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第69話 元貴族と貴族?


聖の日の今日も、ドゥーア先生とサブマス、ギルマスと会議室でお勉強会から始まった。

昨日の状態変化についての説明は、多分死んだ両親が(父親は死んだか不明だけどね)元貴族の冒険者だったんだろう、きっと駆け落ちしたか 末っ子貴族で冒険者になったのだろう。

ということで理解されたみたい。


どうやら国によるけれど、貴族は多産が多く、跡継ぎの長男、スペアの次男、他家との関係構築or嫁入りによる金脈構築のための女児(美人に限る)以外は、口減らしの為に冒険者になったりすることもあるらしい。

勿論 金持ちの子供だったら全員が学園に行って、騎士になり 一代騎士爵をもらって身を立てることもできるらしいけどね。ああ、このリズモーニ王国の貴族は 金持ちであろうとなかろうと、貴族の子女は全員学園に通うことが出来るみたいだけどね。



お隣のルシダニア皇国では 神殿の関係で爵位以外に 教会の階級での身分差があるらしいんだけど、それ以外の大国では公候伯子男の貴族階級らしい。

私のラノベ調べによると、悪役令嬢は大体公爵令嬢で、ヒロインは男爵令嬢であることが多いよね。しかも男爵の妾の子であることが多い。

という事は階級最下位の男爵令嬢(平民の娘)が、階級最上位の公爵令嬢に喧嘩を売るわけだ。

すごいよね、身分差どこ行った?って感じじゃない?

大概 王族の婚約者になってる公爵令嬢が卒業パーティーとかで断罪されるって流れだよね?


でもでも、普通に王族に男爵令嬢が声をかけられる? しかも婚約者がいる男に。

そういう常識を分かってないっていう描写が多いけど、そんな常識も分かってない娘を公共の場に出しちゃう両親大丈夫?ってなるよね。

んでもって、王子と必ずその周りの高貴な男子が数名こぞってヒロインにメロメロになるじゃない?

魅了魔法が原因じゃなかったら、確実に股をひらいてるよね?


平民の私たちですら “トイレ” を隠語で言うべき世界だよ?

貴族の結婚までの触れ合わない的な紳士淑女教育は厳しいでしょう?

そんな中 可愛い女子と あられもない姿でニャンニャンしちゃったら、推定中高生の男子生徒でしょう?おさるさんになっても仕方がないよね。

同じ釜の飯を食う兄弟ではなく、同じ穴ゲフンゲフン、これ以上は止めておこう。


って、なんの話してたっけ?

あぁ、身分の話だ。

この大陸の中にある大きな国は、ここリズモーニ王国、隣のメネクセス王国、私が捨てられたルシダニア皇国、それからヘラツィオ共和国の4つ。

小さな国は それこそこの辺境伯領地くらいの大きさの国もあるらしい。

皇国は 皇帝という王様のような人がいるけど、そっちよりも教会の偉い人の方が 力があるらしい。宗教ありきの国という事だね。


リズモーニ王国とメネクセス王国は、王族がトップにいて、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、(騎士爵)となっているらしい。


「私は魔導学園での功績によって、侯爵なのですよ。今後も結婚することがないでしょうから一代侯爵ですね」


とはドゥーア先生。多分貴族なんだろうなって思ってたから驚きはなかった。


「私は子爵の長男でしたが、魔法の勉強が楽しすぎましてね、学園所属のうちに冒険者登録をして、そのまま家に帰らなかったのです」


まさかの家出息子が此処にいました。

サブマスは元共和国の小国出身で、母国は既にないから帰る理由もないとのこと。


「お父さんも学校に行ってたの?」


「ん?儂は普通の農家の息子じゃったからな、父親が冒険者をやっておったから 色々教えてもらって 冒険者になったんじゃ。学校には行かんかったから、独学じゃな。ギルマスは この国の貴族じゃぞ?」


は?

ギルマスが貴族?

貴族がいるのに村長がいるの?


「いや、元だ、元。今は只の平民だ」


ブンブン手を振って嫌そうに言うけど、貴族なんです?

ドゥーア先生曰く、このプレーサマ辺境伯の親戚筋の伯爵家の三男で、口減らし的な扱いを受けていたらしい。お父さんの伯爵は人族で、ギルマスのお母さんが獅子獣人、特徴をしっかり引き継いだギルマスは家族扱いしてもらえなかったんだって。いや、だったら何で獣人の嫁をもらった?ってツッコみたいよね。

学園で寮生活をしている間に お母さんが亡くなって、実家に帰る理由も無くなって、卒業と同時に縁を切ったらしい。


「学園での学びは真面目にしていたし、魔法は偏ってはいたが よくできていた。

卒業後はそのまま冒険者になって、金ランクまで上り詰めたしな。辺境伯としては 騎士団に入ってほしいと希望しておったがなぁ。」


ドゥーア先生曰く、金ランクになった噂を聞きつけた元父親から、実家に戻るように連絡もあったらしい。辺境伯の騎士団で息子が活躍したら 自分の功績になると思ったのかな?

