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10話 事前指導

異世界に転生した俺はリフォンという名を貰い猫生を送る事になった。でも優雅に生きて死ぬだけでは面白く無い。異世界に転生したのに勿体無い。異世界を思う存分堪能してやる!

「リフォン、朝だよ起きな。」

「ンニャー。」

 俺は大きなあくびをして目が覚めた。リベルの服装がいつも違った。

(何だその服?)

(学園の制服だよ。僕たちは今日から生徒になったんだから。リフォンのもあるよ。)

(使い魔に制服は無いだろ?俺のって何だ?)

(これ。)

 そう言うとリベルは俺に首輪に見せてきた。その首輪の中央には宝石のような物が埋め込まれている。

(その宝石みたいなのは何だ?)

(これは使い魔が主人と逸れたりしないようにする為のアイテムだよ。そしてこのアイテムは危険な時に主人の元にテレポート出来る機能もあるんだ。)

(グロウが珍しい使い魔は連れ去られるとか言ってたからそれ対策なんだろうな。)

(多分そうだろうね。)

 リベルはベルを鳴らし朝御飯を持ってきてもらった。

「ありがとう。」

 リベルが妖精から朝御飯を受け取りのんびり朝御飯を食べる。

「ごちそうさま。」

 俺も同じタイミングで食べ終えリベルが俺の首に首輪を回す。

「出来たよ。」

(ありがとう。)

 長毛のおかげか首輪はあまりキツく無い。だが頭からは簡単には抜けない。でも人間なら簡単に外せてしまうからそういう魔法かアイテムが付いていないと効果を発揮出来ないんじゃないかと思ったがリベルがそれを察したのか応えてくれた。

(これは僕しか外せないから安心して。そういう魔法らしいよ。分類は光魔法らしいよ。維持の神だから僕がリフォンに首輪をしたっていうこの状況を維持して、首輪をした本人にしか外せないらしいよ。)

(神様って凄いんだな。その神様がどんな事をしたか、逸話で魔法になるんだから凄いよな。何なら人の解釈によって使える魔法も変わるんじゃないか?)

(だから魔法は奥深いんだよ。)

「あれ?今何時?」

(さあ?)

「リベル?まだいるのか?早くマリー先生の所行けよ。」

「ありがとうリーン兄さん!リフォン、早く行くよ!」

 俺はリベルに抱かれ魔法競技室に連れて行かれた。

「すいません。遅くなりました。」

 リベルは魔法競技室の扉を開けて頭を下げた。

「お!早かったねぇ!兄に教えてもらったのか?」

「え?は、はい。そうです。リーン兄さんを知ってるんですか?」

「私はほとんどの生徒を教えてるからね。しかも公爵家となれば尚更ね。」

 俺はマリー先生の業務量を心配した。前世でも体育などの副教科は全校生徒を教えているが先生は複数人だ。もしかしたら他の教員もいるのかもしれないがやはり業務量は凄まじいだろう。

「ほとんど?全校生徒千人は超えてますよね?それを先生一人で?」

「他の教師もいるから私の負担はそんなにだよ。私は書類作業より実技の方が秀でているからね。」

 マリー先生はドヤ顔で言った。だがこのドヤ顔は実力に裏付けされたドヤ顔なのだろうと思うが少しウザイ。

「君今ウザイって思ったね?」

「ニャニャニャ。」

 俺は首を横に張った。

「ふーん。」

 何かを企んでそうな顔をしている。

「先生!リフォンにいじわるしないでください。」

「ごめんごめん。君の猫がやけにかわいくてね。」

 この世界では使い魔で犬、猫、鳥、兎、虎、狼、熊、など様々な動物がいるのになぜ俺だけこんなにモテるのだろう。猫の神様のおかげなのか、猫の神様のせいなのか分からない。

「気を取り直してやっていこうか!」

「何をやるんですか?」

「何したい?別に何でも良いんだよね事前指導だし。特にやる内容決まってないからリベル君が決めて良いよ。」

「急に言われても…」

「使い魔と相談したら?」

(何する?)

