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第84話 防具も作るぞ


お願いしていた微調整も終わり 短剣を受け取った後、お父さんに連れて行ってもらったのは防具屋さんだった。


「おう、らっしゃ……って、アルクか。おお、ヴィオもいるのか。どうした?」


このお店は 表の看板に盾と鎧の絵があったから 防具屋さんと分かったし、店内も木のマネキン(十字になった棒)に鎧が飾られていたり、壁に盾が立てかけてあったりと、想像通りの防具屋さんって感じだった。

迎えてくれたのはリスマッチョ先生のアランさんだった。

このお店はアランさんのお店だったんだね。


「リスマッチョ先生 こんにちは、今日はね……あれっ?そういえば防具作るの?」


そういえば防具は結界鎧があるから不要って話じゃなかったっけ?

思わずお父さんを見上げれば、アランさんがズッコケてた。ごめんごめん。


「ははっ、防具はまだサイズがないじゃろうから 作る予定はないが、アラン、ヴィオの短剣を収める剣帯を作ってもらいたいんじゃ」


「ああ、そういえばギレンのところで武器を作っていたんだったか?おう、見せてみろ」


箱に入れた鞭と短剣をカバンから取り出し、アランさんに見てもらう。

「ちいせえなぁ」とか言いながら、まじまじと武器を検分しているけど、確かにお父さんや アランさんの大きな手で持つと、ままごとの道具にしか見えない。


「この鞭は随分短くないか? まあヴィオの小ささじゃ これくらいが良いのかもしれんが……」


「あっ、この鞭はこのままベルトになるの」


そうじゃん、鞭も一緒に貰った箱に入れてきたけど、これは装着できるんだった。

アランさんから受け取った鞭を腰に巻けば、腰にぴったりフィットする。グリップの魔石がボタンがわりにもなっているから、鞭の先端を軽く巻き付ければOKなのだ。


「へえ、確かにそれなら普段から持ち歩けるし、短くても納得だな。

じゃあ、そのベルトの取り外しを邪魔しないような剣帯を作る必要があるな。希望はあるか?」


「んとね、横だと歩くときとか邪魔になっちゃうから、できれば後ろにしまいたいの」


後ろ手に剣を抜いて構える動きを見せれば、察してくれたらしい。

座る時とか 取り外しもしやすいように作ってくれるらしい。有難いです。


「で? 防具は全く作らないのか? アルクが付いて回るとはいえ、多少の防御は出来た方が良いんじゃないのか?」


「ああ、ブーツは作る予定じゃが、鎧系は 重たくなるし、今は魔法と 体術を中心に訓練しとるから 身軽に動ける方がええんじゃ。

洗礼くらいまで大きくなれば ちょっと強いところにも行くじゃろうし、防具も増やさんとな」


あれ?結界鎧のことは言わないのかな?

まあ 珍しいとは言われたし、ケーテさん達との組手の時に伝えたのは、あの両親が金ランクだから 多分隠してもバレるからだって言ってたもんね。

アランさんを信用していないという訳ではないけど、できるだけ知っている人は少ない方が良いという事らしい。

アランさんも 洗礼くらいまでは 森で特訓をするか、低級ダンジョンで経験を積む予定だと考えてくれたので、防具が不要なのも納得してくれた。

鎧とかは要らないと言ったけど、お外での活動が出来るように コート?マント?のようなものは作ってもらうことになった。


見せてもらった大人用のマントは テントみたいに見えたけど、野営の時に包まって寝たり、素材を持ち運ぶときの風呂敷がわりにしたりと 防寒具以外にも色々使える物らしい。

そういえば エルフのドゥーア先生も 初見の時にマントを羽織ってたけど、同じ様なモノだったのかな?

