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転生するなら貴族の飼い猫でしょ 〜飼い猫兼相棒として異世界を旅します〜  作者: 描空
特認実習編 前編

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108話 勲章

俺たちが侯爵領に向かう準備が完全に終わり後は挨拶だけとなった頃ウェリルが再び俺たちのことを呼んだ。


「今日呼んだ理由は褒美の件もあるが、君たち三人に勲章を授与する日程を決めて欲しいんだ。君たちがここを出ていく前日ぐらいには授与しておきたいからね。いつにするか決めてもらえるかな?」


「僕たちはいつでも構いません。残すところあと騎士団と魔法師団の皆さんに挨拶するだけですので、そちらの都合が良い日で構いませんよ。」


リベルの返答にウェリルは本当に良いのかと俺とジュナを見つめたが、俺たちもそれで良い旨を伝えるとウェリルはにこやかに笑い言った。


「それなら最高の授与式にするためにメガフォーン家に仕える者全員で準備をするから、二、三日待っていてくれないか?必ず満足のいく物にしてみせるから。」


意気込んでいるウェリルを見るのは初めてだ。その思いから目の奥に炎が見えた気がした。俺たちは期待して待つことにした。


「褒美を忘れていた。少し待っていてくれ。」


そう言うとウェリルは部屋から出て行った。俺はその間に二人が何を所望したのか聞いた。


「僕は氷魔法のアイテムだよ。リフォンが使ってて僕も使いたくなったんだ。毎日学園長から貰った魔法適性を伸ばすアイテムを使ってはいるんだけどなかなか使えなくてね。」


俺はそんな物もあったなと懐かしんだ。一年で飛躍的に成長できると言っていたが、まだ一年の三分の一しか経っていないからもう少し辛抱が必要なのだろう。


「俺は光魔法のアイテムにしました。リフォンさんだけだとリフォンさんが怪我した時回復できる人がいませんからね。」


ジュナの気遣いに不覚にも心が躍動した。俺が男で良かったと実感した。俺が女性ならリベルの正統派イケメンとジュナの気遣いのできる優しいイケメンの二人に囲まれたハーレム生活になっていて、異世界を満喫しすぎてしまっていたであろう。そんな考えを巡らせているとウェリルが戻ってきた。


「待たせたね。各々ご所望の品だよ。メガフォーン家にある一番良いアイテムを選んできた。リベルのは繊細な氷魔法のイメージに長けている物を、ジュナのは慣れるまで少し難しいかも知れないが、慣れてしまえば国王魔法師団にも引け劣らない光魔法が使えるようになる物だ。リフォンにはメガフォーン家にある最も魔力量の多い魔力回復アイテムを。きっとリフォンの魔力総量には敵わないだろうが、気休めにはなると思いたいな。」


「「「ありがとうございます。」」」


アイテムを受け取った俺たちはクリスマスプレゼントを貰った子どものような笑顔でウェリルに感謝を伝えた。ウェリルは自然と俺たちの頭を撫でた。きっと自分の子どものように思えて自然と手が伸びたのだろう。俺たちも自然とその手を受け入れた。俺たちは朗らかな気持ちのまま部屋を後にした。


「ニ、三日暇だけどどうする?貰ったアイテム試しに行く?」


リベルが休日の過ごし方を提案した。


「俺はそれでも良いですけど一日は子爵領を回りたいです。」


俺は二人の提案を聞き結論を出した。


「明日はアイテム、明後日は街巡りにしよう。それで明々後日もあったらその日は各々好きなことをしよう。」


「「はーい。」」


今日は特に用事もなければ何かやることが決まっているわけでもない。元はいつも通り騎士団か魔法師団の訓練を行うつもりだったが、授与式の準備のため今日から作業に取り掛かるだろうから暇なのだ。となった以上俺がやることは決まっている。それは学園長の魔導書を読むことだ。貴重な休日を無駄にするわけにはいかない。俺はすぐに離れに戻った。二人はそんな俺を見て何を急いでいるのか不思議そうにしていた。


俺が魔導書を見ながら学園長の魔法を再現しようと躍起になっていると二人が戻ってきた。その手には何か小包が握られていた。俺が詳細を聞く前に二人が言った。


「僕たちからのプレゼント!」

「俺たちからのプレゼントです!」


俺は二人の言葉にポカンとしてしまった。何か祝われるようなことをしたわけでもないし、誕生日でもない。そもそも誕生日がいつなのか分からない。そんな状況で俺が説明を求めるとリベルが説明してくれた。


「リフォンのことだからどーせまともな物は貰わないだろうなって思ってウェリルにお願いしてもう一個貰ったんだ。ウェリルもあれだけじゃ物足りないって思ってたらしくて快諾してくれたよ。ほら開けてみて。」


俺が小包を開くとそこにはイヤリングがあった。リーンに買ってもらったイヤリングのように魔法石のような物が付いていた。俺は説明を聞く前に感謝の言葉を述べた。


「二人ともありがとう。早速付けてみても良いかな?」


「うん。」

「はい!」


水魔法を鏡のように出現させイヤリングを付けた様を見てみた。黄緑色で紫とはまた違った良さがあって俺は気に入った。そこでリベルが説明をしてくれた。


「気づいていると思うけどそれは魔法石で、人によって魔法石の効果が変わる不思議な物なんだって。珍しいから貰ったんだ。きっとリフォンなら素晴らしい効果が出るでしょうってウェリルが言ってたよ。」


「人によって違うのは面白いな。ところでどうやったらその効果は分かるんだ?」


「「あー…」」


二人が言いづらそうにした。


「まさか分からない…?」


二人が同時に頷いた。俺は逆にワクワクした。何が効果として現れるのか分からない一風変わった魔法石に俺は興味が湧いた。俺の様子を見て二人は安堵のため息をついた。


「これからの人生の中に楽しみが一つ増えたな。」


二人は俺を見て笑った。俺は改めて二人に感謝を述べた。

次回もお楽しみに


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