(俺は何でも良いぞ。火と水だけに絞ってもらえたら何でも。)

(分かった。とりあえず一緒に出来る火と水からやろうか。)

「じゃあ火と水でお願いします。」

「了解。でも私水にそんなに魅力感じなくて、そんなに上手くないんだね。ごめん!」

 人には趣味嗜好や得意不得意があるから否定はしないが謝る気の無い謝罪だな。

「まずは火からで良い?」

「はい。」

「ニャ。」

「そもそもあれだけのコントロールと威力があれば私が教える必要無さそうだけどね。あはは。」

 教師が言ったらいけないこと第一位言っちゃったよこの教師。

「で、でも…何か教えれる事はあるでしょう?」

「うーんそうだね…じゃあ君たち火魔法を使う時どんな感情で使ってる?」

 俺は火魔法を使う時のことを思い浮かべた。火のイメージをしてどこかに火を出す。感情は…特に無かった。それはリベルも同じようだ。

「僕は火のイメージに集中しているので、感情は気にした事は無かったです。」

「良かった。私にもまだ教えられるところがあった。」

 それは良い事なのかと思ったが言わないことにした。

「ニャー!」

「何?早く教えろって?分かったよ。火のイメージに集中するのも良いんだけど、そこに楽しい思い出とか悔しい思い出や怒りの感情を乗せるとさらに威力が増すよ。」

「感情の昂りで威力が増すということ自体は知ってだけど抜け落ちてました。」

「イメージの方が簡単だからね。リベル君の選択は正しいよ。最初は楽しい思い出を思い浮かべてやってみて。火のイメージはそんなに重視しなくて良いよ。」

「はい!」

 リベルは手に小さな火を作り壁に向かってその火を放った。

 バン!

 その火はかなり小さかったがその見た目とは裏腹にかなりの威力だった。

「すごい…」

 リベル本人が一番驚いたようだ。

「今どんな思い出を思い浮かべた?」

「小さい頃に家族みんなでピクニックをした時の事です。」

「日常の幸せを思い浮かべたんだな。それも素晴らしいが初めて魔法を使えた時やずっと欲しかった物を買ってもらった時、家族が増えた時などの一時的に爆発的な幸せを感じる時の方が威力は増すぞ。ちょうど使い魔がいるんだからその時の事を思い浮かべてみな。」

「はい!」

 リベルはさっきと同じように手に小さな火を作り壁に向かって火を放った。

 バン!!

 さっきは少し熱風が来るぐらいだったが、今回は溶鉱炉に近づいた時のように熱波が飛んできた。

「さっきよりの良いじゃないか!でもこれ以上やっちゃダメなぐらいだね。」

「気をつけます。」

 強すぎるのも考えものだ。簡単に人を殺めてしまうそれはあってはならない事だ。だがこの世界は日本とは違う。弱ければ殺され、強ければ生きながられる。弱肉強食なのだ。

「次はえーっと…」

「リフォンです。」

「よし。リフォン君行こうか。」

 この人は教師である前に歳上なのだから君付けはいらないと思うのだがポリシーがあるのだろうか。

 俺はリベルと同様に小さな火を空中に出し楽しい思い出を浮かべた。その楽しい思い出はマイヤーとリベルとアフタヌーンティーを楽しんだ時だ。前世では楽しい思い出なんて皆無だったから日常全てが幸せなのだ。

 ボン!

 リベルの火魔法は爆発する感じだったが俺の火魔法は消滅する感じだった。俺はそんなイメージは持たせていないので疑問に思った。

「リフォン君今のどうやったの?私でもあんなの出来ないよ。」

 マリー先生はリベルに聞きテレパシーを使うように言った。

(どうやったの?)

(いや、普通にマイヤーとリベルとアフタヌーンティー楽しんだ思い出を思い浮かべて、リベルと同じように火が爆発する感じにイメージしただけだ。)

「リフォンは僕と同じようにしたそうです。」

「どういう事なんだ?同じようにやったのなら火魔法が消滅するように消えるなんておかしい。」

 マリー先生はウロウロしながら考え込んだ。

「ごめん!今日の指導はここまで!今後私はリフォン君の魔法のように出来ないか実験するから指導出来ない日が多くなると思う。もし暇ならリーン君の授業について行きなさい。教師たちには私から話を通しておくから。」

 そう言い終えるとマリー先生はどこかに走って行ってしまった。

次回もリフォンの猫生をお楽しみに。


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