100話 ポーションの副作用
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俺たちが騎士団の後衛担当から帰ってきて一日が経った。ジュナは特に変わったことはなくぐったりしている俺とリベルを不思議そうに眺めていた。俺たちはネリーのポーションの副作用に苦しんでいたのだ。俺は全身から力が抜けて日常生活が困難になった。リベルは全身筋肉痛になりどこかを動かすたびに痛い痛いと泣きそうな声で言っている。俺たちはポーションの副作用をなめていた。正直日常生活に支障は出ないだろうと思っていたが、それは大きな間違いだった。ネリーのポーションの凄さもあまり実感できないまま副作用だけ体に残った俺とリベルは、それは大きな不満を抱えていた。
「ねぇリフォン...」
「な、なんだ?」
俺たちは話すのもやっとの状況でなんとか会話をした。
「ネリーに文句言いに行かない...?」
心の中では即決したが体が言うことを聞いてくれずもどかしい気分になった。
「い、いいに行きたいけど...体が言うことを聞いてくれなんだ。」
「そ、それじゃあ副作用が落ち着いたらいいに行こう。」
「そうだな...」
俺たちは互いのためにもあまり会話をすることなく、その日はジュナに介抱してもらいながら療養に勤めた。
それから二日経った。俺とリベルはまだ身体は子どもだからすぐに治ったが、年齢の高い冒険者はかなり長い時間を必要とするだろう。そんなことより、体が治ったのだから早速ネリーに文句を言いに行くことした。
「ネリーいるか?」
「いるよ。」
店のカウンターにいなかったことから俺が名前を呼んでみると地下室から微かに声が聞こえてきた。俺たちは入っても良いだろうと思い地下室に向かった。
「お、来てくれたか。ちょっと今手が離せなくてね。」
そう言うネリーはポーションの実験をしている最中だった。俺とリベルは文句を言いたい気持ちをグッと堪えてポーションの実験が終わるのを待った。それからしばらく経ちネリーがふぅと息を吐くとポーションが完成したのか、俺たちの方を向いた。
「ところで何か用かな?」
俺とリベルは大きく息を吸い無数の文句を口に出した。あんなに副作用が辛いとは聞いていなかったやもっと事前に具体的な副作用を知らせておいてほしいといった内容だ。俺とリベルの怒涛の文句をネリーは静かに聞いた。あまりの勢いにジュナが止めに入ってようやく俺とリベルは落ち着きを取り戻した。するとネリーは言った
「ごめん!副作用の辛さも知ってると思ったんだ。えーとそっちのポーションの事説明していた子はかなりの知識があったから、副作用の説明はいらないって思ったんだけど...」
そこで俺はリベルを見た。とは言えリベルもなんでも知ってるってわけではないなから責めることはしなかったが、ネリーがリベルの名前を呼ばなかったことに違和感を持った。そこで俺は気が付いた。俺たちが自己紹介をしていないことに。俺はリベルにテレパシーでどうするか聞いた。
(俺たち自己紹介してないけど、これ良くなくないか?)
(た、確かに。今からでも自己紹介した方がいいよね...?)
(うん。)
俺の言葉を聞いてリベルが俺たちの紹介も兼ねて自己紹介してくれた。
「僕たちまだ名乗ってませんでしたね...えっと僕はリベルで双子の兄弟がリフォンで、僕たちの友人のジュナです。遅くなって申し訳ないです。」
「い、いえいえ。聞かなかったボクも悪いので謝らないでください。」
二人がペコペコしているとジュナがネリーに聞いた。
「どうしてあんなに副作用が辛いんですか?」
その話はリベルも聞きたかったのか頷いていた。それにネリーは応えた。
「それは効果が高いからです。ポーションという物は最上級品でない限り副作用が付き物です。私のもそうです。効果が高い分副作用も辛いものになるんです。だから経験豊富な冒険者や知識のある人にしか売ってないんです。分かってくれましたか?」
「それは分かりました。でもネリーさんのポーションと最上級品のポーションではなぜ副作用の有無があるんですか?」
リベルが不思議そうに聞くとネリーが応えた。
「使ってる素材です。私も最上級品のポーションが作られる過程やその素材は分かりませんが、きっとそこだと思います。そもそも最上級品のポーションなんて世に出回りませんからきっと誰も知らないんです。」
「そうなんですか…ちなみにネリーさんでも作られる過程や素材が同じなら副作用をなくすことは可能なんですか?」
リベルが聞くとネリーは苦い顔をした。
「きっと厳しいと思います。設備も良くないし技術も褒められるほどでもない。だから期待に応えられるような物はできないと思います…」
ネリーの苦悶の表情は薄暗い地下室でも分かるほどだった。そんなネリーを不憫に思った俺はネリーのポーション作りに協力することを二人に提案した。
「なぁ、ネリーのポーション作りを俺たちが援助するのはどうだ?」
俺の提案に二人はニコッと笑い頷いてくれた。二人はこういう時乗り気だから助かる。その様子にネリーは本当に良いのか困惑していた。そこでwin-winな関係を築けるように俺はネリーに提案した。
「俺たちが援助する代わりにネリーは俺たちにポーションを提供してください。そのポーションの値段は任せます。これでどうですか?」
「それでお願いしても良いですか?」
ネリーが不安そうに聞くと俺たちはニコッと笑い力強く返事した。
「「「はい!」」」
俺たちの返事に少し驚いたネリーだったが、すぐに笑いを取り戻しポーション作りに戻った。それを見て俺たちは安心して宿に戻った。
次回もお楽しみに