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justicia  作者: 清水京太郎
第一部
23/29

23.剣の元に

ライカル、リフィール、ステラ、そしてアレンの4人は、レガテノウスの旗がある小屋に集まった。

テーブルの前に座った4人に紅茶を置いたオデーサは、小屋の扉を閉めた。


 「さっきも言ったが、まずステラの杖を見つける。魔王は、それからだ」

 

 「わかった」

 

 「杖を見つけたら北大陸へ行くんだが・・・アレン、」

 

 「なんだ?」

 

 「ステラに、『北へは白いドラゴンに乗っていく』って言ったらしいな」

 

 「そう教えられたんだよ」

 

 「教えられた?誰に、」

 

 「アルカル様だ」

 

 「ええー、アルカル様がそうおっしゃったの!?」

 

ステラは口に手をあて、おもわず叫んだ。


 「そうだよ」

 

 「どうして、そんな事を・・・」

 

 「アルカル様は、君を助けろと僕に言った。聖女は神の使いの白いドラゴンを呼べるってね」

 

 「・・・ドラゴンの呼び方なんて、全然知らない」

 

 「ステラ、君は本当に知らないのか?」

 

 「あたしは魔王を倒したいのよ!嘘なんて言うわけないじゃない」

 

 「大切な事なんだ、よく思い出してほしい」

 

 「わかってるけど、本当に知らない。アルカル様が、聖女と他の誰かを勘違いされたってことなんじゃないの?」

 

 「アルカル様は自分の命と引き換えに、僕に話したことを信じてほしいと言ったんだ。そんな間違い、するはずがないよ」

 

 「えっ、・・・アッ、アルカル様、亡くなったの」

 

 「この近くにお墓がある」

 

 「・・・それでも、あたしは嘘は言ってない。本当に知らないの!」


ステラは、唇を噛んだ。

 

 「しかし、」

 

 ガシャン

 

ライカルが、紅茶のカップを大きな音で皿に置いた。


 「アレン、疑心暗鬼になるな。ステラは嘘は言ってねえよ」

 

 「ステラもアルカル様も、どちらも嘘を言っていないとすると、この問題は解決しようがないですね」

 

 「そうだな、」

 

 「アレン様、どうしましょうか」

 

皆の注目が集まる中、アレンは少し考えた。


 「とにかくクラーツへ行こう。北大陸へ行く方法は、後で考えることにする」

 

 「かしこまりました」

 

 「まあ、いくら考えてもムダだと思うけどな」

 

 「クラーツへ行く途中の町や村で、情報収集をやろう。何か糸口がつかめるかも知れないだろ」

 

 「おっしゃる通りでございます」

 

 「そうだな」

 

アレンは、不安そうなステラが気になった。

 

 「ステラ、大丈夫か?」

 

 「気にしないで、平気よ」

 

 「そうか、」

 

 「自分の母親が死んだ場所に行くのよ・・・元気なんて出ないわ」

 

アレンは立ち上がり、ステラの前まで歩いた。


 「なっ、なによ」

 

そして、おもむろにステラを抱きしめ、耳元で言った。


 「さっきは、疑って悪かった」

 

 「・・・」


 「魔王を倒せたら、この僕を殺してくれ」

 

 「えっ・・・」

 

 「それで君の気が済むのなら、僕は構わない」

 

 「・・・それ、本気で言ってるの?」

 

アレンはテーブルに座っているライカル、そしてリフィールの顔を見た。


 「皆には悪いが、僕は今でも兄のことを信じている。だが、兄がこの大陸でしでかした事は、もう取り返しがつかない。その罪は、弟である僕も背負う。この決意を、皆の心に留めてほしい。そして、その上で魔族討伐に・・・皆のチカラを貸してくれないか」

 

そう言うと、アレンは頭を下げた。

リフィールは座っていた木の椅子を跳ね除け、アレンの前に跪いた。


 「このリフィール!全身全霊でアレン様にお仕え致します!」

 

ライカルは大きくため息をついて、ゆっくり立ち上がった。


 「とりあえず、俺も協力するぜ。魔族が木っ端みじんに吹き飛ぶ様子、お前らに見せてやろう」

 

ステラも、立ち上がる。


 「仕方ない・・・本当に、仕方ない・・・これが、今のわたしの正直な気持ちよ・・・でも、あたしも協力する。傷を回復できるのは、この世界であたしだけだから」

 

 「皆、・・・ありがとう」

 

 「よし、」


ライカルは、手をパンっと叩いた。


 「団結式はこれで終わりだ。ここからは、具体的な話しをしようぜ」

 

 「そうだな、」

 

 「の前に、」

 

 「まだ何かあるのか?」

 

 「アレン、俺達に見せてくれ。お前が、その聖剣オセアオン・ブロンシュを抜くところをな」


 (そう言えば、アレンが本当に聖剣を使えるのか、誰も見てないわ・・・)

 

アレンは、テーブルの聖剣を取った。

 

 「ねえ、今更『使えませんでした』、なんて言わないでよね」

 

アレンはステラに微笑むと、右手で剣を抜いた。

シャーっという金属音と共に、白銀の刀身が姿を現す。

ライカルは、刀身に自分の顔がまるで鏡のように映るのを見た。


 「こっ、これが聖剣オセアオン・ブロンシュ・・・」

 

 「なんて美しいの、」

 

リフィールは、ずっと跪いたまま頭を下げている。

全ての人を魅了する鏡面は、神剣の名にふさわしい神々しさがあった。


 「間違いない・・・俺達を呼んでいるのは、この剣だ」

 

アレンは、抜いた聖剣を高々と掲げた。


 「あっ!消えた・・・今、頭の中の呼び声が止まったわ」

 

リフィールは、ゆっくりと立ち上がった。


 「きっと、ここにいる皆の意思が、アレン様の元で、ひとつに統一されたからでしょう」

 

 「もう呼ぶ必要が、無くなったってことか」

 

アレンは、剣を納めた。


 「魔王を倒し、この大陸に平和を取り戻そう。それが神器を持つ、僕達の使命だ」

 

 「やってやろうじゃないか、」

 

 「さすがはバトルジャンキー、本領発揮ね」

 

 「うっせえ」

  

 「神の使徒であるアレン様の元に集いし我ら3名!全力で魔族と戦うことを誓います!」


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