23.剣の元に
ライカル、リフィール、ステラ、そしてアレンの4人は、レガテノウスの旗がある小屋に集まった。
テーブルの前に座った4人に紅茶を置いたオデーサは、小屋の扉を閉めた。
「さっきも言ったが、まずステラの杖を見つける。魔王は、それからだ」
「わかった」
「杖を見つけたら北大陸へ行くんだが・・・アレン、」
「なんだ?」
「ステラに、『北へは白いドラゴンに乗っていく』って言ったらしいな」
「そう教えられたんだよ」
「教えられた?誰に、」
「アルカル様だ」
「ええー、アルカル様がそうおっしゃったの!?」
ステラは口に手をあて、おもわず叫んだ。
「そうだよ」
「どうして、そんな事を・・・」
「アルカル様は、君を助けろと僕に言った。聖女は神の使いの白いドラゴンを呼べるってね」
「・・・ドラゴンの呼び方なんて、全然知らない」
「ステラ、君は本当に知らないのか?」
「あたしは魔王を倒したいのよ!嘘なんて言うわけないじゃない」
「大切な事なんだ、よく思い出してほしい」
「わかってるけど、本当に知らない。アルカル様が、聖女と他の誰かを勘違いされたってことなんじゃないの?」
「アルカル様は自分の命と引き換えに、僕に話したことを信じてほしいと言ったんだ。そんな間違い、するはずがないよ」
「えっ、・・・アッ、アルカル様、亡くなったの」
「この近くにお墓がある」
「・・・それでも、あたしは嘘は言ってない。本当に知らないの!」
ステラは、唇を噛んだ。
「しかし、」
ガシャン
ライカルが、紅茶のカップを大きな音で皿に置いた。
「アレン、疑心暗鬼になるな。ステラは嘘は言ってねえよ」
「ステラもアルカル様も、どちらも嘘を言っていないとすると、この問題は解決しようがないですね」
「そうだな、」
「アレン様、どうしましょうか」
皆の注目が集まる中、アレンは少し考えた。
「とにかくクラーツへ行こう。北大陸へ行く方法は、後で考えることにする」
「かしこまりました」
「まあ、いくら考えてもムダだと思うけどな」
「クラーツへ行く途中の町や村で、情報収集をやろう。何か糸口がつかめるかも知れないだろ」
「おっしゃる通りでございます」
「そうだな」
アレンは、不安そうなステラが気になった。
「ステラ、大丈夫か?」
「気にしないで、平気よ」
「そうか、」
「自分の母親が死んだ場所に行くのよ・・・元気なんて出ないわ」
アレンは立ち上がり、ステラの前まで歩いた。
「なっ、なによ」
そして、おもむろにステラを抱きしめ、耳元で言った。
「さっきは、疑って悪かった」
「・・・」
「魔王を倒せたら、この僕を殺してくれ」
「えっ・・・」
「それで君の気が済むのなら、僕は構わない」
「・・・それ、本気で言ってるの?」
アレンはテーブルに座っているライカル、そしてリフィールの顔を見た。
「皆には悪いが、僕は今でも兄のことを信じている。だが、兄がこの大陸でしでかした事は、もう取り返しがつかない。その罪は、弟である僕も背負う。この決意を、皆の心に留めてほしい。そして、その上で魔族討伐に・・・皆のチカラを貸してくれないか」
そう言うと、アレンは頭を下げた。
リフィールは座っていた木の椅子を跳ね除け、アレンの前に跪いた。
「このリフィール!全身全霊でアレン様にお仕え致します!」
ライカルは大きくため息をついて、ゆっくり立ち上がった。
「とりあえず、俺も協力するぜ。魔族が木っ端みじんに吹き飛ぶ様子、お前らに見せてやろう」
ステラも、立ち上がる。
「仕方ない・・・本当に、仕方ない・・・これが、今のわたしの正直な気持ちよ・・・でも、あたしも協力する。傷を回復できるのは、この世界であたしだけだから」
「皆、・・・ありがとう」
「よし、」
ライカルは、手をパンっと叩いた。
「団結式はこれで終わりだ。ここからは、具体的な話しをしようぜ」
「そうだな、」
「の前に、」
「まだ何かあるのか?」
「アレン、俺達に見せてくれ。お前が、その聖剣オセアオン・ブロンシュを抜くところをな」
(そう言えば、アレンが本当に聖剣を使えるのか、誰も見てないわ・・・)
アレンは、テーブルの聖剣を取った。
「ねえ、今更『使えませんでした』、なんて言わないでよね」
アレンはステラに微笑むと、右手で剣を抜いた。
シャーっという金属音と共に、白銀の刀身が姿を現す。
ライカルは、刀身に自分の顔がまるで鏡のように映るのを見た。
「こっ、これが聖剣オセアオン・ブロンシュ・・・」
「なんて美しいの、」
リフィールは、ずっと跪いたまま頭を下げている。
全ての人を魅了する鏡面は、神剣の名にふさわしい神々しさがあった。
「間違いない・・・俺達を呼んでいるのは、この剣だ」
アレンは、抜いた聖剣を高々と掲げた。
「あっ!消えた・・・今、頭の中の呼び声が止まったわ」
リフィールは、ゆっくりと立ち上がった。
「きっと、ここにいる皆の意思が、アレン様の元で、ひとつに統一されたからでしょう」
「もう呼ぶ必要が、無くなったってことか」
アレンは、剣を納めた。
「魔王を倒し、この大陸に平和を取り戻そう。それが神器を持つ、僕達の使命だ」
「やってやろうじゃないか、」
「さすがはバトルジャンキー、本領発揮ね」
「うっせえ」
「神の使徒であるアレン様の元に集いし我ら3名!全力で魔族と戦うことを誓います!」