魔獣の皮を使用しているらしく、防刃にもなるから 冒険者必須の防具らしい。

良いものだと 防水もできて、水を溜めて運ぶこともできるみたい。

水生成魔法があるから 私はその使い方をすることはなさそうだと思ったけどね。



◆◇◆◇◆◇



アランさんの防具屋さんを出た後は、ミリーナさんの靴屋さんへ。

私の普段履きをしている靴は、全てミリーナさん製作で とっても履き心地が良い。


「あら~、ヴィオちゃんじゃない。久しぶりね。

新しい靴をご希望かしら? どんなのが良いかしらね。訓練もしているのでしょう?やっぱり走りやすい者が良いのかしら、どうしましょうか」


お店に入ったら 直ぐに気付いてくれたミリーナさんが 駆け寄ってきて、ひょいと持ち上げられる。

兎獣人のミリーナさんは 決して大柄ではないんだけど、私が小さすぎるからね、屈んで話すより こうして持ち上げて話す大人は少なくない。


「あ~、ミリーナ、今日はヴィオの冒険者用の靴を作ってもらいたいと思ってな」


「あら、冒険者用と指定するって事は、村の外での活動用という事かしら?

え? ヴィオちゃんってば 冒険者ランク今いくつなの?」


「んとね、青銅ランクで93ポイント貯まってるよ」


先週末で更にポイントが加算され、あと7ポイントになっている。今月末で銅ランクになるのを目標に動いているのだ。


「ええっ!?あと7ポイントで銅ランクじゃない!? 

アルクさん、ちょっと厳しすぎない?」


「いやいや、ちょっと待て。ヴィオが薬草採取を得意にしてるから、それで早いだけじゃ。

(もうすぐ風の季節になるじゃろ? 他所者が増える頃はちょっと離れておいた方が危険も少なくなるはずじゃ)

じゃから、銅ランクになったら 森での討伐訓練をはじめるつもりなんじゃ」


私のランクを聞いて 驚いたミリーナさんは 私を椅子に下ろし、お父さんを詰め始めた。

そうそう、薬草採取って コツを掴めば 良質の薬草を摘めるし、ポイントも稼ぎやすいからね。ケーテさんも一気にポイント貯めたし、ナチ君とルン君も順調にポイントが貯まってるって教えてくれた。

お父さんもミリーナさんの剣幕にアワアワしてたけど、理由を言ったら 納得してくれたみたい。


「そういう事なら 仕方がないわね。

じゃあ ヴィオちゃん、丈夫で歩きやすいブーツを作りましょう。リリウムにも その話は伝えておくから お外で動きやすいお洋服も新調してもらってちょうだいね。

さあ、楽しくなってきたわ。ロングブーツよりはショートが良いかしら、いや、両方作りましょう。

アルクさん、良いわよね?」


ええっ!? 靴を二足もって、私まだまだ成長期だし、直ぐに履けなくなっちゃうかもしれないのに勿体ないよ。

そう思って遠慮しようとしたんだけど、冒険者使用の靴は サイズ調整も多少できるようになっているらしくて、少し大きめで作れば、成長期の私でも2年くらいは履けるはずだと言われた。

今の普段用に使っている靴は そういうギミックはないらしい。


「お父さん、いいの?」


「ん? 靴の代金を気にしとるんか?

ヴィオは殆ど欲しがるもんがないからなぁ、遠慮する必要はない。

冒険者にとって武器と靴は大事じゃからな、これは妥協しちゃいかん。

ヴィオは今持っておる靴も服も 大事に使ってくれとるじゃろう? コレもそうして大事に使ってくれればそれで充分じゃ」


特殊素材を使うから 多分結構なお値段がするはずなのに、気にするなって言ってくれるお父さん。

武器も 剣帯も マントも、結局お値段を聞くことなく ここまで来ている。

薬草で稼いでいるのに、請求されることもない。私にできるのは 買ってもらったものを大切に出来るだけ長持ちするように使うことくらいだ。

だけど、お父さんはそれを殊更喜んでくれるんだよね。


ミリーナさんはリリウムさんと冒険者仕様になるように、洋服と靴のデザインを一緒に考えておくと言ってくれた。よろしくお願いします!



お読みいただきありがとうございます。

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