辺境伯はギルマスの能力を純粋に評価して 欲しがったらしいけど、家族との確執をドゥーア先生から説明されて諦めたらしい。

で、冒険者を引退すると聞いて ここサマニア村のギルマスに推薦したんだって。


ちなみにアリアナ先生も男爵令嬢(三女)らしい。男爵令嬢と言えばヒロインの定番ではあるけど、普通の男爵家だと 三女ともなれば嫁の貰い手揉みつけるのが大変で、アリアナ先生は手に職を付けたことで 家族から大喜びされて送り出されたんだって。なんだか貴族も大変だと思った。


「じゃあ、サブマスさんも、ギルマスさんも元貴族なんだね。だから学校に行ってたんだ」


「まあそうですね。学園でドゥーア先生にお世話になって、それから冒険者になって沢山学びましたが、この数週間で 私の常識は上書きされました」


「あ~、魔法に関してはそうだよな。元々俺はあんまり魔法が得意じゃなかったからアレだけど、ヴィオが普通じゃねえってのはよく分かる」


「ええ、あの液体、気体、固体というモノに関しては非常に分かり易く、水生成魔法を伝える時にはまずあれから教えることにしようと思いました。

ヴィオ嬢の母上がお亡くなりになられている事が残念でなりません。

私が覚えていないという事は、学園生ではなかったのでしょう。聖属性が得意な学生など珍しくて忘れることはないでしょうからね。

是非、魔法以外のお話もしてみたかったですね」


『お母さんが教えてくれた』は言い訳として使っているだけで、本当に知っているかは分からないけど、お母さんからもっと沢山色々教えて欲しかったというのは私も同意だ。

あの宝箱っぽいのを開けられたら何か分かるかもしれないけど、人の物を取り上げて、殺したかもしれない事を反省もしていない少女だ。

あのネックレスも直ぐに飽きて捨てているかもしれない。あれは二度と戻ってこないと考えるべきだろう。


「で、ヴィオは学園に行ってみたいと思ったか?」


ちょっと考え事をしてたら ギルマスに質問された。

ドゥーア先生は何か期待した感じですけど、ナイナイ。


「思わないよ。サブマスさんも言ったじゃない、冒険者になって学んだけど、更に今また常識が変わったって。

だったらここでサブマスさんとドゥーア先生に教えてもらって実践した方がよっぽど学園よりも学びが多そうだもん」


振り返ってお父さんに同意を求めれば、苦笑いながらも「そうじゃな」と認めてくれた。

サブマスとドゥーア先生は ちょっと驚いた顔をしていたけど、直ぐに笑って認めてくれた。


「はっはっは、そうだな、では学園からの呼び出しが来るまでは、しっかり私が魔法を教えてあげよう」


「ふふっ、楽しみです。よろしくお願いし……あっ!

学園ですんごい先生なんですよね? 教えてもらうのにお金がいりますよね?

まだ冒険者の依頼料は少ないので、出世払いでも良いですか?」


「出世……」


「払い……?」


「ぷっ、はははっ!くっはっはっは」


「ぶわっはっはっは」


学び舎は無料だから、ついついサブマス達から教えてもらうのも支払いとか考えたことはなかったけど、流石に教師を仕事にしている人から教えてもらうのに無料って事はないだろう。

そう思って大人になってからの出世払いを提案したら、大人たちがみんなして大爆笑するんですけど?


「くっくっく、ヴィオさん、ご心配はいらないですよ」


「ああ、既に水を作り出す魔法、この新しい魔法だけでも素晴らしいが、その理論まで教えてもらった。これだけでも私が逆にヴィオ嬢へ支払わないといけないくらいだ。

この魔法に関しては 彼らが考えたように この大陸全土での影響があるだろう。

その素晴らしい発見における功績を君は要らないと言った。

勿論 発表すれば今の君であれば危険の方が多くなるだろうし、その判断は間違いではないと思う。

今回この魔法を私が発見したこととして発表することになる。

それで得ることが出来る名誉や功績は多大なるものとなるだろう。

君に魔法を教えるのはそのお礼でもある。まあ、功績に対しての欠片にもならんがな」


本当に無料で良いの?

お父さんに確認したら、頷きながら頭を撫でてくれたので、本当に大丈夫そうだ。


「ドゥーア先生、ありがとう」


素直にお礼を言ったら、ドゥーア先生からも頭を撫でられた。

どうもこのサイズは頭を撫でやすいらしい。悪くない。



お読みいただきありがとうございます。

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