまいそうなほどだった。とりあえず帰り道が分からなくならないように風魔法で削り取った岩を目印とした。早速風魔法でボス探しを始めた。今だけはいつもより多くの魔力を使ってスピードを上げ、ボスを血眼になって探した。すると溶岩を体の一部に纏ったマガルマチ以上に大きなコモドオオトカゲのような奴を見つけた。俺はこいつがボスだと確信して目印の岩の元に戻った。その時には氷は溶けきっておりこの階の気温が恐ろしくなった。


「見つけてきました。溶岩を体に纏ったマガルマチみたいな見た目の奴です。」


途中から氷の冷却効果が下がっており俺は軽度の熱中症のようになってしまった。ターニャが光魔法と氷魔法で看病してくれている間に作戦会議は始まった。


「溶岩を纏ったマガルマチみたいな奴と言えば、それはラヴァーチプカリーだな。」


ムーアがそう言うと俺たちは聞いたことの名前に困惑した。俺たちのためにムーアがきちんと説明してくれた。


「ラヴァーチプカリーは体の構造はマガルマチそっくりだが、魔物と言うより精霊に近い部類なんだ。とは言っても魔物は魔物だから討伐するんだけど、奴は溶岩に耐えられる体表と溶岩を扱った攻撃をしてくるから等級は限りなくブラックに近いレッドだ。なぜレッドなのかと言うと奴は好戦的じゃないからなんだ。相手から喧嘩を売られた時やナワバリを守る時ぐらいしか戦わないからレッドなんだ。

だったら無視して七階に上がれば良いという考えは先に言っておくが無理だ。ダンジョンは階層ボスを殺さない限り次の階層に行けない。ちなみに降りる場合もそうだ。だからリリとセスタが七階で待っている可能性も十分にある。でも奴が相手なのは分が悪すぎる。氷の精霊でもいたら楽に殺せるんだが、精霊なんてレアすぎて見たこともないからなぁ…水魔法と氷魔法で地道にやるしかないのかぁ?」


地道にやるしかないと結論が出たところで俺たちはさらに話し合った。周りの溶岩を使えないようにするためにジュナが水魔法を大量に出現させ、ラヴァーチプカリーが水に浸かったことを確認したらリベルが雷魔法で攻撃し、リベルに注意が向いた隙にイメージしておいた氷魔法を頭めがけて打ち込む。という作戦になった。もしそれでもダメなら撤退して魔力が回復するまで待ち別の作戦を考える。これでいくことにした。攻撃してくるまでに討伐するのが目的だからワイバーンよりはマシだと感じた。そんな無謀だとも言える作戦が今始まった。

次回もお楽しみに


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